「硬式テニス選手における種子骨障害」動作分析と俺の頭の中身
種子骨障害は、足の親指の付け根にある種子骨に炎症や痛みが生じる障害で、硬式テニス選手にとっては特に厄介です。この障害が戦術に与える影響は、動きの制限や痛みによるパフォーマンス低下が主な要因で、次のような戦術的影響が見られます。
種子骨障害が戦術に与える影響
前後への動きの制限 テニスでは前後のフットワークが重要で、特にネットプレーや相手のドロップショットに対応する際に、素早く前へ動く必要があります。しかし、種子骨障害により親指付け根に痛みが出るため、前方に体重をかける動作が制限されます。その結果、相手の前へのドロップショットやアプローチショットに対する反応が遅れ、ポイントを失いやすくなります。
サイドステップや方向転換の鈍化 種子骨の痛みがあると、横方向へのステップも厳しくなり、特にラリー中に素早く左右に動くのが難しくなります。テニスの試合では、相手の強力なショットに対してサイドステップやクロスオーバーステップで素早く移動することが求められますが、種子骨の痛みがそれを妨げます。これにより、相手のコートの広範囲にショットを打たれると対応が遅れてしまい、戦術上の大きなハンディキャップとなります。
サーブやリターンでの不安定さ サーブ時に体重を前にかける動作や、リターンで体重をかけて踏み込む動作でも、種子骨障害があると痛みが出るため、ショットの安定性が損なわれます。特に、体重をうまく乗せられないためにパワーやコントロールが不足し、相手に打ち返されやすいサーブや、甘くなりがちなリターンにつながることがあります。
ラリー中の足元の安定性の低下 種子骨障害の痛みを避けるために、足元の動きが制限され、フォームが崩れやすくなります。結果として、ラケットのインパクトやショットのコントロールが不安定になり、ミスショットや不安定なボールが増えることにより、相手に有利な展開を与えてしまう可能性が高くなります。
持久力の低下と疲労の早期化 足元に痛みがある状態でプレーすると、体全体に負担がかかり、試合中に疲労が早期に訪れます。特に長時間のラリーやフルセットに及ぶ試合では、持久力の低下が顕著で、スタミナ切れによるミスや動きの鈍化が戦術的な劣勢を招きます。
種子骨障害に対する理学療法士の徒手評価のポイント
圧痛点の確認
親指付け根の種子骨部位に対する触診で圧痛を確認します。特に母趾の底側の圧痛や腫れの有無が、炎症や障害の程度を把握する指標になります。
患者が痛みを訴える箇所を重点的に触診し、痛みが生じる部位や範囲を特定します。
母趾の可動域テスト
母趾の屈曲・伸展の可動域を評価します。母趾の可動域が制限されていると、歩行や運動時に他の部位に負担がかかり、障害が悪化する可能性があるため、可動域を詳細に確認します。
具体的には、母趾の底屈(屈曲)と背屈(伸展)を行い、痛みや制限があるかを確認します。
種子骨の動きの評価
種子骨は母趾の動きに伴って上下に動きますが、この動きが滑らかであるかを確認します。障害があると、この動きが制限されたり、痛みを伴ったりすることがあります。
指先で母趾の底側を支え、種子骨を軽く押しながら動きを確認することで、可動性と位置を評価します。
距骨下関節の可動域と足部アライメント評価
種子骨障害のある選手は、アライメントの崩れが見られる場合が多いため、足の回内・回外のバランスと足部のアライメントを確認します。
距骨下関節の回内や回外の可動域を調べ、足部の過剰な回内(内側への倒れ込み)があるかどうかを確認し、負担のかかりやすさを評価します。
足底筋の筋力テスト
足底筋や後脛骨筋など、アーチを支える筋肉が十分に働いているか評価します。特に母趾外転筋や短母趾屈筋が弱化していると、種子骨に負担がかかりやすくなります。
タオルギャザー(足指でタオルを引き寄せる動き)やつま先立ちでのアーチの安定性を確認し、筋力不足がないかを確認します。
歩行評価
種子骨障害が歩行にどのように影響しているかを確認します。特に、歩行時の母趾への荷重バランスや体重移動の仕方が、痛みの出現に影響していることが多いため、歩行時の足底部の接地や足首の動きも観察します。
母趾への体重移動時に痛みが生じる場合、その原因や他の関節にかかる負担も併せて評価します。
テーピングの有効性評価
テーピングを用いた際の痛みや安定性の変化を評価します。テーピングで母趾やアーチをサポートすることで痛みが軽減される場合は、日常のサポートとしても有効です。
種子骨障害で鍛える筋肉
1. 足底筋群(足のアーチを支える)
種子骨にかかる負担を軽減するために、足底の小さな筋肉(母趾外転筋、短母趾屈筋、短母趾外転筋など)を鍛えます。
足指のグリップ力を鍛えるエクササイズやタオルギャザーなどが効果的です。
2. 腓骨筋群(外側)
腓骨筋(長腓骨筋と短腓骨筋)は足首を安定させる役割があり、側方への不安定性を抑えるために重要です。
バランストレーニングや、サイドランジなどで強化できます。
3. 後脛骨筋
足部内側の安定を支える筋肉で、アーチのサポートにも関与します。
チューブを使用した足首の内転運動や、片足立ちのエクササイズなどで強化が可能です。
4. 前脛骨筋
足首の背屈(足を上に引き上げる)を担い、歩行や走行の安定性に寄与します。
タオル巻きなどで足の上げ下げを行うトレーニングが適しています。
5. ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)
主に腓腹筋とヒラメ筋で構成され、足首の動きをコントロールします。ふくらはぎを鍛えることで衝撃吸収やパワー伝達の改善が期待されます。
カーフレイズやジャンプ系のトレーニングが有効です。
種子骨障害で悩むテニス選手の機能的靴下
1. アーチサポート機能付き
足のアーチ部分にサポートがある靴下を選ぶと、アーチがしっかり保持され、種子骨への負担を軽減できます。
特に土踏まず部分が締め付けられているデザインのものが効果的です。
2. クッション性の高いもの
前足部やかかとにクッション性のある靴下を選ぶと、衝撃を吸収しやすくなり、種子骨への負荷が軽減します。
厚みのある素材やゲルパッド付きのデザインも検討に値します。
3. 素材の柔軟性と通気性
種子骨障害があると炎症が発生しやすいため、通気性が良く、蒸れにくい素材(クールマックスやメッシュ構造)を選ぶと快適です。
同時に、柔軟性があり足の形にフィットする素材が良いでしょう。ナイロンやスパンデックス混紡のものがオススメです。
4. 滑り止め機能
靴下の内側や外側に滑り止めがついていると、シューズ内での足のズレが防止され、種子骨にかかる圧力が安定します。
特に靴の中で前滑りを防ぐものが、テニスのような横方向の動きが多いスポーツに適しています。
5. 分指タイプ(トゥソックス)
分指タイプ(トゥソックス)は指先の独立性を保ち、足の自然なアーチサポートを促進するため、前足部への圧力が分散されやすくなります。
種子骨への負荷を減らしつつ、テニスのような動きでのグリップ力向上が期待できます。
6. 圧力分散タイプ
足の特定部位への負担が分散されるように設計された靴下もおすすめです。これにより、前足部や種子骨周辺の痛みを和らげられます。
足底の圧力を均等にするデザインや、ジェル入りのクッションが内蔵されたタイプも効果的です。
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