ツヴァイク原作とはちょっと違う 映画「ナチスに仕掛けたチェスゲーム」(2021年)
だいぶ日が経ってしまいましたが、7月末、大好きなシュテファン・ツヴァイク原作の短編小説「チェスの話」を原作とする映画「ナチスに仕掛けたチェスゲーム」を観てきました。
原作を読んだときの記録はこちら。
この無名のチェスの名人である男性の悲劇は、ナチ・ドイツとオーストラリアと合邦したことに始まります。ウィーンで公証人をしていた男性は、位の高い人々の財産を管理していました。それに目を付けたナチの役人は、彼をホテルの一室に閉じ込めて、それらの財産にアクセスするための情報を渡すように言います。
男性は断固として応じません。そのために、何日も何日も、何もない部屋に閉じ込められ、会話も読書も音楽も断たれます。
ある日、手に入れた一冊の本が彼の救いになります。
それは、チェスの名試合を記したものでした。
◇
映画では、愛する妻との華やかな生活、囚われの日々でやつれておかしくなっていく様子、過去と現在が混濁している船での様子などが執拗に描かれ、男性の精神の混乱と崩壊に巻き込まれていきそうです。
原作には出てこない登場人物やエピソード、脚色が施されていて、原作というか原案?くらいな違いがありましたが、主演の演技は鬼気迫るものがあったし、話の構成は凝っていたし(ちょっとやりすぎ感もあるけど)、「え?」という終盤もそれはそれでありかな。
ツヴァイクの小説はさらっと書かれていて、そのままでは映画としてはドラマティックではないので、まあ映画は映画で楽しめました。
とはいえ、やっぱりツヴァイクの原作も推したい。( ´∀` )
「チェスの話」が入っている短編集、他の作品も面白いので、おすすめです!
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