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貴き人と、『将棋無双・第30番~神局のヴァンパイア~』の記憶
1月28日、『誤解のBar〈2階目〉』千穐楽
私は美彩貴さんからお手紙をいただいた
そこには、「しばらく会えなくなるの寂しいです」という言葉があった
美彩貴さんとの出会い、経緯は「貴きもの。『誤解のBar』〈2階目〉観劇記録1会目」に残してある
特に印象深い出来事は、「私はただ、好きになれた人に感謝の気持ちを持ち続けていたいだけだ」に残している通り、美彩貴さんが私の誕生日を祝ってくれたことだ
観劇特典の動画を私の誕生日に合わせて贈ってきたし、第一に「お誕生日おめでとうございます」と言ってくれた
私は自分が生きている意味が分からずに過ごしていた時間を持つ人間だ
人が嫌い、人が怖い
ずっと孤独だった
今でも克服できていない部分は多分にある
そんな中で、自分の存在そのものを肯定する言葉をかけてくれる人がいるということが、素直に嬉しかった
『誤解のBar〈2階目〉』では美彩貴さんへの恩返しとして、またこれまで出会ったキャストの皆さんにも感謝を込めて、舞台を一緒に楽しむことを心掛けて臨んだ
楽しかった分だけ、終わった後のロスは大きかった
「次はいつ会えるんだろう」
「会いたい」
そう思うとロスは尚更強くなり、寂しくなってしまった
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『誤解のBar〈2階目〉』御祝札
そんな中で過ごしていた2月14日、美彩貴さんから届いた告知には、高ぶる感情を抑えられなくなった
それはもう、同じく手紙に書かれていた2月中の配信が再開できなかったことなど気にならなくなるほどの、これまでにない驚きと喜びであった
『将棋無双・第30番〜神局のヴァンパイア〜』出演決定
昨年最も心を掴まれた『将棋図巧・煙詰―そして誰もいなくなった―』から続く詰将棋シリーズに、美彩貴さんが出演する
いつになるか分からなかった再会が、まさかこのような形で訪れるとは思いもしなかった
これまでの時間を振り返り、「新しい景色を一緒に見られる」期待と感謝を込めて、昨年の『煙詰』でやらなかったことの全てを美彩貴さんに贈った
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『誤解のBar〈2階目〉』同様、本名で贈った
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それからの美彩貴さんのTwitterを追って行くと、稽古に勤しむ中で毎回のように「頑張ります」という言葉が目に入った
私は「頑張って」という言葉は返したくなかった
美彩貴さんが頑張っていることは充分に理解しているし、彼女を信頼していたからだ
先述の通り、美彩貴さんは『誤解のBar〈2階目〉』において、体調が優れない中でもステージに立ち続け、役割を果たした信念と底知れぬパワーを持っている
掛けるべき言葉は、「ありがとう」「大好きです」以外に思いつかなかった
昨年9月、『大日本非リア充同盟 最期の一日』、当初は三栄町LIVEへ行くことを躊躇していた
それは出演者の中に、ある人から「この人の舞台に行ってほしくない」と言われていた人物がいたからだ
しかし私は、「美彩貴さんのお芝居を観たい」という前向きな理由で行くことを決めた
人から言われたネガティブな理由で行かない判断をするよりも、自らの意志とポジティブな理由で行く選択をしたのだ
「後悔のない選択」を
行ったからこそ誕生日のメッセージに繋がり、そして今に繋がる、私にとって大きな転換点となり、美彩貴さんが私の「1番」となる始まりでもあったのかもしれない
『誤解のBar〈2階目〉』の劇中歌、マリーメトロノームの楽曲の詩にある「1番になりたい」が、美彩貴さん自身の想いであると理解できた
そして4月10日、『将棋無双・第30番〜神局のヴァンパイア〜』初日を迎える
再び奇跡は起こった
その日終わらせるべき仕事は終わった
(まだ間に合う)
私は新幹線に乗り、上野ストアハウスを目指した
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上野ストアハウス到着
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美彩貴さんが演じる"駒の化身"は、昨年の『煙詰』における"駒の亡霊"より格段に運動量も多く、役目も台詞も多かった
脚本・演出の太田守信氏、プロデューサー若宮亮氏の狙いとして、確実に前作を上回る作品に仕上げようとする意図があることは読み取れた
このレベルアップした役に、初めてイーステージトピアに出る美彩貴さんを充てたキャスティングは、美彩貴さんに対する信頼の表れであるという他にあるまい
事実、美彩貴さんは持っているパワーを存分に発揮し、経験者である高松優奈さん、政田圭敬さんと同じレベルに上り、初めて出るステージとは感じさせないパフォーマンスで、私の心を惹き付けてくれた
無邪気な子供の役、オープニングや劇中に見られたダンス、初めて聴く歌、『誤解のBar〈2階目〉』の冬川あかねを思い起こさせる近距離パワー型、そしてアンサンブルの機敏な動き……変幻自在のお芝居で飽きさせなかった
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主である伊藤宗看のことが大好きで、宗看が何か発言するたびに笑顔を見せていた駒の化身B
ラスト、詰め上がり図の"叛逆の逆十字"が反転し、美彩貴さんの駒の化身Bがステージ最前のセンターに移動するのだが、「宗看が消えちゃう」から自身も消えてしまうときの表情が切なく、印象的だった
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叛逆の逆十字 反転
私は今回初日の他、13日夜、14日昼、夜大千穐楽と4回観劇した
『誤解のBar〈2階目〉』に続き、初日から千穐楽まで一緒に駆け抜けることができ、また美彩貴さんが毎回変わらぬ全力で舞台に立つ姿を見ることができ、私は心から嬉しかったし、信じてよかったと思った
大千穐楽後の今、不思議とロスは感じていない
5月、三栄町LIVEで、美彩貴さんの次の舞台が控えている
昨年5月、『誤解のBar』で出会ってから1年、同じ三栄町LIVEで、また会うことができる
いつもの場所も、新しい場所も
これからも色々な景色を一緒に見て、様々な世界を一緒に生きていきたい
美彩貴さんが生み出したものに純粋に心を惹かれ、生きる力をくれたことへの感謝を持ち続けていたい
いつもありがとう
これからも俺の1番でいてね
大好きです