彼とは
穏やかに続いている。
その昔、まだ付き合い始めたばかりの頃、彼が一度だけ言ったことがある。
子供たちが成人したら、と。
当時、私たちの子どもたちは小学生と中学生。成人なんて遠い先のミライだった。
時は過ぎ、子どもたちが高校生と大学生になり、成人年齢が18歳に引き下がって、ミライが近付いたころ、彼はいった。
成人しても、いろいろあるよね。
期待なんかしてなかったし、私だって、子どもを傷つけたくない。同じ気持ちだからいいのだけど、なぜだかとってもショックだったな。
この夏、彼の下の子は18歳になった。
成人おめでとう。
私たちはこのままで。
欲を出せば苦しい。突き詰めると悲しい。家族がちらつくと申し訳ない。
期待せず、考えなければ、純粋に楽しい。嬉しい。そして満たされる。
人の倫を外れた行為なのだ。それを承知の上でしていること。だからわきまえて、多くを望まず、ひっそりと。だけど情念を持って。