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ツヴァイク原作とはちょっと違う 映画「ナチスに仕掛けたチェスゲーム」(2021年)

だいぶ日が経ってしまいましたが、7月末、大好きなシュテファン・ツヴァイク原作の短編小説「チェスの話」を原作とする映画「ナチスに仕掛けたチェスゲーム」を観てきました。


映画「ナチスに仕掛けたチェスゲーム」

原作を読んだときの記録はこちら。

ニューヨークからブエノスアイレスに向かう客船での話。チェス以外にはまったく能力のない世界チャンピオンにお手合わせを願い出た「私」たちチェス愛好家グループ。束になってもチャンピオンにはさっぱりかなわないのだが、ある一局で、見知らぬ客が効果的な助言を出して、引き分けになる。今度はぜひ、あなた一人でチャンピオンと対局してほしいと「私」が交渉すると、見知らぬ客は、自分の身の上を告白する。その体験とは…

世紀転換期ウィーンをしのぶ ツヴァイク『チェスの話』(みすず書房 2011年) : 本日の中・東欧 (exblog.jp)より


この無名のチェスの名人である男性の悲劇は、ナチ・ドイツとオーストラリアと合邦したことに始まります。ウィーンで公証人をしていた男性は、位の高い人々の財産を管理していました。それに目を付けたナチの役人は、彼をホテルの一室に閉じ込めて、それらの財産にアクセスするための情報を渡すように言います。

男性は断固として応じません。そのために、何日も何日も、何もない部屋に閉じ込められ、会話も読書も音楽も断たれます。
ある日、手に入れた一冊の本が彼の救いになります。

それは、チェスの名試合を記したものでした。


映画では、愛する妻との華やかな生活、囚われの日々でやつれておかしくなっていく様子、過去と現在が混濁している船での様子などが執拗に描かれ、男性の精神の混乱と崩壊に巻き込まれていきそうです。

原作には出てこない登場人物やエピソード、脚色が施されていて、原作というか原案?くらいな違いがありましたが、主演の演技は鬼気迫るものがあったし、話の構成は凝っていたし(ちょっとやりすぎ感もあるけど)、「え?」という終盤もそれはそれでありかな。

ツヴァイクの小説はさらっと書かれていて、そのままでは映画としてはドラマティックではないので、まあ映画は映画で楽しめました。

とはいえ、やっぱりツヴァイクの原作も推したい。( ´∀` )

「チェスの話」が入っている短編集、他の作品も面白いので、おすすめです!


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