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盆踊りの輪

長年いた会社を辞めたとき
盆踊りの輪から抜けたような感覚でした

みんな頃合いを見て抜けたり入ったりしてるのに
ずっと輪の中で踊っていました


私が5歳くらいの頃
町内の盆踊りの輪から抜け方がわからず
ずっと踊っていたそうです

お婆ちゃんは、
楽しいから続けているのかと眺めていた

あまりにも踊り続けているので
お婆ちゃんが私を輪から引っ張り出しました

抜け方が分からなかったと知ったお婆ちゃんは
「疲れたらサッと抜ければいいんだよぉ!」
と可哀想がりながらも言い聞かせ、
気づかなかった自分を悔いているような様子でした。

なぜこの記憶をずっと覚えているのか、
退職した時に、あー これかな と思いました。


若い社員が多い職場だったので、
女性はお子さんを授かり離脱と再加入を繰り返し、転職ブームもあって人がバサバサ入れ替わりました。
私は、ずっとそこにいました。

疲れたらさっと抜ける。
そんなこと、出来ないままでした。

営業日の年間カレンダーが配布されるたびに、
半年後も私はこうしてるのかな
と、心をしぼませていました。

楽しい時もあったけれど、あまりにも繰り返しが過ぎていました。


追い詰められる事がなかったから、長年居られた。
普通はそのように、同僚への感謝であふれるのでしょうか。
感謝できるうちに抜けるのが、大人か。


コロナ明け、夫と共に盆踊りの輪で踊りました。
ふたりとも興に乗ってしまい
疲れて脚がもつれ、目が回って尻もちもついて転ぶまで踊っていました。

盆踊りの輪は、ほどほどで抜けるなんて
そんな甘っちょろいものじゃない。
そんな気もしました。






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