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スピンサーブの姿勢チェック項目

1. スタンス

  • 足の位置:肩幅程度に前足と後足を開き、後ろ足を若干内側に傾けることで、サーブの際のバランスを確保します。

  • 体重の分布:トスアップからインパクトにかけて、体重が後ろから前にスムーズに移動しているか。

2. 膝の屈曲

  • 膝の屈曲角度:サーブ前の膝の角度が約45~55度であること。これによりジャンプのエネルギーを効率的に生み出せます。

  • 力の方向:膝が適度に曲がり、前方へ向かって力が発揮されているか確認。

3. 体幹の回旋と肩の位置

  • 体幹の回旋:サーブ前にしっかり体幹を回旋し、トスに合わせて体幹がスムーズに回転するか。

  • 肩の位置:サーブ時に非利き手の肩がリラックスして前方にあり、利き手の肩がしっかりと上がっているか。

4. 手首とラケットの角度

  • 手首の内旋と外旋:手首がインパクト時に適切に内旋または外旋されているか確認し、スピン回転が効果的にかかるかを確認。

  • ラケット角度:ラケット面がボールの側面に向き、効果的な回転をかけられる角度であるか。

5. フォロースルー

  • 振り抜きの大きさ:インパクト後、ラケットが利き手の肩の反対側に下がり、十分な振り抜きが行われているか。

  • 体の流れ:インパクト後の体の流れがスムーズで、無理のないフォームであるか。


動作分析チェック項目

1. トスアップの位置と一貫性

  • トスの高さと位置:トスアップの高さと位置が一貫しているか。スピンサーブではやや左前方に上げ、スピンをかけやすい位置を狙う。

  • リズムの安定性:トスのリズムが安定しており、体幹や腕の動作と同期しているか。

2. 体幹と股関節の連動性

  • 下半身からの力の連動:下半身で生まれた力が体幹を通じて上半身にスムーズに伝わり、トスアップからインパクトにかけて体の連動が維持されているか。

  • 股関節の外転と内旋:特に利き手側の股関節が自然に外転・内旋しているかを確認し、踏み込み動作が体の回転と連動しているかを確認。

3. 肩甲骨の動き

  • 肩甲骨の内転と上方回旋:肩甲骨が内転(肩甲骨が寄る)し、スイング時に上方回旋することで、腕の可動域が広がり、スピンの質が向上するかを確認。

  • 非利き手の肩甲骨の安定性:トスアップに伴い非利き手の肩甲骨が安定しているか。安定性がないと姿勢がブレやすくなる。

4. インパクト時のラケットヘッドスピード

  • ラケットヘッドの加速:インパクト直前にラケットヘッドが十分に加速し、スピンに必要なスピードが得られているか。

  • ボールとの接触位置:ラケット面がボールの側面を打ち、適切なスピンがかけられる角度と速度であるか。

5. ジャンプとタイミング

  • タイミング:ジャンプのタイミングがトスアップと一致しているか。

  • ジャンプ力の発揮:ジャンプが効果的に行われ、上からのスピンが生まれる位置でボールを捉えられているか。


理学療法士による評価チェック項目

1. 肩関節と肩甲骨の可動域

  • 肩関節の外旋・内旋:肩関節の外旋可動域が90~100度、内旋が80~90度程度確保されているか。サーブ時の負担軽減と効果的なスピンのため、理学的に評価します。

  • 肩甲骨の内転・上方回旋:肩甲骨が自由に動くための可動性があり、スイング時にスムーズに肩甲骨が回旋できているか確認。

2. 体幹の柔軟性と安定性

  • 体幹の回旋可動域:体幹が左右45~60度の回旋が可能かを確認し、下半身と連動したスムーズな回旋動作が行えるかチェックします。

  • 体幹の安定性:サーブ動作の途中で軸がブレないように体幹筋が安定しているか。特に腹斜筋の筋力と持久力も評価対象です。

3. 股関節と膝の柔軟性・安定性

  • 股関節の内外旋と柔軟性:股関節の内旋と外旋が十分であるか、特に体重移動と連動しているかを評価します。

  • 膝の安定性:膝の屈伸がスムーズに行え、ジャンプ時や踏み込み時の膝が安定しているか。ジャンプの際に前十字靭帯や膝周りの筋肉が適切に働いているかを評価。

4. 手首と前腕の柔軟性・筋力

  • 手首の尺屈・橈屈:手首の尺屈と橈屈が25~30度あるか確認し、スピン時に負荷がかからないか確認します。

  • 前腕の筋力:前腕の筋力が不足しているとサーブ時のラケット角度をコントロールできないため、筋力テストを行います。

5. ジャンプの瞬発力と下肢の持久力

  • 下半身の瞬発力:ジャンプの力が不足している場合、下半身の筋力やパワーをチェックします。スクワットジャンプなどで評価し、ジャンプ力が適切であるかを確認します。

  • 下肢持久力:試合を通じて同じフォームでスピンサーブを維持できるか。持久力テスト(例:片脚立位テスト)を活用します。


筋力低下からくる姿勢への影響

1. 回旋筋腱板(ローテーターカフ)筋力低下

  • 姿勢への影響:肩の安定性が不足し、インパクト時に肩がブレやすくなります。その結果、サーブの際に腕が適切な角度を保てず、ラケット面が不安定になるため、スピンがかかりにくくなります。また、肩が上がりすぎたり、逆にすくみやすくなり、インパクト時に力が入りにくくなります。これによりサーブの威力が低下し、体幹のブレを補うために無理な姿勢になることがあります。

2. 広背筋の筋力低下

  • 姿勢への影響:ラケットを振り抜く際に、肩と背中の連動がうまく取れず、スイング動作が小さくなりがちです。フォロースルーが十分にできず、スピンサーブで必要な上半身の回転が不十分になります。広背筋の筋力低下により、背中が丸まりやすく、インパクト時に体が後ろに残ってしまうため、サーブの威力が失われます。

3. 前腕屈筋群の筋力低下

  • 姿勢への影響:手首や前腕の筋力が不足すると、手首が不安定になり、ラケットの面を一定に保つのが難しくなります。インパクトでラケットの角度がズレやすく、ボールへのスピンがかかりにくくなるため、姿勢全体も調整が必要になります。また、手首のコントロールが不足すると、肘や肩に過度な負担がかかり、フォームが崩れやすくなります。

4. 腹斜筋の筋力低下

  • 姿勢への影響:体幹の回旋が弱くなり、インパクトまでの動きがスムーズに繋がりません。スイング中に体が開きやすく、サーブ時のパワーやスピンが失われます。体幹が回旋しにくいことで、腕や肩に頼る形になり、上半身の姿勢が安定せず、ブレが生じやすくなります。この結果、インパクトでのボールコントロールが不安定になります。

5. 大臀筋の筋力低下

  • 姿勢への影響:下半身の安定が不足し、ジャンプ時の推進力が弱くなります。大臀筋の筋力低下により、体重移動が不完全となり、サーブ動作中に腰が反りすぎたり、逆に体が後ろに引けてしまいます。また、膝や股関節の屈曲角度が浅くなり、体全体が上下にブレやすくなるため、スピンサーブの安定性が欠ける要因となります。

6. 中臀筋の筋力低下

  • 姿勢への影響:股関節の安定性が不足し、横方向への姿勢のブレが発生しやすくなります。トスアップやサーブ時に体が左右に傾くため、上半身の安定性が失われ、スピンをかけるための正しい角度が取りにくくなります。股関節が安定せず体幹が左右に揺れやすくなり、サーブ時のスイングがバランスを欠き、フォームの安定性も低下します。

7. 腓腹筋・ヒラメ筋の筋力低下

  • 姿勢への影響:ジャンプ力が不足し、インパクト時の高さが低くなり、ボールに適切なスピンをかけにくくなります。また、下半身の安定性が低下し、足首がぐらつきやすくなるため、体重移動がスムーズにできません。これにより、着地後にバランスを崩し、姿勢を再調整しなければならない状態が多くなり、連続して高いレベルのサーブを打つことが難しくなります。

8. 三角筋の筋力低下

  • 姿勢への影響:肩の挙上が不十分になり、インパクト時のラケットの位置が低くなりがちです。肩がすくんでしまったり、腕が上がりきらないため、サーブのパワーやスピンが減少し、スイング動作が小さくなります。インパクト時の姿勢が低くなることで、サーブが不安定になり、フォーム全体のブレも大きくなります。

9. 上腕三頭筋の筋力低下

  • 姿勢への影響:肘の伸展が不十分で、インパクト時に肘が曲がりやすくなります。これにより、サーブ全体の威力が低下し、ボールへのスピンがかかりにくくなります。肘が安定せず、ラケットを押し出す力が弱くなるため、姿勢全体がコンパクトになり、サーブの安定感を欠く結果となります。

10. 体幹全体(コアマッスル)の筋力低下

  • 姿勢への影響:体幹の安定性が不足し、サーブ中に体が横や前後に揺れることで、姿勢を維持するのが難しくなります。サーブの各段階で体幹がブレると、サーブ時のパワーがボールに効率よく伝わらず、フォームが崩れやすくなります。さらに、無理に姿勢を安定させようとすると、腕や肩に負担がかかりやすく、肩や肘の故障のリスクも高まります。

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