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水の中から生まれる

正藍染めの研修に行ったのが一昨年10月、藍染めしていますと現在進行形になりました。
一から建てた甕に布を入れる時、水面が紫色にギラギラと光っていることに気がつかないくらいに集中しています。
すーっと生地が入ってきます。もしもポコっと泡が出てしまったら慌てているから気を付けてのサインです。
微妙な指の動きが生地をとらえて、何も見えない水中をあたかも透明な水の中で布が泳いでいるようになめらかにていねいに染めていきます。
一度として同じ入り方がなく、広げながら水に浸していくと、青々としたものに染め上がるのです。
微生物たちとの共演でしか成り立たない、彼らが主導となって生み出していく世界でした。

青がうまれる瞬間

心地よい温度の甕の中で休んでいた布を一気に引き上げます。ボタボタと水滴がたれるのもお構いなしに、さっそうとシンクに向かいます。素早い動きで水の中に浸けます。はじめはびっくりするくらいの茶色い水になって、用意しておいた隣の水が張ったシンクにキュッと絞って移動します。
そこではたっぷりと広がった布がのびのびとして水中酸化と言われる発色が起こります。
みるみるうちに茶色がかった布がブルーに変化していきます。
「うわぁー美しい」という瞬間です。水と空気の刺激を受けて色が変わったら、さらに青くしていきたくなります。
なるべく澄み切った青が出るように、布がたっぷり呼吸できるように、何度か水を変えて洗い上げていきます。そこから脱水し干す過程を経て、少しずつ青があかぬけて行く感じがします。太陽の熱と風によって灰汁を焼くとさらに青がきわだっていきます。

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