見出し画像

G'sでの日々 #4

卒業制作「あぐしす」は、豪雨による農地の被災状況をLINEで報告できるシステム。
オープンデータを利用したオリジナルの農地検索機能を備えている。
自治体独自のネットワーク構造において、また庁内のルール上、どの技術が使えてどの構成でなら実際に導入できるのかに砕心した。

当初、導入に関しては半ば諦めていた。
新しいものを取り入れるにはややこしい手順を踏まなければならない。
あったらいいなとみんなが言うものでも簡単に受け入れてもらえないのは明白だった。
案の定、所属長に構想を話すと「エクセルで管理してくれたらそれでいいから」と流され、情シス担当の面識のない職員に相談したら「作るってどういうことですか。何言ってるのか分からない」とあしらわれた。
実際に使えるものを作ることができたのは、メンターさんが丁寧に向き合ってくれたおかげだ。

私のメンターはブロックチェーンを扱う会社の社長さん。(どれほど大好きかは読者が引くほどの熱量で後述する。)
週1回のメンター会で進捗や詰まりどころを確認し、ホワイトボードに図を描きながら一緒に悩んでくれた。

業務フローを整理し、庁内のネットワーク構成を調べ、装備する機能を絞り、他部署の類似システム導入状況を聞き取り、ネットワーク関連の相談ができる職員を探った。
幸い前の職場でお世話になった上司が情シス担当部署にいて親身になってくれた。有り難かった。
ここで、クラウド上に個人情報を置かないことやノーコードデータベースを使い他職員に引き継ぎできるものにするといった条件が示される。
ネットワーク内での構築はできない。メンターさんと相談の結果、生のPHPとJavaScriptを使って作りかけていたプロトタイプを捨て、LINEをメインに0から作ることを決めた。これより他になかった。

結局、使用技術は
■ LINEbot:MessagingAPI, GAS, GoogleSheets, GoogleDrive, LINE Front-end Framework, React, daisyUI
■ Web:Next.js, daisyUI
■ DB:GoogleSheets, UnitBase
に落ち着いた。

こだわったのは、非エンジニアの職員が簡単に更新できるようオープンデータをそのまま使えるGoogleSheetsをデータベース代わりに使用したこと。
誰でも扱いやすくweb上で開発できサーバーレスで動かせるGASを使ったこと。ただし、今回はClaspを使用しTypeScriptとESLintとPrettierで補強してローカル環境で開発した(これが楽しかった!)。
庁内のネットワークとルールに対応するため、最終的にWebでダウンロードしたcsvデータをノーコードデータベースに取り込み、様式を自動出力できるような仕組みとした。

ちなみに、LIFFとWebのUIは当初、Material-UIとChakraUIを比較検討していたのだけれど、途中でdaisyUI(TailwindCSSのコンポーネント)の可愛さにハマり変更した。なお、LINEのカルーセルデザインはCanvaを使用。
デザインが気に入るとモチベーションが上がる。これはプレゼンのスライドも同じだ。

朝目覚めた瞬間からコードを書き昼休みにコードを書き帰宅後寝落ちするまでコードを書いた。特にこの2ヶ月はベッドを使っていない。

人より時間のかかる私は人より時間を確保しなければ間に合わない。

メンターさんには企画のブラッシュアップから技術選定の考え方、環境構築の大切さ、gitのマナー、綺麗なコードの書き方、他にもたくさんのことを教えていただいた。
毎回問われる「できたんですか?」にできましたって答えたくて必死だった。失望されるのが怖くて、できていないときの厳しい言葉が怖くて、しんどい日の方が多かった。
それでもメンター会は楽しみだった。メンターさんにも他のメンティにも会いたかったし、いつもG'sで頑張ってる大好きな同期の顔も見れた。メンタリングの後は必ず「なんだ!簡単にできそう!」って前向きな気持ちになれた。何一つ簡単じゃなかったけれど。。

圧倒的に詰んでいる時間の方が長く絶望してばかりだったけれど、一番学びが多く充実した日々でもあった。

そうしてあっという間の締切当日。企画書を修正していたらこの半年のことが思い出され、泣けてきて手が震えた。
卒業制作を提出できたのは締切時間の5分前。担任の先生が心配してメッセージをくれていた。(全然見てなかった。。)
「今日中にいけそうですか?」
「ギリギリまで大丈夫ですので頑張ってください!」

そして出した直後のメッセージがこれ。
「やるやん!!!
 寝て!!!もう寝て!!!!
 お疲れ様でした!!!!!!!」

後日聞いた話によると居合わせたLABメンバーも心配してくれていたとのこと。
本当にもう最後まで余裕なくて申し訳なかったな。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?