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タイムマシーンがもしあったら…
タイムマシーンがもしあったら。
私はどこに戻りたいのだろうか。
間違いなく、「彼女」がアイドルになった瞬間に行きたい。
その時点で出会って、お見立て会に行って、たくさんの彼女のアイドルとしての歴史を見届けて、2022年8月22日を迎えたい。
いや、2022年8月21日で時を止めたい、とほんのりと思う。
2022年8月22日。
卒業発表した。私の「青春」が卒業発表した。
ずっと、ずっとその瞬間がいつ来るのだろうか、と過ごしていたここ数年であった。
1期生が卒業発表をしていき、一人、また一人とメンバーが減っていくたびに「次かもしれない」「まだアイドルでいてくれるよね」という相反する感情に襲われていた。
欅坂46を知ったのは中学生の時、本格的に応援し始めたのは高校生になったばかりの頃だった。
その頃は別のメンバーを応援していたのだが、そのメンバーが卒業発表した後に行ったライブで彼女に心惹かれた。
その頃から欅坂はいわゆる「不穏」という状態で不安定なグループなのはファンならだれもが分かっていたような、そんな状態だったのを思い出す。
そんなライブでキラキラした笑顔を会場の隅から隅まで振りまいて花道を走り回るその子を見て、
「まだ欅坂を応援したいな」
と思ったことは昨日のように覚えている。
私がちょうど大学受験について本腰を入れ始めたころだろうか。欅坂がシングルを発売できなくなり、暗い雰囲気に包まれていた。
その時に先頭に立ってグループを守っていたのは間違いなく彼女だった。そんな彼女を見て私も奮起させられたものである。
欅坂46はそんな中でも東京ドームという大舞台に立った。これからが見えた気もするし、何となく、欅坂の終焉を感じたような気もした。
そして、シングルが発売できない中でも彼女はグループ外で活動をつづけた。
初挑戦の舞台。大学に合格してすぐチケットを取って見に行った。彼女の未来が見えた気がして嬉しくなった。
世間が流行りのウイルスの混乱に陥っていた頃、欅坂46は活動休止した。
この時にも彼女は先頭に立っていた。
「ここから強くなるために」
「まだ真っ白の色ないグループを皆さんと」
そう言葉にしていた。私は画面の前でわんわん泣いていた。あの時の感情は今まで生きてきて一番思い出したくない感情かもしれない。
好きなものが消えてなくなるようなそんな感覚。
櫻坂46になってからは彼女がのびのびと活動しているように見えて安心していた。
だが、櫻坂になってから、1期生の卒業が続いた。
そのたびに彼女は泣かないように毅然とした態度でメンバーを送り出していた。
時に、カメラに映らないところで泣きじゃくっている彼女を見ていとおしく思った。
彼女は、櫻坂46に改名してから、繰り返してこう言っていた。
「櫻坂46を東京ドームに」
2022年。ツアーのファイナルが東京ドームで開催されることが発表された。
彼女の夢が叶うことを彼女のファン以外も喜んだ。
「もうこれで彼女は卒業してしまうんだろうな」
という思いを同時に抱えた者も多くいたのではないだろうか。私もその一人である。
そして、2022年8月22日。彼女は卒業発表した。
彼女は自身のアイドル人生を「長い夢を見ているかのような波乱万丈なアイドル人生」と表現した。
卒業を決意した理由として彼女が「1人の人間として今までの経験を大切にしながらもう一度自分らしく、心に正直に生きたい」と述べたことに私はほっとした。
やっと自分のことを考えられるようになったのか、と。
グループのキャプテンという立場である以上、いつも前に立って逆風に吹かれ、つらいことも悲しいことも時に一人で受け止め、自分の人格を忘れてしまっているのではないか、と思うことが多々あった。
そんな彼女が心に正直に生きたい、といって卒業していくのは私は寂しくも嬉しく思う。
自分の「青春」の人には「ほんとうのさいわい」を探してほしいと思うから。
これからのことについて、「心を込めて過ごす」と表現する彼女は、最後まで私が好きになったアイドル像そのものだな、と改めて思わせてくれた。
アイドルとしての残り2カ月、アイドルにしかわからない「ほんとうのさいわい」をもっと掴んでほしい、そう思う。
タイムマシーンがもしあったら。
私のこの切なさは解決できるのだろうか。
「タイムマシーンで、彼女が愛された時代を一つ一つたどりたい。」
タイムマシーンがもしあったら、私はどこに戻る、ではなく彼女が愛された7年間を旅したい、そう思う。
誰よりも謙虚で、優しくて、可憐で、そんな彼女が愛された時代が一番美しくまるで桜が満開に咲き誇るような景色が広がっていたに違いない。
菅井友香さん。7年間たくさん頑張ってくれてありがとう。
卒業、おめでとう。