『雨のせい』の感想

こんにちは、karasuです。
ジャンプGIGA2023 summerの読切作品『雨のせい』(三添大吾先生)
を読んだので感想を掲載したいと思います。

「雨に打たれる」って行為は水に濡れてしまうだけで命に別状は無いんですよね。

その後に予定があるなら、びしょ濡れなのは最悪なので避けるべきですが

身に付けているものが大切でなくてで帰路ならば

突然の雨に打たれても、傘を買わずに小走りで帰ることもあると思います。

少しの雨に打たれるのも嫌な完璧主義な人は、天気予報をチェックして傘を持ち歩くでしょうね。

だからこの主人公の「ニュースやアプリをチェックしているのに傘を持っていない」

というのは矛盾した行動で、私にはその理由がわからなかったです。

いきなり現れて淡々とツッコミを入れる男性の意図も不明でした。

でも傘を持っている人は雨宿りをしないです。男性は傘を持っているんですよね。

主人公ちゃんを傘に入れてあげたいってことなんだと思います。

理由はわからないですけど「守ってあげたい」「気にしている」という意思を感じました。

でも傘に入れてあげなくても予報ではもうすぐ雨は止むらしいし、雨に濡れても大したことにはならない。

赤の他人を傘に入れてあげる事ってなかなか無いと思います。

私の「?」を余所に、男性は失礼な態度だけど一応心配してくれてるのに

主人公は怒り始めてしまいました。

そして主人公の怒りが頂点に達した瞬間に消えてしまった男性。

この場面の演出は驚かされました。

「帰るつもりなんてない」「延期や中止が救い」

意味深なことをモノローグで語る主人公ですが

鈍い私はまだ作品に込められた意図に気付きませんでした。

「靴…脱いだ方がいいのかな」

あっ……。

流石に鈍くても気付いた。やめよう。やめて。

そこで差し伸べられた救いの手。

そう、誰だって追い詰められた人は待ってる。救いの手を。

待ってるのに、来ないから、来ないから決行してしまう。

傘を差し伸べられた主人公の、何もかも諦めて迷子になってしまったような表情と一緒に

「来てくれたの?」って台詞が見えた気がして、私自身が救われた思いがした。

「傘 貸します」に対する返答が「ありがとう」じゃなくて

「なんで…ついてきたんですか」なのが思い詰めてしまった人らしいと感じた。

帰るから平気。この主人公はどこへ帰るんだろう。そこは安心できる場所なんだろうか。

その辺は一切描写されなかった。でもきっと大丈夫なんだろう。帰るんだから。

この男性の正体は「雨が大嫌い!」って叫んだ瞬間いなくなってしまったのと

雨がきてくれるのを望んでいたと言ったら来てくれたので、雨の擬人化なんだろう。

多分この子はもう危ないことを企てないから、もう彼と会うことは無いんだろうなと思った。

もう少し頑張ろう、何だか読み手も雨に救われた気持ちになる作品でした。