DWSIM:蒸留塔計算、エタノール濃縮-供給段の影響
DWSIMでのエタノール濃縮プロセスについて供給段の影響についてのCase Studyを整理してみました。
DWSIM v6.4.7(執筆時)
以前に整理したエタノール濃縮の検討内容は、以下になります。
DWSIMの紹介は、以下になります。
プロセス状況を整理
5%エタノール水を70%upまで濃縮することを以前に検討してみた。
蒸留塔のプロセス構成としては、22段(コンデンサー、リボイラーを1段とカウント)で、供給段は、5段目(コンデンサーが1段目であるので、6段目になる。)、還流比は、0.5、リボイラーからの液量は、1858kg/hrとした。
詳細、設定ファイルは、上につけたリンクにあります。
Case Study
供給段を3段 ~ 15段目まで変動させたときにプロセスがどうなるか確認した。
設定項目は、Feed Stage(パラメータスタディの対象)、Reflux Ratio 0.5、Reboliler product 1858 kg/hrで計算し、リボイラー負荷[kW]、コンデンサ―負荷[kW]、エタノール濃縮の濃度、エタノールの回収率を整理すると以下のようになった。
結論としては、塔の3段目から供給した方が、より良い結果が得られることが予想されている。
設定方法としては、蒸留塔カラムモデルの設定画面において、
Configurationタブ > Connectionsタブ > Stream-Stage AssociationタブのPort Type : FeedのStage Locationを変えて、都度計算し、計算結果をスプレッドシートでまとめた。
DWSIMには商用のプロセスシミュレーターのようにFeed Stageをパラメータスタディの対象とすることができなかったため、マニュアルで変更して値を控えての繰り返し作業を行った。
まとめ
蒸留塔モデルにおいて、供給段を変更するCase Studyをおこなった。
計算確認をした範囲では、目的とする操作に対しては、供給段を塔の上側に設定することが望ましい結果であった。
所感
蒸留塔の検討においては、塔頂濃度、塔底濃度を指定して、供給段を変化させることで、必要となる熱量のバラツキ(最も消費が少なくなる段)を確認するアプローチの方がイメージがしやすいと思う。
塔のスペック指定を濃度とすると、DWSIMは収束性がわるい傾向がある。還流比、リボイラーの焚き上げ比、または熱量を指定すると収束はしやすくなる。
小型の試験装置で、できる操作(供給段が真ん中からしかできないなどで)でトライしておくとシミュレーターの信頼性と実際の傾向を確認するなどもできるとおもう。傾向をつかむ(今回であれば供給段は上目になるのだろう)には十分ではないかな。
今回の結果は、正しいかは、別途商用ソフトでも確認をしておこうと思う。
蒸留プロセスの検討には、ショートカット法と呼ばれる方法もある。こちらでは、最適供給段と考えられる結果も得られる。こちらの機能についても紹介していきたいとおもう。
Optimization メニュー > Sensitivity Analysisから供給段のパラメータスタディを行いたかったが、項目としてないようであった。
DWSIMは、Python スクリプトを使って、計算フローの制御、値の抽出などもできるので、供給段に対するケーススタディは、そちらから行うことができると予想している。開発者に質問をしておこうと思う。