CheFuKo(チェフコ) ウクライナの人々に癒しを
支援の体験レポート(2)
CheFuko(世界の子供たちのために)は、活動の一環として10年前からウクライナの子供たちの支援を続けています。当初はチェルノブイリの原発事故に巻き込まれた人々、そして昨年からはロシアのウクライナ侵攻の被害に遭った子供、人々の支援を継続しています。 その活動の特徴は、物資の供給だけでなく、直接訪問し温熱療法(※)で、戦禍に巻き込まれ苦しむ人々の身体と心を温め、癒すことにあります。 そのチェフコの支援とはどのようなものか。それが現地の人々のどのような救いになっているのか。その実態を報告する隊員の手紙を以下に紹介します。そこには支援する側にも得られる充実感、喜びも描かれており、ボランティア活動の意味を知る格好のレポートにもなっています。
※温熱療法=チェフコが訪問支援に使っている温熱療法は「スーパー温熱」といいます。遠赤外線が出る温熱器を、衣服の上などから身体に直接当てることで遠赤外線を深部まで浸透させます。芯から温めることで血液やリンパの流れを良くし、新陳代謝を高め、自律神経の機能を調整するなどの効果があると言われています。 温熱器に使用されているテラヘルツ鉱石からテラヘルツ波、遠赤外線、ラジウムの三つの波長が出ています。 これらは電磁波の一種ですが、体に害はありません。人間の体内は70%の水分でできています。その水分がこの電磁波の波長を吸収すると体内の水の分子に伝わり振動を始めるのです。これは共鳴振動作用と呼ばれ、この働きが体の中から熱を発生させ体を温め、さらに血液や水分を揺すって小さな粒にして、さらさらと流れやすくします。
隊員の体験報告
前回は現地支援に参加した森和美さんが、CheFukoの浅井隆最高顧問に送った森和美さんの手紙から(その1)を紹介させていただきました。今回は、森和美さんの手紙から(その2)をご紹介させていただきます。一部を除いています。
森和美さんの手紙から(その2)
先日(2023年8月)は、第三回の活動に引き続きチェフコ様の第四回ウクライナ避難民支援活動という大変貴重な機会に参加させていただきまして、誠にありがとうございました。
温熱施術は相変わらず未熟な私ですが、今回も大久保さんを始め、チェフコのスタッフの皆様のサポートのお陰で、最終日まで無事に活動することができました。
ウクライナ組とワルシャワ組に分かれて活動する日もあり、それぞれ大きなトラブルなく無事に全日程を終え、全員で帰国できました事、心より嬉しく感じます。
ウクライナ組からの日々の活動報告写真を見るたびに、心が押し潰されそうな気持ちになりました。勿論、笑顔の写真も沢山あり、チェフコのスタッフを待ち望んでいた、歓迎と喜びの気持ちが見てとれました。しかし、その裏には、ロシア軍による攻撃が生活の身近にあり、戦争が罪のない一般人の暮らしに簡単に入り込み、たやすく破壊していくのだ、という戦争の惨さが心に突き刺さりました。そんな状況のなか、現地入りをして支援活動を行ったチェフコさんの決断力と行動力に改めて敬意を表します。
モドリンスカ人道センターでの活動は、前回施術を受けてくれた方も多く、見知った顔が並ぶスタートとなりました。連日施術を受けに来てくださる方も何名もいらっしゃり、温熱支援が受け入れられていることを実感しました。言葉が通じなくても心が通いあいました。文化や習慣が違ってもこころと身体が「ほぐれ癒される」ことの心地よさは世界共通なのだと感じました。
温熱の技術はとても未熟な私ですが、今回の活動参加にあたり、三つのテーマを持ち臨みました。
「こころも身体もあたためる」
「手当てされることの安心感を伝える」
「想いを届け笑顔を増やす」
です。強い気持ちで活動に臨み、自分ではテーマ達成と評価しています。施術後は皆さんとても素敵な笑顔になっていました。
特に、インタビューも受けて下さった高齢のご夫婦が毎日来てくださった事が一番印象に残っています。ご主人は前回も連日来てくださり、「今回チェフコが温熱マッサージに来た」ということで、是非奥様にも受けさせたい、と連れてきて下さいました。
「森さんの施術がいい」と嬉しいお言葉をいただき、ご夫婦で仲良く待っていてくださいました。お二人とも温熱をとても気に入って下さり、ご主人は身体全体の温めをご希望でした。足先が特に冷えていたので念入りに温め、チェフコが活動終了してからもセルフケアができるように、簡単な指先運動をお伝えしたらとても喜んでくださり、私も嬉しくなりました。
奥様は、「右肩がとても痛く腕が上げられない」とのことでした。僅か十五分の施術で私に何ができるのだろうか、どうしたら痛みを軽減させてあげられるのだろう、と一生懸命に考え、今ある知識と技術の中で出来る限りのものが発揮できたと感じています。施術翌日には「昨夜はとてもよく眠れた。痛みで夜中に起きることもなかった。」と素敵な言葉がいただけてとても嬉しくなりました。
今回の活動で「笑顔を増やす」ことが私のテーマの一つでした。温熱施術により笑顔を増やせたのは勿論ですが、それ以上に私に笑顔が増えました。幸せな気持ちの連鎖と偉大さを実感しました。
子ども達は以前よりも身体的問題は減った印象を受けましたが、精神面での不安定さや、限られた空間・人間・場所でのストレスについてはあまり解消されていないと感じました。
「ご飯の量や種類が減った」「仲良くなっても、いついなくなってしまうかわからない」「ケーキやクッキーはあるが新鮮な野菜や果物はない」といった不満や不安。たくさんの大人に囲まれて生活すること、プライベートがないこと、母親が精神的に不安定なので自分の気持ちを言えない時がある事など、多くの問題が子どもたちにのしかかっていました。
「温熱マッサージは逃げてこられる場所」と言っている子がいました。それを聞いた時、胸を撃ち抜かれたような気持ちになりました。施術の間だけでもゆっくり休んで欲しいと思いを込めながら施術しました。
温熱が目的ではなく、触れ合いがしたくて連日予約をする子もいました。アクティビティに積極的に参加することで無意識のうちに精神のバランスを保とうとしているのではないかと感じました。
腎臓が一つしか残っていない女性も毎日来て下さいました。温熱施術よりも足のマッサージをして欲しいと言われたので「明日来て頂いた時には浮腫軽減のマッサージができるように勉強してきます」と約束し、初日は温熱施術をさせて頂きました。施術については「とても良いが熱い。足の浮腫をどうにかしてくれ。機械は嫌い。」とのことでした。
ホテルへ戻ってから、足の浮腫を軽減させる方法を調べ、ユーチューブで動画を見て勉強しました。浮腫をとることも大切ですが、それよりも「注意点」や「してはいけないこと」を念入りに調べました。身体を触ることへの責任を改めて見直す機会にもなりました。緊張感を持ちながらのぎこちない施術にも関わらず「素晴らしい」と評価して下さり、私なりに真剣に向き合って精一杯やれたことを褒めて頂けたのだと感じました。達成感と満足感が得られました。
背中と肩に触れるだけで痛みを感じる女性、右膝が曲がらない女性、右腿の痛みで歩行が辛い女性、目眩とふらつきに悩む女性、触れ合いがほしい女児。ここには書き尽くせないのですが、皆さん温熱施術で「悩んでいる症状が劇的に改善された」と大変喜んで下さり、毎日来てくださいました。
また、今回はボランティア持ち込み企画を行いました。足浴のレクチャーを行い、一回目は興味を示していただき沢山の方に集まっていただきました。しかし、日本とは違い足を湯に浸けたり、足を洗うという習慣がない為、急遽、足の反射区(足裏など末梢神経の集中している部分)を使ったセルフケアをもう一人のボランティア参加者である越後屋さんに考えていただいて、第二回目も多くの方が集まってくださいました。
文化や習慣をきちんと学び、準備し、相手の実情に合わせたものを提供することの大切さを学習できました。次回参加の際には今回のことを踏まえ、事前準備をしっかり行います。
以前にも少し触れましたが、私の理想とする“温熱介護”の形が、今回の活動に参加させて頂き、自分の中で温熱施術と介護技術の提供事業の可能性について、より具体的なものとして捉えることができるようになりました。
痛みや拘縮により関節可動域が狭くっている方でも、温熱施術により期待以上の効果が得られ、また、身体に直接触れたり会話しながら寄り添って施術を行うことで、安心感を与えられ、気持ちを落ち着かせることも出来、適度な刺激は心地良さも感じて頂けることを体感しました。
温熱器や手指からの刺激により、様々な症状進行の遅延が見込まれているのではないか、という予測も立てることができました。それを研究し、立証して、将来的には新しい介護のカタチとして広めていきたいと考えています。
長引く戦争の着地点は未だに見えてきませんが、私も是非ウクライナに入り、傷ついた人々の”こころ“と”からだ“を温熱施術と介護技術で癒してあげたいと強く感じております。
今回も大変貴重な経験をさせていた頂き誠に有難うございました。
2023年8月20日 森和美