思い付きプレイリスト#4 TM NETWORK名曲集 ~Vol.1 前半~

・はじめに

1983年に結成され、翌1984年にデビューし、以降音楽界に多大な影響を与えている音楽ユニット「TM NETWORK」。
2022年にはファン投票で選ばれたライブアルバム「LIVE HISTORIA T/M」をリリースし、7年ぶりのツアー「TM NETWORK TOUR 2022“FANKS intelligence Days”」を開催。
そして、9/21にはBD「LIVE HISTORIA VISUALIZED T/M」を発売されると、精力的な活動を行っております。
筆者もこのツアーに参加したのですが、「本当に3人が存在してるんだ…」と呆気に取られつつも本当に楽しかったライブでした。

このツアーが収録されたBDも発売中なのでぜひ。
今回は、TM NETWORKの1984~85年までにリリースされた曲をご紹介いたします。

1.金曜日のライオン (Take it to the lucky)

1984/4/21 シングル発売
作詞/作曲/小室哲哉

TM NETWORKのデビューシングル。
幻想的なイントロから、ニュー・ロマンティックな曲調、そして、独特な歌詞と初期のTMの魅力が詰まった楽曲となっています。
この時期から、小室先生の特徴である「転調」が使用されていて、Bメロとサビで印象が変わるという楽しい曲になっています。
こちらの曲について、小室先生はこのように語っております。

歌詞の後半に"生きる為のルールだから"というフレーズがあるんですけど、この一節はキャッチコピーにもなりうるなと思ったんです。"別れることは怖くない〜生きる為のルールだから"という流れなんですけど、これって生き物にとって生死という普遍的な事柄ですよね。

ひとりの女性なのかイメージしただけなんですけど、その人と別れてしまう、その2人のことでもあるし、アフリカの動物たちみたいなこともあるし、全世界の人々のことでもあるし、こういう、誰しもに当てはまるフレーズを繋ぎ合わせていけば歌詞になるんだと。

TK Friday

このことがきっかけで、小室先生の作詞には普遍的なフレーズが入るようになり、90年代のTKブームの時にも参考になった、と言われております。
ちなみに、PVも製作されておりますが、こちらも独特な世界観となっています。

ここから、TMの歴史が刻まれていったのかと思うと、興味深い1曲となっています。

2.1/2の助走 (Just for you and me)

1984/4/21 1stAlbum「RAINBOW RAINBOW」に収録
作詞/西門加理 作曲/木根尚登

シングル「金曜日のライオン」と同日にリリースされた1stアルバム「RAINBOW RAINBOW」に収録された楽曲。
通称「キネバラ」と呼ばれる木根さんによるバラード曲で、歌詞もロマンチックな内容となっています。
ちなみに、「西門加里」とはTMに多くの作詞を提供されているシンガーソングライター「小室みつ子」さんの初期のペンネームとなっています。
個人的には、ヒーリングミュージックと同じくらいに癒される楽曲だなぁと思います。

3.1974 (16光年の訪問者)

1984/7/21 シングル発売
作詞/西門加里 作曲/小室哲哉

2枚目のシングルとして発売されたこちらの楽曲。
元々はTMがデビューするきっかけである1983年に開催された「コカ・コーラ フレッシュサウンズコンテスト」にて披露された楽曲で、実質的なデビュー曲となっています。
38年前の楽曲なのに、古さを感じないイントロとSFチックな歌詞が印象的で、個人的に好きなのは、間奏に入るパーカッションとアコギの音ですね。
ちなみに、こちらの楽曲は北海道でプロモーションされ、初期は北海道で局地的な人気を誇っていたそうです。

MVの絵コンテは小室先生が担当され、タイムトラベルしながらファンタジーな世界を駆け抜けていくのが独創的な世界観になっております。
いつかライブで聞いてみたい1曲でもあります。

4.パノラマジック(アストロノーツの悲劇)

1984/4/21 1stAlbum「RAINBOW RAINBOW」に収録
作詞/麻生香太郎 作曲/木根尚登

アルバム「RAINBOW RAINBOW」のラストに収録された楽曲。
作詞自体は木根さんがほとんど完成させ、麻生さんが少し手直しされ完成したとか。
ファンタジックかつ近未来感が上手い事マッチした楽曲になっていますが、後年に発売された「TMN GROOVE GEAR 1」には、ライブバージョンが収録されております。

85年に開催された『DRAGON THE FESTIVAL TOUR featuring TM NETWORK』の日本青年館での模様を収録したのですが、めちゃくちゃソウルテイストに仕上がってるのがかっこいいんですよね~
歌詞も
「残り一つの エアロビクスを
 心をこめ 君にプレゼント」
など、インパクト強めなファンタジー要素が心に刺さります。

5.RAINBOW RAINBOW(陽気なアインシュタインと80年代モナリザの一夜)

1984/4/21 1stAlbum「RAINBOW RAINBOW」に収録
作詞/西門加理 作曲/小室哲哉

アルバム「RAINBOW RAINBOW」の表題曲。
ゆったりしたメロディと心地いいビート音が刻まれるリズムが魅力的な一曲で、このアルバムを象徴する楽曲となっています。
また、4:41からラスサビにかけての転調も、気持ちいいんですよね~

先ほどのパノラマジックと同様に「TMN GROOVE GEAR 1」にて、ライブバージョンが収録されており、こちらは87年に行われた武道館ライブ『TM NETWORK FANKS CRY-MAX』で披露されたバージョンです。
他にもよみうりランドで披露された『TM NETWORK FANKS DYNA-MIX』のバージョンもあるのですが、いずれもCDより速いテンポだけど、聞き心地が気持ちいいんですよね~
あと、アウトロに「星に願いを」のイントロを入れるというのも、
ファンタジックな印象を受けます。

6.ACCIDENT

1985/5/22 シングル発売
作詞/松井五郎 作曲/小室哲哉

3rdシングルとして発売されたこちらの楽曲。
前作の「RAINBOW RAINBOW」がファンタジー寄りだったのに対し、ニューミュージックテイストが取り入れられた青春ソング、といった印象。
実際、このシングルに収録されたカップリングも結婚式をイメージされたそうなので、恋愛がテーマなのかなぁと思いました。

作詞の松井五郎さんは様々なアーティストに作詞を提供されており、個人的にはアニメ・特撮ソングの印象が大きいですね~(筆者的にはウルトラマンメビウスの歌詞とか好きです)

こちらはMVも製作されており、「森の中のTMと共に踊る子供達」という夢の中みたいな作品になっています。
個人的に一番好きなアレンジは「LAST GROOVE」バージョンなのですが、それはまた別の機会に語りたいと思います。

7.永遠のパスポート

1985/6/21 2ndAlbum「CHILDHOOD'S END」収録
作詞/SEYMOUR 作曲/小室哲哉・木根尚登

アルバム「CHILDHOOD'S END」に収録された楽曲。
小室先生と木根さんによる共作楽曲で、デジタル感があるけど木根さんらしいアコースティックの温かみを感じられる一曲となっています。

全体を通して、抒情溢れる歌詞なのですが
特に好きなのはラスサビの
「本当の事は誰も 知りたくはないさ
 すべてを許せるほど 優しくなれない
 トンネルを潜り抜けよう 「永遠」を
 違う度に見つけたい いつまでも君を」
という部分。
本当の君を知るのが怖いけど、永遠の中でいろんな君を見ていたい、
と個人的には思い、深い歌詞だなぁと思いました。
ちなみに、作詞のSEYMOURとは麻生香太郎さんのペンネームです。

8.DRAGON THE FESTIVAL

1985/6/21 2ndAlbum「CHILDHOOD'S END」収録
作詞/作曲/小室哲哉

アルバム「CHILDHOOD'S END」に収録された楽曲。
作詞、作曲ともに小室先生による楽曲で南米の奥地に眠る黄金郷を探す冒険家をテーマにしたものとなっています。
このアルバム自体、リアル寄りの楽曲が多い中、ドラフェスはファンタジーに振り切った楽曲で、どのライブのアレンジもかなり力が入ってるのがいいんですよね~

「CHILDHOOD'S END」発売から1か月後には新たなリミックスバージョンとしてシングルカットされ、アルバムよりも遊びの多いアレンジとなっているのが特徴的です。
また、ライブでのコーレスに必要な「Magic Words」というのがあるのですが…これはまた別の機会に。

9.FANTASTIC VISION

1985/5/22 シングル発売
作詞/作曲/小室哲哉

3rdシングル「ACCIDENT」のカップリング曲。
明るくポップな世界観と、華やかな雰囲気の歌詞も相まって、
非常に楽しい楽曲となっています。
個人的に好きなのは、ラスト前の間奏部分です。
ライブバージョンでは、間奏部分で木根さんのパントマイムがあるなど、色々な角度から楽しめる楽曲なんですよね。
また、インストバージョンはTNC(テレビ西日本)の天気予報ソングとして使用され、ロバートの秋山さんが度々トークのネタにされております。

10.YOUR SONG ("D"MIX)

1985/11/1 シングル発売
作詞/小室哲哉 作曲/小室哲哉・木根尚登

4thシングルで初のタイアップとなったこちらの楽曲。
OVA『吸血鬼ハンターD』の主題歌ということで「"D"MIX」となっています。
このアニメの作風が、ゴシックホラーファンタジーということで、楽曲もファンタジーな色合いが強くなっているのが特徴的です。
小室先生曰く、ディズニーランドをイメージしたそうで、シンセサイザーとドラムのビートのハーモニーが非常に心地いいですよね~

この3週間後に発売されたミニアルバム「TWINKLE NIGHT」には別アレンジバージョンが収録されており、シングルよりも短いけど幻想的な雰囲気は崩されていないものとなっています。
この『吸血鬼ハンターD』では、劇中BGMも小室先生が担当されており、
「TWINKLE NIGHT」では劇中BGMを編曲した「組曲 VAMPIRE HUNTER D」が収録されており、そちらも幻想的な仕上がりなので聞いてほしいです。

11.TWINKLE NIGHT (あるひとりのロマンティストの生誕)

1985/11/28 MiniAlbum「TWINKLE NIGHT」収録
作詞/西門加里 作曲/小室哲哉

ミニアルバム「TWINKLE NIGHT」の表題曲。
リリースがクリスマスに近い時期であったことから、クリスマスをテーマにした楽曲となっています。
この曲を筆頭に、TMにはクリスマスソングや冬のバラードが多いのでそちらも後々ご紹介していきたいですね。

華やかなメロディとは裏腹に
「TWINKLE NIGHT 幾つもの扉
 Empty Heart 叩き続けていた
 TWINKLE NIGHT 君を捜さなくちゃ
 Come and See 今夜中に」
と、最愛の誰かを取り戻しに行かなければならない、
といったシリアスなストーリーなのも、想像力を膨らませる一曲となっています。

12.ELECTRIC PROPHET (電気じかけの予言者)

1985/11/28 MiniAlbum「TWINKLE NIGHT」収録
作詞/作曲/小室哲哉

ミニアルバム「TWINKLE NIGHT」に収録された楽曲。
8分45秒に渡る大作となっていますが、その分聞きごたえ抜群の楽曲となっています。
この楽曲についての解説は、小室先生のnoteに掲載されております。

FANKSの間では「エレプロ」の愛称で親しまれ、ライブ定番の楽曲となっています。
歌詞の内容も非常にファンタジックとなっているのですが、徐々にメッセージ性の強い歌詞になっているのがめちゃくちゃ素敵なんですよね~
特にラスト部分の
「君の School Days 大切な時だよ
 君の Private Time わかっているさ
 君の Friends of Yours 大切なものだよ
 君の Dad and Mam 素敵な大人さ

 何もすてるものはない
 何もこわすものもないさ
 もしも二人暮らし出しても
 今夜のような夢を見せてあげるよ」
という、ロマンチックなんだけど相手の生き方を肯定しているというのが、凄い素敵だなぁ、と思いました。
これも、ライブバージョンでいいアレンジがいろいろあるのですが、それもまた別の機会に…

・まとめ

1984~1985年のTMについて振り返りましたが、やっぱり長くなりましたね…w
(想定では86年も入れようかなって思ってたけど、長すぎるのもよくないので次回に…)
初期はファンタジーかつ実験的要素を入れた楽曲が多いので、パブリックイメージとは違うTMの魅力が詰まった作品ではないかと思います。
紹介しきれなかったものでは「クリストファー」や「8月の長い夜」とかも、いい楽曲なんですよね~

今回ご紹介した楽曲をまとめたプレイリストがこちらになります。
次回は、ブレイク前夜の86年にリリースされた楽曲をご紹介したいと思いますので、お楽しみに~

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