【実話】私が二度と冬山に登らなくなった理由 - あの日の経験
こんにちは。元登山家の私がこの記事を書いているのには、深い理由があります。2023年1月、ある冬山での出来事は、私の人生を大きく変えることになりました。今日は、その体験を皆さんに共有したいと思います。
致命的な判断ミス
その日の朝は、いつもの冬山登山と変わりありませんでした。1月15日午前5時、気温マイナス12度。山小屋を出発した時は、風も穏やかで視界も良好でした。
ただ、振り返ってみれば、全ての警告サインを私は見逃していました。
午後からの天候悪化予報
下山を急ぐ他の登山者たち
「天気が崩れそうです」という年配登山者からの忠告
「ここまで来て引き返すのはもったいない」
この一つの判断が、悪夢の始まりとなったのです。
白い闇の中で
午前9時頃から天候は急変し始めました。視界は白く霞み、風は強まる一方。そして10時半には完全なホワイトアウト状態に。
その後の出来事は、今でも鮮明に覚えています。
強風による転倒と20メートルの滑落
バックパックの一部損失
方向感覚の完全喪失
進行する低体温症
そして、あの「人影」との出会い...。
不可解な救助劇
疲労と寒さで意識が朦朧とする中、私は二つの人影を目にしました。最初は年配の男性、次に若い女性。彼らは私を導くかのように現れては消え、また現れては消えを繰り返しました。
特に印象的だったのは、最後に現れた若い女性の姿。3年前に他界した妹によく似ていたのです。
結果として、私は山小屋の近くで救助隊に発見されました。30時間にも及ぶ行方不明の末の生還でした。
恐ろしい真実
しかし、これは単なる奇跡的な生還譚ではありませんでした。
退院後、私が知った事実は私の血を凍らせました。
私が遭難した日、他にも親子の遭難者が
二人は私の遭難の2時間前に既に死亡
遺体発見場所は私が最初に転落した場所の近く
そう、私が見た人影は...。
教訓とその後
この経験から私が学んだことは、自然に対する畏敬の念だけではありません。時として、見えないものの存在を意識することの大切さでもあります。
今でも冬の夜、窓の外に人影を見ることがあります。でも、もう私はその正体を確かめようとはしません。ただ、静かにつぶやくだけです。
「妹よ、あの時は本当にありがとう」
最後に
この体験記が、山の怖さと、安易な判断の危険性を伝えられていれば幸いです。登山は素晴らしいスポーツです。でも、自然を甘く見てはいけない。その教訓を、私は命を懸けて学びました。
皆さんも、どうか安全な登山を。そして、もし山で不思議な人影を見かけることがあれば...。その正体を追いかけるのは、よく考えてからにしてください。
この記事は実体験に基づいています。山岳遭難は今でも多くの命を奪っています。適切な装備、慎重な判断、そして何より命を大切にする心を、常に忘れないでください。