私はただ、好きになれた人に感謝の気持ちを持ち続けていたいだけだ
私は人が嫌いだった
人を好きになることが分からないし
好きになっても伝えられないし
伝えてもいないのに裏切られた気になるし
好きになっても嫌いになることもある
2022年10月、当時一方的に好きになった人物を追い駆けていたことがきっかけで小劇場の舞台に触れ、観劇を趣味にし始めた私は、多くの役者と出会ってきた
2023年1月、『ラチカン』の感想を綴ったnoteを経て、志水もえのさん、斉木香穂さんがTwitterにリプをくださったことで、役者と共有できるものがあると知れたのは嬉しかった
それまで一人だけを追い駆けていたが、関わっていない舞台も観るようになり、私の視野は広がったと言っていいだろう
ただ、当初は全て「共演者だから」という理由に過ぎなかった
共演者の中には、私の心を弄んでいるのではないかと思える言動を取ったり、芝居以外の面で問題があると思われるなど、関わらない選択を取ることにした人物もいる
そんな中で、『ラチカン』の時点から無視できない熱量を持ち、魂に訴える芝居を見せてきたのが真田林佳さんだった
『将棋図巧・煙詰―そして誰もいなくなった―』の伊藤看寿ははまり役で、最も早く「共演者」のフィルターが外れ、「芝居が好きだから」という理由に変わった
それからりんちゃんの出演した作品は全て観劇し、令和6年も続けている
2月『CHERRY BOYS~GRADUATION~』
4月『将棋無双・第30番〜神局のヴァンパイア〜』
5月『お城のトカゲ』『BAN&COLORS』
7月『The Witch~魔法使いの日記~』
これまでの観劇作品数は14で、私が観た役者の中で最も多い
特に4月の『第30番』桂馬においては、ラストにおける台詞が心を震わせ、熱いものがこみ上げてきたことを忘れたくないと思い、記事を残している
役作りに妥協なく試行錯誤し続けるストイックさ、魂を込めた芝居が私を魅了する
表現の技量と存在感は唯一無二であると私は思っているし、今後も注目していきたい
続いて、私の価値観に完全に新しいものをもたらした人が、今野美彩貴さんであった
令和5年5月、『誤解のBar』で初見ながら、魂を震わせる芝居を見せ、私の心を掴んできた
「誰かの共演者」というフィルターがない、純粋に芝居をきっかけに好きになれた人の筆頭と言ってよい
昨年5月の『誤解のBar』から1年、今年7月の 50minutes2024『最後の一票』までで観劇した作品数は8つとなった
美彩貴さんに関しては、今年1月『誤解のBar』〈2階目〉、4月『将棋無双・第30番〜神局のヴァンパイア〜』、5月『4x3』、7月『最後の一票』で個別記事を立てていますのでご参照ください
いつも観る側を楽しませてくれる、まだ私の知らない表現の引き出しやネタも多く持っていると思うし、何より舞台に懸けるパワーが凄まじい
1月、『誤解のBar』〈2階目〉においては体調が優れないにも関わらず、「何としてもステージには上がる」という気迫を見た
4月、『将棋無双・第30番〜神局のヴァンパイア〜』への出演決定は、私にとって過去最大級の嬉しいサプライズであった
美彩貴さんにとって初めてのイーステージトピアであったが、当初から私は「心配はしていない」と言っていた通りで、初日から千穐楽まで毎公演全力で見事にやり抜くことができた
新しい景色を一緒に見られたことが嬉しかったし、信じてよかったと思った
5月、『4x3』はこれまでとはまた違う観劇体験を通し、美彩貴さんの役者としての揺るぎない魂を直に感じることができた、貴重な時間を過ごすことができた
7月、50minutes2024『最後の一票』、新宿シアターブラッツでまた新しい景色を一緒に見ることができ、真っ直ぐで心を動かされる台詞に、純粋な感動と生きる力をもらった
いつも勇気をもらっているそのパワーをこれからも見て感じていたいと素直に思える、美彩貴さんは私の「1番」である
美彩貴さんと時を同じくして、昨年5月の『誤解のBar』、A班B班の全キャストを通して最も感情移入したキャラクターが、村上えりなさんの春名イチカだった
どこか諦観していながらも助けを求めているような繊細な感情を自然に表現する技量の高さは、ずっと印象に残っていた
今年1月、『シーソーゲーム』(ぎったんばっこん)で8か月ぶりの31階〈再会〉を果たすことができた
恋に夢中で精神的にまだ幼い女子高生の感情の起伏を、また自然に演じていた
4月『PLUG』では、うにょちゃんの役と私の中にあるものの距離が0となり、心を突いてくる展開に衝撃を受けつつも、自分自身を見つめ直すきっかけにもなる、記憶に残る作品となった
5月にはおむすびシアターの朗読劇があり、初めての舞台で緊張もありながらも、『誤解のBar』の初見で感じたパワーと豊かな感情表現は健在で、楽しい時間を過ごすことができた
6月、『ピクニック』は作品のテーマと共に、うにょちゃん自身から溢れる想いと魂をこれまでで最も強く感じた、忘れられない作品になった
美彩貴さんが出演した『誤解のBar』〈2階目〉では、初見で芝居に惹かれたと思える人が増えた
1月12日、B班初日オープニングから、横山さんのりすはマイに対する怒りと怨嗟の感情が爆発しており、観ていて苦しくなるくらいだった
20日、千穐楽と3回通して、明らかにその気迫はパワーアップしていたし、抑揚の付け方も繊細になっていた感がある
横山さんからはTwitterでリプを頂いたが、上記の私が受けた印象を正直に申し上げ、ぜひ自信を持っていただきたいと思った
4月の朗読劇『うさぎのダイアリー』で再会、震えるような繊細な声の芝居が『誤解のBar〈2階目〉』のりすを思い出すようで、懐かしさを感じると同時に自分の心も震えさせられるような感覚になった
5月、『努力しないで出世する方法』では、過去の作品とは異なるキャラクターに御本人も苦戦したとおっしゃっていたが、役の幅や引き出しが増えると次にまたお会いできるのが楽しみになった
7月、『堕天使は薄い本を閉じて』で主演を務め、また新しいキャラクターとパワー溢れる芝居を拝見し、1月『誤解のBar〈2階目〉』の初見で直感した感覚は間違いではないと思えた
以上の役者4名が、私が言う「初見から芝居に惹かれた人は片手で数えられる数」に入る人たちだ
表現者は、自分の命の時間を削って作品を仕上げ、世に放つ
私はこのnote上で繰り返し、自分が1ミリも動くことができなかった18年前、堂本剛さんの「人生に無駄な時間なんてない」という言葉で救われたことを書いている
また、20年前に彼が作詩作曲した楽曲『PINK』が、苦しいときの私の心を支えてくれていた
(余談:私のSNSアカウントは物によって文字列が微妙に異なっているが、根本にある思想は堂本剛さん、ꓸENDRECHERIꓸ の"CHERI"と、『PINK』の詩から"PINK"と"BLUE"を組み合わせた、彼へのリスペクトを込めているものだ)
堂本剛さんが命の時間を削って作り上げた音楽、紡ぎ出した言葉によって、私の命は救われた
舞台や役者にも同じことが言える
役者が命の時間を削って作り上げた作品を観た私たちが、感動を受け生きる力に変えていける
私の「1番」である美彩貴さんをはじめ、りんちゃん、うにょちゃんの3人については、私の中での"3強"として不動の位置を占める人になっている
魂を込めた芝居に惹かれたことはもちろんだが、芝居と関係ないところでも、私は彼女たちに感謝していることがある
昨年、『煙詰』の感想を書いた記事に対し、りんちゃんはTwitter上で「出会ってくれてありがとう」という言葉をくれた
その後りんちゃんの配信にも出入りするようになり、言葉の節々から人としての懐の深さを感じるようになった
美彩貴さんは『きゅうきょくのニタク』『大日本非リア充同盟 最期の一日』観劇特典のメッセージを私の誕生日に合わせて贈ってきたし、第一声も「お誕生日おめでとうございます」だった
私がこの世に存在することを肯定する温かい言葉、どちらも心の底から嬉しかった
うにょちゃんは先述のおむすびシアターにおいて、たくさんの言葉を交わすことができ、うにょちゃんが役者として真剣に向き合っている想いを直接感じ取ることができたし、また私の発する言葉を真剣に受け止めてくれることが嬉しかった
剛さん、りんちゃん、美彩貴さん、うにょちゃん
このような人こそが、私が好きに「なれた」人である
(横山さんも"4強"としての地位を確かなものにしつつあると思う)
大切なことは、その人と出会った意味が何なのか、その人や作品とどう向き合うか、何を受け取ったのか、自分は何を返すことができるのか、自分の軸で考えることだと思っている
少なくとも、私こそ「出会ってくれてありがとう」という感謝の気持ちは忘れたくない
そして何を隠すこともない、ありのままの自分でいたいと思うし、はっきり「好き」と言えるようになりたい
好きになれた人たちへ
出会ってくれてありがとう
これからも一緒に生きていきましょう
大好きです