伊集院光と大野君とフルヤ君と尾久駅と
今から10年前
2013年2月15日 TBSラジオ放送 伊集院光深夜の馬鹿力にて
伊集院さんが30年前に卒業した地元中学校の同窓会に出席されたお話をされました。
伊集院さんは同窓会の席で友人達と同窓会を欠席している、口下手で人との距離をうまく取るのが苦手だった同級生の「フルヤ君」の話をされたそうです。
フルヤ君は、話した事の無い子の名前を急に呼び捨てにしたり、人との距離を取るのが苦手でクラスで孤立している子供だった。
当時の学校ではフルヤ君を気持ち悪がり、イジメに似た空気があったと伊集院さんは仰っておりました。
フルヤ君は鉄道が好きだったが、家庭が貧しかったため鉄道に乗ったり鉄道写真を撮ったりすることが出来なかった。
その代わりに伊集院さんの地元 尾久駅の改札で捨てられた紙の切符を拾って、切符に書いてある駅名がどういう場所でどんな人が何のために自分たちの町に来たのかを想像するのが好きだったそうです。
当時フルヤ君は尾久駅で拾った珍しい切符を鉄道に興味の無い同級生にもあげていたそうです。
同窓会に出席した人達がタバコの紫煙を吐きながら言う「フルヤくん四六時中 尾久駅に居て気持ち悪い奴だったよね」という話を伊集院さんもイジメられる側に近い立場だったためその場で強く否定することが出来なかったそうです。
そこに現在も伊集院さんと親交のある大野君という友人が来て会話に混ざり
「俺もフルヤ君から切符を貰ったんだ」と言い、
大野君は30年前にフルヤ君から貰った自分の名前と同じ
「大野駅→尾久駅」と印字されボロボロになった切符を財布から取り出し、それを同級生に見せたとのこと。
大野君がフルヤ君からその切符を貰ったのは30年前。
それから大野君は何度お財布を変えたのにその切符だけは肌身離さず持ち続けていた。
フルヤ君を気持ち悪いの一言で語ってしまうのは簡単かもしれないが、
大野君は彼からもらった大野駅の切符を大事に持ち続け、今でも大事に財布に入れて持ち歩いているそうです。
大野君は他の同級生が気持ち悪いと馬鹿にしているフルヤ君から貰った切符を30年間大事に持ち続け、その切符が今でも2人を繋げていると思うと、僕は胸が熱くなりました。
伊集院さんは大野君のことを
「自分と永く付き合えていて、今でも連絡を取り合っている彼は自分と同じくらい馬鹿な奴」なんだと仰っていますが、
それでも大野君が自分よりも優れているのは
「フルヤ君から貰った切符をずっと大事に持ち続けている大野君は自分よりも人が出来ている」と大変褒めていました。
フルヤ君と大野駅のお話には続きがあります。
2013年から10年後の現在。
2023年8月28日の放送でその続きが語られました。
2013年の同窓会の席で大野君は
「フルヤ君から切符を貰って以来、大野駅はどんな場所か想像するのが楽しみで、いつか行ってみたい」と語り、
それを聞いた伊集院さんは
「ネットで調べればいいじゃん」と大野君に言い、
大野君は家に帰ってからインターネットで大野駅を調べてみたそうです。
大野駅があった場所は福島県双葉郡大熊町。
原発事故の曝心地であり帰宅困難区域に指定され立ち入りが禁止された地域。
大野君は大野駅に行くことは叶わず大変辛い思いをしたと伊集院さんの口から語られました。
月日が流れ2023年。
大野駅がある地域は帰宅困難区域が解除され、
大野駅への立ち入りが可能になりました。
そのニュースを知った大野君は、大野君の勧めでバイクの免許を取った伊集院さんに大野駅に一緒にバイクで行かないかと誘いました。
2023年8月28日の放送以降、
伊集院さんの口から大野駅に行けた話は聞けておりませんが、
いつか伊集院さんが大野君と大野駅に行き、大野駅がどういう場所であったかをラジオで聞けるのを想像するのが、今の僕の楽しみです。
この話の続きは今日(月曜)の夜25時から「伊集院光 深夜の馬鹿力」で聞けるかもしれません。
良かったら聞いてみて下さい。
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