忘れられない一本/Staedtler 925 25-05
忘れられない、というより高校生の私が今使っている一本、ステッドラー社の製図用シャーペン。最初に手にした時のことは覚えていないが、確か小学校かそのあたりだっただろう。とりあえず現在のものが3代目である。
便宜上何代目と言っているが、ガワを残して機関部と先端を交換しているのである。初代は製図用シャーペンの宿命である先端の曲がりに屈した。多少の曲がりなら机に押し付けて戻していたのだが、運悪く先端が引いた椅子の足に挟まってしまったのである。強烈に曲がり、ついでにパイプは潰れたため2代目の機関部に代替わりする。この時は小学校だったか、早期厨二病を発症しており文房具をカスタムしたりロゴを擦り落としたりという改造をしていた。この一本も改造の餌食になり、なぜか家にあった金やすりでロゴを削り落としたのだが、同時に塗装も落としてしまい、ここだけがサビて濃い灰色になるという見た目になっていた。
2代目は中学校に入ってからの相棒となった。当然のように改造の餌食となり、また学校帰りに寄り道して帰れるようになったため耐水ペーパーや金属磨きを買い込み、バキバキに磨き上げて使っていた。鏡面仕上げにまで持っていったのだが、無垢だと当然サビも出てくる。そこで鏡面の上に百均のクリアラッカーを掛けて使っていたのだが、手触りが悪かったこと、輝きが金属のものではなかったことから満足できず全て剥がした。この一本は機関部が死んで終わっている。シャーペンの命であるバネが劣化したか何かでノックのたびにガリガリとした感触があり、最終的に折れた。
3代目は現在も使っている、中学校3年生からの相棒である。ガワは持ち越し、高2の今まで不調無しで持っている。今回は無垢のまま使い、あえてサビさせ、コピー用紙で磨くことを繰り返した結果、安定したシルバーの艶のある見た目になっている。また、初代からの執拗な磨き上げにより、滑り止めのローレットは潰れてしまったが、逆に金属グリップ特有の痛みや違和感がなくなった上、物を書きやすい適度な滑りづらさになっており、私の最高の相棒となっている。改造と同時に表記窓とシールもなくなってしまったが、非常にシンプルな一本だ。
しかし、この一本も機関部を交換しなければならない時期になってきた。芯補充のために開け閉めする蓋に接触する軸の先端、ここがプラスチック製のために削れてきているのである。連日筆記用具を使用する学生としては仕方のないことかもしれないが、数年に一度のスパンで交換することになっているのである。絶対に廃盤になってほしくない一本だ。