日高屋ナンパ【バナーヌのエッセイ#9】
今日も一日お疲れ様でした!
一人でサクッと行ける手軽な日高屋。自炊するのが面倒な時に重宝させてもらっている。
つい先日、日高屋を訪れた時になかなか面白い光景を見たのでその時の話を。
50過ぎのサラリーマンっぽい男性が一人でお酒を飲んでいた。飲み干した後「ハイボールを2つ!」と店員さんにオーダー。
テーブルには相方はいないし、どう見ても一人で飲んでいる様子なので、よほど喉が渇いてるのだなくらいに思っていた。
ハイボールが運ばれてくると、そのおじさんは徐に隣の席で食事をしていた20代くらいの男性に「これ、どうぞ」と1つ手渡した。
ん?ここはバーか?
「お客様、隣の男性からこれを」とカクテル渡されるやつか?!
いやいや、ここは日高屋だ。リーズナブルな中華をおひとり様でも気軽に楽しめる日高屋だ。
あまり視線は送らずに耳をダンボにして会話を聞き続けた。(もちろんこの時点でイヤホンは外した)
「え?」
「いや…これはお疲れ様でしたのプレゼント。お酒飲めない?」
「いえ、飲めますけど」驚きつつも遠慮がちに答える20代。
「じゃぁ飲んでよ、遠慮しないで」
「…あ、ありがとうございます」そう言って、20代はハイボールをもらっていた。
おじさん、寂しいのかな。話し相手が欲しかったのかなとか、息子と同年代の男性を見てつい奢ってしまったのかなと思いを巡らせていた。
が、次に耳に届いた言葉がそんな淡い気持ちを打ち砕いた。
「お兄ちゃん、この後一緒にオネエちゃんがいるお店へ行こう、俺が奢るから!ね?ね?」
おーい、なんじゃいそれは!確かにここは六本木。綺麗なオネエちゃんと飲める店はたくさんあるけど、おい!一緒に行ってくれる人を日高屋でナンパて。
おじさんがあまりにしつこく誘うから20代は困惑してるYo!もう酔っちゃってるおじさんは気づかないのかい。
見ず知らずの人に夜のお店に誘われるなんて、ぼったくりバーへ連れて行かれるんじゃないかと警戒もするよ。
ましてや、みんなでワイワイする居酒屋やバーとかではない日高屋で、ですよ。ここは客同士のコミュニケーションが最小限に抑えられている場所ということを完全に忘れているおじさん。
結局、事の真相はわからなかったが、哀愁が漂っていたように見えたおじさんが、実はオネエちゃんに鼻の下を伸ばしたただのおじさんってことだけがわかった夜でした。