雑記(自作楽器キットのいろいろ)

だいたいの流れ

開梱・内容物確認
必要なら清掃洗浄
加工精度のチェック
パーツ準備
木部加工
塗装
組付け・はんだ作業
調整
再調整

開梱・内容物確認

大抵の場合、自作楽器キットにはマトモなパーツが付いていることはない。まず開梱時は内容物を確認し、不足や不備がないか確認する。
木材パーツ(ボディ・ネック)に関してはとりあえず揃っていれば問題ない。

清掃・洗浄

加工時の木屑が付いていたりすることがある。刷毛でどうにかしたりシャワーで洗ったりする。
ブリッジやペグを分解して金属屑などが付いていないか・ネジが生きているか・サビがないか等を確認する。

加工精度のチェック

ネックを仮にはめこみ、ブリッジも合わせてネックのセンターラインの延長線とブリッジのセンターラインが揃っているかを確認する。揃っていない場合は「木部加工」でブリッジ側のネジ穴を再加工することで調整することになる。

パーツ準備

ネジはゴミなので交換する。

ナットは調整可能なものを用意したり、TUSQなどの加工性が良く密なものを選ぶ。大抵瞬間接着剤で固定されているので、板を横から当ててハンマーで叩けば外れる。

ペグ・ブリッジ・電気系統は致命的な問題がなければ問題なし。コンデンサは変えた方が良いが、ぶっちゃけ容量が一緒なら音響特性もほとんど一緒なので音を確認してからでいい。
カスタマイズしたいパーツがある際は用意する。互換性に注意。

木部加工

ボディ側のネックポケットネジ穴をドリルで浚う。ネック固定用のネジが噛まない直径の通し穴にする。

ブリッジの位置が正確か確認する。だめそうならネジ穴を成形する。

各所のネジ穴に先に木ネジを通す。稀にネジより浅い穴になっていることがあるため、硬すぎると感じた場合はピンバイスで下穴を再加工する。
一度ネジ山を形成した穴に対しては、次にネジを入れる時はまず逆回転させながらネジ山に収まる位置を探し、落ち着いてから正回転で締め込む。

塗装

適当。耐水で磨き、必要なら目止め・染色を行う。

目止めや染色をせずにラッカー層だけ乗せてもいい(ナチュラル・オープンポア)し、砥の粉・ウッドシーラー・サンディングシーラーを施して普通の塗膜を形成してもいい。

塗装ブースがない場合は水性ステインで染め、セラックやオイルをタンポなどで塗るのが楽。

組付け・はんだ作業

多分ビルドガイドが付いてくるからそれに従う。なかったら祈る。

調整

ネックを取り付けた段階で、ボディに対してネックがボディバック側に軽く傾斜していることを確認する(ネックポケットのあたりが頂点となる三角形)。ボディとネックが平行か、軽い傾斜なら問題なし。もしボディフロント側にネックが倒れている場合、シムを挟んでネックの傾斜を補正する。
付属品の弦を張り、レギュラーチューニングにする。
ネックの反りを調整する。適切なのはほんの少し弦側に曲がっている順反り状態。最終的な追い込みは再調整で行う。

ブリッジのサドルを調整する。初期段階では「全ての弦の全ての押弦に対して、フレットと弦が接触するかしないか」ぐらいの高さを選ぶ。最終的にビビリを許容してでも弦を下げるか、許容せずに高くするかは奏者の好み。
ちなみにフレットレスはビビらせるとフレットレスらしい音になり、ビビリがないとコンバスっぽい音になる。エレキの場合はアンプを通すとあまり変わらなくなるので低めがお勧め。

基本的にナットは高すぎるようになっているので、外して底面を削って調整する。個別調整は溝を削るが、やりすぎると取返しがつかないことと、専用工具のナットファイルを使わないと溝がV字になるので注意(V溝だとゲージを変えた際に弦高が変わる。丸溝なら底が一定。角溝は弦が左右に振れる。)。ここでは少し高さがある程度まで調整する。
再調整時に解放を弾いて1フレットに接触しないぐらいを狙う。

弦の調整に合わせてピックアップの高さを調整する。
弦に近いとアタックが大きく、サスティンが短い歯切れのいい音になる。遠いとアタックが小さく、サスティンが長い落ち着いた音になる。
フロントの方が振幅が大きくなるため、音量も大きくなる傾向にある。
ポールピースと弦が接触するとポップノイズの原因になるので、適切に離すこと。

再調整

本命の弦を張って調整する。同じ弦を張った同じスケールの楽器があるならそれを弾きながら確認する。
ゲージが一緒でも張力は異なるため、トラスロッド・サドル高・ナット高のそれぞれを再確認する。

出音を確認しながらピックアップの高さを調整する。
ネック側のピックアップの方が音量が大きい傾向にあるが、ブリッジとネックのピックアップでどれだけ変えるかは演奏スタイルによる(ローフレットを多用するか、ハイフレットを多用するかで音量バランスが変わる)。

おすすめのカスタム

ネックグリップ調整

太くしたい場合は突板を貼ったり、パテを盛る。細くしたい場合は細いピンバイスや針などでトラスロッドまでどの程度の木部があるかを確認し、少しずつ削る。
局所的に太さが変わるとネックのねじれやうねり、ハイ起きの原因になるので注意。

コンター加工

ボディの肘が当たる部分・胸が当たる部分の削り込みのこと。
ここを鋸ヤスリなどで拡張する。
腿が当たる部分を削ってもいい(バックコンターの逆側)。
もともとコンターのない楽器を削ることもできる。テレキャスは特に問題なくコンター加工できるが、レスポールは中空構造のことがあるため削っていると打ち抜く可能性がある。

重量調整

トリマーを使用してボディに空洞を設けたり、逆にボディ裏やキャビティ内に別の板を貼り付けて重量を調整する。
ヘッドのパーツを追加して重量を調整する。
ヘッドが重いと音が安定するとか言われている。

エンドピンの追加

ストラトやレスポールなどのボディエンドが左右対称の楽器が対象。エンドピンを中央1本から左右2本に変更する。
楽器が自立するようになるため、アンプ等に立てかけた時に倒れづらくなる。

ストリングリテーナーの交換

ヘッドの弦を抑えているパーツを交換する。
ストラトやテレキャスならカモメ型→バレル型にしてチューニング時・アーミング時の摩擦を抑える、プレベやジャズベなら3弦を抑えるタイプに変更して共振を止めるなど。

ジャックの高品質化

Pure Tone Jackなどの多端子ジャックに変更する。
PLBジャックなどの外れづらいジャックに変更する。
テレキャスのジャックソケットをElectrosocketなどのねじ止めタイプに変更する。
どれも安定して高品質化できる。

コントロールエリアの改造

プレベ、ストラトは弦やネックを外さないと配線部にアクセスできない。
トリマー等を用いてボディを抜き、裏側のパネルなどからアクセスできるようにする。
ピックガードを分割してコントロール部だけ外せるようにする。
保守性が向上する。

畑精密の高いノブに変更する。ローレットの品質が異常に高いのでおすすめ。

数値入りの寸胴ノブ(Speed Knobなど)+ノブポインター(ポインターワッシャー)に変更する。調整を数値的に把握できるようになる。

スイッチなどを用いる配線の改造を行う。好み。

ペグの角度変更

ペグが奏者側を向くように傾斜させる。Warwickのペグが分かりやすい。
チューニングがめちゃくちゃ楽になるが、見た目は特徴的。
個人的な好みで言うとリバースヘッドで傾斜大きめ+Daddario NS Micro Clip-Free Tunerが一番楽。

おすすめしないカスタム

インレイの入れ替え

指板表側の丸インレイなら簡単に交換できる。
ドリルで削り落とすか、ヒートンを中央に刺して引き抜く。交換用のものは市販されている。
Luminlayなどの蛍光タイプを使用したり、ローズ指板黒インレイで目立たなくしてみたりといったもの。

フレットレス化

フレットを抜き、元の溝を拡張して別の板(ローズ指板+メイプル突板など)で埋め立てる。
ぽよぽよした音で無音階で滑らかなグリッサンドが気持ちいいぐらいしか利点がない。
ラウンドワウンドだとガンガン傷つくのでフラットワウンドやナイロンコート弦に変更すること。

ブリッジの大型化

ハードテイル→トレモロ、フローティングトレモロ→FRTやEvertuneなど。
大きく削る必要があるので面倒でしかない。

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