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短いひとり旅から

お盆休みをつかって、2泊3日の旅をした。行先は宮城県古川市(現:大崎市)、1歳から4歳まで過ごしたところである。

私の記憶は古川での生活から始まっている。おそらく秋から冬あたり、カーペットの上に転がるおもちゃを片付けている場面が最も古い記憶だ。おそらく3歳のころである。
古川の冬が特に記憶に残っている。雪が降っていて、とにかく寒かった…。5歳のときに福島県に引っ越したのだが、福島での冬を経験したときに、古川がいかに寒かったかを実感した。
この気候の違いが、理科や社会への興味につながった。

約20年ぶりの古川は懐かしさと戸惑いの連続だった。
よく行っていた古川駅内を歩いたとき、「こんな感じだったっけ?」と強く感じた。というのも、記憶の中にあるお店が全くなく、逆に、当時なかったお店ばかりだったためだ。パンの耳を揚げて砂糖をまぶしたお菓子を売っていたパン屋、いろいろな食品を売っていたスーパー、ミスドはなくなっていた。
かつて住んでいたアパートも新しく綺麗になっていた。
近くのヨークベニマルにはコインランドリーやドラックストアが併設されていた。
20年も経てば、このぐらい変化するのは当然ではあるのだが。

吉野作造記念館に、「今もある・今はない、大崎市の懐かしいモノ」を地図に書き込むコーナーがあった。駅周辺以外の場所でも、20年の間に記憶にあったモノがたくさん姿を消したことを知った。
ただ、今も残っているモノはある。記念館の近くにある荒雄公園に、かつて遊んだ遊具が残っていた。岩出山のバルーンフェスティバルも行われているという。

短い旅ではあったが、この旅で約20年の「時の流れ」を実感した。
最近、なんとなく自分は前に進めていない、立ち止まってばかり、このまま今の仕事を続けていいのだろうか、と悶々としていた。しかし、現実では否応なく時は進み、過去(後ろ)に戻ることはないという「当たり前」を目の当たりにした。

自分がどんなに立ち止まろうとしようとも、「時」という現実が自分を前に向けさせる。自分は完全に立ち止まってはいないと感じさせた旅だった。


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