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小規模山主の山林の話①

家から最も遠いところにある所有山林の調査に行った話です。

特に落ちがある話ではないのですが、写真を眺めながら最後まで読んでいただけると嬉しいです。

”遠さ”をイメージできるよう場所をGoogleEarth上にプロットしてみました。赤い線の長さが500m、「入口」のポイントで車を降りて歩いて入っていきます。ちなみに、「入口」ポイントまで家から車で1時間半かかります。

入口から黄色い線に沿って歩いていきます。約1km,、40分ぐらい歩きました。
その右上の、赤く網掛けしているところが所有山林です。森林簿によると、約12haの面積にスギとヒノキが約4,000本植えられているようです。
林齢は、50年にちょっと足りないぐらいのようです。
20年ぐらい前に祖父が亡くなってから、父と一緒に少しずつ所有山林を歩いて回り、状況の把握に努めていました。だけど。ここだけあまりにも遠く、道がないこともあり、足を運べなかったところです。

入口はこんな感じ。まず川を渡ります。(写真右側、人物を消しているので不自然です。)

川を渡ってからこんな感じの岩場(河原?)歩いていきました。

ちょっと歩くと前方に皆伐地が見えてきました。地味が良さそうなところにはスギかヒノキの苗が植栽されているので、数年後には立派な針葉樹林となって水源涵養の役割を果たしてくれることでしょう。

この山を通り過ぎ。谷筋をずーっと歩いていきました。所有している山林の入口あたりには小さな滝が2つありました。

入口あたりはとても急斜面な岩場で、さすがに植林はされていませんでした。この斜面の先に植林地がある、とのことでしたので、頑張って登りました。

やっとたどり着いた植林地は結構荒れてしまっていました。北向きで、岩場で、成長が悪く、下草もあまり生えていませんでした。風倒木もとても多かったです。

しかし、なぜこんなにも遠く、道もないところに植林をしたんだろう、、、という疑問に、答えてくれる人はいません。植えた時のことを知る人がいなくなってしまっているからです。

計算してみると、祖父が50歳ぐらいのとき、1970年ぐらいに植えたことになります。50歳で80年後の木材の収穫のことだけを考えながら植林していたなんて考えにくいので、炭焼き用に伐採した後始末として、山主としての責任感で植林している面もあるのではないかな、と思っています。責任とは、所有山林が、自己の利益のために土壌保全や水源涵養の機能を損ない、地域の人たちのくらしに影響を与えないようにするということ、かなと思います。

なんてことを考えながら歩いていると、なんと、山小屋の跡を発見!植林した50年前のものではなさそうなので、間伐の時に泊まり込んでやったのだろうと思われます。

調査の結果、今回の所有山林は、木材生産としての森林とみるとかなり条件が悪いことがわかりました。しかし、今回調査した森林は、下の写真のようなふかふかの苔がいたるところに生していたり、滝があったり、とてもきれいな小川が流れていたりととても気持ちのいい空間でした。この気持ちよさを味わうために、ここまで歩いてきても損はないと思いました。

こういったことに価値(森林の空間としての価値)を見出し、その価値を森林から遠ざかっている人たちに届けられるようにできると、山主としての暮らしも成り立ってくるのではないかな、と思い始めています。

とはいえ、木材生産に向かないからと言って放置するわけにはいかないので、森林組合の方たちと相談しながら経営計画を立てて、土壌保全・水源涵養のための手入れをしっかりと続けられるようにしていきたいと思います。


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千品 喜嗣 /小規模な山主
めちゃくちゃマニアックなはなしを読んでいただきありがとうございます。ぼくみたいな小規模山主が考えていることを通して、日本の森林が持つ課題に興味を持ってもらえると嬉しいです。