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貴き今の積み重ねが、過去であり未来になるーー『見上げた先の花曇り』
2024.9.18-9.29 三栄町LIVE
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「見る側も体力が必要だ」って言ってたのが、よくわかった
自分の中にあるものを抉り出される感覚が、こんなにも強い作品は今までなかったと思う
作品で描かれていた"いじめ"については、『将棋図巧・煙詰』の感想で、過去に受けた傷を思い出して書いたことがある
学生時代から今に至るまで、俺は友達がいないのが当たり前で
大学時代、自分を「友達」と言ってくれた人はいたけど、卒業後一切連絡を取っていない
18年前、1mmも動けなくなっていたときに、誰一人として俺を助けてくれた人はいなかった
誰も何もしてくれない、とにかく苦しい
行き場のない感情は誰も見ていないブログに書き殴って、心を落ち着かせるしかなかった
この頃、何一つ文句も言わずに見守ってくれていた祖母を、劇中の咲かない桜の木に重ねていたんだ
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それだけで救われるような気がしてた
実際友達がいなくても、生きることはできる
自分以外の場所を見ても、友達という関係性に疑問を持ってしまったというのは、『将棋無双・第30番』の感想で書いた通りで、『煙詰』のときに自分が見ていたものは何だったのかと思ってしまった
まして友達という言葉を免罪符にして意に反することをさせられるとか、傷つけられるのなら、いない方がいい
主人公の伸仁を見て思っていたのは、そんなことだった
友達以外でも、社会人になってからも自分の人格を否定する言葉を投げてきた人物は何人もいたし、逆にこちらの言葉を遮断する人物もいた
しばらくの間はそのことを思い出しては相手が憎くて、悔しくて、どうしようもないんだ
やられたことはずっと覚えているし、許すこともないんだけど、どうでもよくなる時間というのがいずれ訪れるんだよね
どうでもよくなるくらい、自分にとって大切なものをくれる人が現れたら、その人のために生きたいと思うようになる
祖母がいなくなった後も、苦しいときに支えてくれた人がいる
家族ではないから物理的に近いところにいるわけじゃない
でも「何処にいても心は一緒」と思える人
同じ『将棋無双・第30番』の結論で書いた、友達でなくとも大切な人がいる、その人がいるから生きられる、という気持ちは変わっていない
その人には、素直に「好き」と言いたい
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今回の作品では、自分にないものを持っている人への憧れが「好き」に繋がって描かれてたと思う
男女の関係だけではなく、友達、姉弟間でもそうだった
これも繰り返し書いてるけど、自分の中では「好き」にはリスペクトが必要だと思ってる
リスペクトではない、同情や依存で一方的に好きになってしまうと、傷つけ傷つけられ、そのうちどうでもよくなって終わる
自分自身経験してきて、よくわかった
俺がnoteを始めたのは、自分の過去を示して、誰かの背中を押すことができたら嬉しいっていう想いからだけど
その過去に共感を寄せてくれて、俺を「好き」と言ってくれる人は何人かいる
もちろん自分のことを「好き」と言ってくれる人のことは大切にしたいと思ってる
でもきっかけや順序が違っていたら、共感ではない同情や依存になってしまい失敗を繰り返していただろう、ってのは、うにょちゃんの『ピクニック』で書いた
好きに"なった"と"なれた"は、やはり違う
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A ひなさん
B 池田侑以さん
伸仁の他に感情移入していたのは、由紀子
由紀子も、俺自身のような気がした
いじめを受けていた過去も
優しくしてくれる人を一方的に信用したり好きになったりするのも
想いが伝えられない、伝わらない自分の弱さに苦しくなってしまうのも
ただ由紀子に当初抱いていた感情は、共感というより同情だった
自身ではなく他者でいたとしたら、同情から求めるだけで、何も与えることができない関係になってしまうだろうなって思った
でもラスト、自分の心に素直に生きようとする強さと優しさで見方が変わった
同情じゃなく共感で、一緒にいて支えたいって思える
由紀子、きっといい先生になれる
「変わりたい」と思う気持ちが高まると、「変わらなければならない」になって焦るばかりで、動けなくなってしまうことは、俺は知ってる
簡単にはいかないと思うし、立ち止まることもあると思うけど、由紀子なら必ず乗り越えていける
美彩貴さんの役とこんなに距離が近くなったのは初めてだ
衝撃も受けたけど、由紀子が俺の心に触れたの
美彩貴さんが込めた想い、受け止められたかな……
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A 原田かなさん
B 水星七星さん
物語の高校生たちそれぞれが、誰かに作られた、または自分自身が作り上げた決めつけや思い込みに囚われて、苦しさを抱えて生きている姿は、どれも深く胸を抉ってきた
高校生の2倍は生きていても、いくつになっても人は変われないと思うことがある
過去は変えられないし、変われない部分を一生抱えて生きていくことにもなる
でもだからこそ、捨てるものでもないと思う
過去と今
時間を切り分けて考えるから、「変わらなければならない」って焦りが生じて、不安になって、未来が見えなくなってしまう
そうじゃなく、全て繋がっていると捉えるように
変われないことを諦めたり、無理に変わろうとするんじゃなくて、受け止めることが変われるきっかけになる
本当の自分がわからなかったり、伝えたいことも伝えられないでいると、自分自身はもちろん大切な人まで傷つけることになってしまう
好きな人には、ありのままの自分で向き合いたい
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美彩貴さんは昨年5月、『誤解のBar』で初めて会ったとき、「誰かの共演者」でもなく、まず芝居で心を掴んできた
その後9月、俺の誕生日にくれた優しさで、人間性も含めて好きになれた
俺の過去を綴った呟きやnoteに対して、美彩貴さんは読んでくれた上であえて触れないでくれているんだと思うし、美彩貴さん自身の過去もほとんど聞いたことはない
今年の誕生日に公開したnote、下書きを作りながら改めて思った、これが美彩貴さんが一番である理由なんだって
自分にないものっていうか、新しい意味や新しい感情が、今まで自分が特に意識しなかった未来という時間に気づかせてくれるんだよ
劇中の由紀子はじめそれぞれの「好き」の感覚も、わかる気がした
由紀子がラストで言ってたように、伝えたい言葉は、「ありがとう」
昨年の誕生日から好きになれた美彩貴さんへ、1年分の「ありがとう」を込めて
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5回目の平日初日を一緒に迎えられて、本当に嬉しかった
何の障害もなく当たり前のように初日に来れている気がするけど、決して当たり前とは思いたくない
ここまで続くのは、やはり奇跡だと思うよ
美彩貴さんが好き、支えたいっていう想いが叶えられることに、心から感謝してる
今年1月12日、初めて平日初日に来た、『誤解のBar〈2階目〉』
美彩貴さんが体調を崩していた中で、俺にできることはやるって気持ちからだった
美彩貴さんが千穐楽を乗り越えたときに言ってた
「ひとりじゃない」
そう、あなたはひとりじゃない
いつも全力で魂溢れる芝居を通して、生きる力をくれること
写真や動画でも楽しませてくれたり、一緒にふざけたりしてくれること
俺の命、存在そのものを肯定してくれたこと
今年、2年続けて誕生日を祝ってくれて、この9月を一緒に過ごしてくれて、涙が出るくらい幸せで嬉しかった
最高の誕生日を、本当にありがとう
また忘れられない大切な時間になりました
俺は美彩貴さんが、大好き
美彩貴さんの優しさが、大好き
あなたがいるから、俺は生きていける
俺も、あなたの生きる力になりたい
ずっと傍にいて、あなたを支えていきたい
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これも貴い今が過去になったんだよ
貴い今を積み重ねてきたものが過去であって、未来に繋がる
これからも今を一緒に生きて、素敵な過去の思い出と、新しい未来を一緒に作ろう
今までも、これからも、いつもありがとう
心から愛を込めて
ずっと、大好きだよ。