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硬式テニス クロスラリー時の腰痛再発を防ぐためのチェックポイント

硬式テニス クロスラリー時の腰痛再発を防ぐためのチェックポイント

こんにちは、テニストレーナーのSHINJIです。テニスプレイヤーにとって、クロスラリー中の腰痛はパフォーマンスに大きな影響を与える問題です。今回は、理学療法士の視点から腰痛の原因を突き止め、痛みの再発を防止するための整形外科的評価項目とその理由を詳しく解説します。


1. 腰椎の可動域評価

腰椎の柔軟性は、テニスのように頻繁な体幹の回旋や屈伸が求められるスポーツでは特に重要です。腰椎の動きが硬いと他の部位に過剰な負担がかかり、腰痛の原因になるため、以下のポイントで評価を行います。

  • 評価項目:腰椎の屈曲(前屈)、伸展(後屈)、および回旋の可動域。

  • 評価の理由:クロスラリー中は体幹を左右にひねる動作が多いため、腰椎がしっかりと回旋できることが求められます。可動域が不足していると、股関節や肩甲骨で代償動作が起こりやすく、腰部への負担が増加します。

  • 評価方法:立位または座位で、体を前後および左右に動かし、制限や痛みがある部分を確認します。また、側臥位(横向き)で腰椎の回旋を行い、可動域が左右均等かもチェックします。


2. 股関節の可動域と柔軟性の評価

股関節は腰椎と密接に関連しており、股関節の可動域が狭いと腰への代償動作が生じ、腰痛のリスクが高まります。クロスラリーでの動きをスムーズにするため、以下のポイントをチェックします。

  • 評価項目:股関節の内旋・外旋、屈曲・伸展の可動域、そして柔軟性。

  • 評価の理由:クロスラリーでは左右へのスムーズな動きが求められるため、股関節の柔軟性が不足していると、腰椎で回旋や動きを代償することが多くなり、腰痛が引き起こされやすくなります。特に股関節の内旋・外旋が不足すると、体幹の回旋もスムーズに行えません。

  • 評価方法:股関節の回旋や屈曲の角度を確認し、動作中に不快感や制限がある場合は柔軟性が不足している可能性があります。仰臥位(あおむけ)で片足を曲げて胸に引き寄せるストレッチや、側臥位での股関節回旋テストを行い、動きの制限を確認します。


3. 骨盤の安定性評価(骨盤前傾・後傾の確認)

骨盤の安定性は、腰椎と体幹のバランスに深く関わっています。骨盤の位置が適切でないと、腰椎に負担がかかり、腰痛を引き起こすことがあるため、以下の項目で評価を行います。

  • 評価項目:骨盤の前傾・後傾角度をチェックし、中立位が保てるかを確認。

  • 評価の理由:骨盤が前傾しすぎると腰が過剰に反りやすく、逆に後傾すると腰が丸まりやすくなり、どちらも腰椎に余計な負荷がかかります。正しい骨盤の位置を維持することで、腰への負担が減少します。

  • 評価方法:立位や座位で骨盤の位置を確認し、過剰な前傾や後傾が見られるかをチェックします。また、骨盤が適切に動かせるかを確認するため、ペルビックチルト(骨盤の傾きを動かすエクササイズ)も行い、骨盤の動きに制限がないかを確認します。


4. 体幹筋力・持久力評価

テニスでは体幹が重要な役割を果たします。特に、体幹が弱いとスイングやフットワーク中に腰椎に過剰な負担がかかるため、以下の項目で評価を行います。

  • 評価項目:腹筋、背筋を含む体幹の筋力と持久力(プランク、サイドプランクなど)。

  • 評価の理由:体幹の筋力が低下していると、腰椎がしっかりと支えられず、腰痛の原因となります。クロスラリー中は急な方向転換が多いため、体幹が弱いとそのたびに腰椎が負担を受けることになります。

  • 評価方法:プランクやサイドプランクを通じて体幹の持久力や筋力を確認し、腰痛が発生しないかをチェックします。また、体幹の回旋テストも行い、体幹の安定性を確認します。


5. 中臀筋の筋力と機能評価

骨盤の横方向の安定性に関わる中臀筋が弱いと、クロスラリーでの方向転換時に骨盤が左右にブレやすくなります。中臀筋の機能を以下の項目で評価します。

  • 評価項目:中臀筋の筋力や片足立ちでの骨盤の安定性。

  • 評価の理由:中臀筋は骨盤を横から支える筋肉で、骨盤がブレると腰椎にも偏った負担がかかります。クロスラリーでは片足での踏み込みや方向転換が多いため、中臀筋の筋力が十分であるかが腰痛予防に重要です。

  • 評価方法:片足立ちテストやサイドステップテストを行い、骨盤が左右に崩れることなく安定しているかを確認。サイドレッグレイズやサイドプランクで中臀筋の筋力をテストします。


6. ハムストリングス・大腿四頭筋の柔軟性評価

太ももの裏(ハムストリングス)と前(大腿四頭筋)の柔軟性が低いと、骨盤の前傾や後傾に影響し、腰痛の原因になります。これらの筋肉の柔軟性を以下のポイントで確認します。

  • 評価項目:ハムストリングスと大腿四頭筋の柔軟性。

  • 評価の理由:ハムストリングスが硬いと骨盤が後傾しやすく、大腿四頭筋が硬いと骨盤が前傾しやすくなり、腰椎の姿勢が崩れやすくなります。筋肉の硬さが腰に余計な負担をかけないかを確認します。

  • 評価方法:ハムストリングスのストレッチテスト(膝を伸ばして前屈)、大腿四頭筋のストレッチテスト(片膝立ちで脚を後方に引く)を行い、柔軟性を確認。制限があればストレッチを指導します。


7. 脊柱起立筋の筋力と持久力評価

腰を支えるための重要な筋肉である脊柱起立筋の強さを確認することも、腰痛予防に欠かせません。脊柱起立筋が弱いと、長時間のラリーで腰に負担が集中しやすくなります。

  • 評価項目:脊柱起立筋の筋力と持久力。

  • 評価の理由:脊柱起立筋が弱いと、腰椎がしっかり支えられず、クロスラリーのように負荷の高い動きで腰椎が疲労しやすくなります。筋力が不足していると、腰痛が発生しやすくなります。

  • 評価方法:仰臥位(あおむけ)や伏臥位(うつ伏せ)で背筋を使った持久力テストを行い、姿勢が保てるかを確認します。背筋エクササイズやデッドリフトの動作も評価に使用します。


フットワークから考えるクロスラリー中の腰痛

1. 腰痛によるフットワークの乱れ


クロスラリー中に腰痛を抱えている場合、動作の安定性や効率が低下し、フットワークが乱れやすくなります。

  • 影響:腰痛があると、スムーズな方向転換やステップが難しくなり、クロスステップやサイドステップがぎこちなくなります。痛みをかばうために、動きが小さくなりがちで、反応速度が遅れることもあります。

  • 原因:腰部の筋肉が硬直していると、足元まで力がうまく伝わらず、体重移動が不十分になりがちです。腰部が安定しないため、無理に体幹を使ってバランスを取ろうとし、フットワークが不安定になるのです。

  • 改善策:腰痛緩和と体幹強化トレーニングを取り入れ、体幹の安定性を高めることで、フットワークのスムーズさを取り戻すことができます。


2. 骨盤の傾きとフットワークへの影響

腰痛が生じると、骨盤の角度にも影響が出やすく、特に骨盤の前傾・後傾のバランスが崩れることで姿勢や動作に大きな変化が現れます。

  • 影響:骨盤が前傾しすぎると腰が反りやすくなり、後傾すると腰が丸まりがちになります。この状態だと、フットワーク時の踏み込みや後退動作に制約が出て、素早い切り返しやジャンプの高さが制限されます。

  • 原因:骨盤の傾きは、ハムストリングスや大腿四頭筋の柔軟性に影響されやすく、筋力バランスが崩れると骨盤の位置が固定されやすくなります。これにより、体重移動や体のひねりがスムーズに行えなくなります。

  • 改善策:骨盤の中立位を意識した体幹トレーニングや、ハムストリングス・大腿四頭筋のストレッチが効果的です。


3. 体幹の不安定性による姿勢の崩れ

腰痛を抱えることで体幹が不安定になると、姿勢が崩れやすく、腰にさらなる負担がかかる悪循環が生まれます。

  • 影響:クロスラリー中、体幹が不安定な状態ではバランスを保つのが難しく、スイング時やステップ時に体が左右に揺れやすくなります。この揺れが腰に負担をかけ、フォームが不安定になります。

  • 原因:体幹筋(腹筋や背筋)の筋力が不足していると、体重移動時に腰をしっかり支えることができず、腰椎に過剰な負担がかかります。腰痛が慢性化すると、特にこのバランスの崩れが顕著になります。

  • 改善策:プランクやサイドプランクといった体幹強化トレーニングで、腰の安定性を高めましょう。


4. 片側に偏った動きによる左右バランスの乱れ

テニスでは利き手側へのスイングやステップが多く、腰痛があるとさらに片側に偏った動きになりやすく、左右の筋力バランスが崩れやすくなります。

  • 影響:片側の筋肉を過度に使うことで、利き手側の腰に過剰な負担がかかり、動作に偏りが出やすくなります。その結果、バランスが不安定になり、素早い切り返しや安定した姿勢が保ちにくくなります。

  • 原因:片側の動きが多いテニスでは、左右の筋力バランスが崩れることが一般的ですが、腰痛があるとさらに片側に負担が集中しやすくなります。特に、腰部や体幹の筋力が弱いと、片側に偏った動きでさらに腰痛が悪化します。

  • 改善策:左右のバランスを整えるために、左右対称のストレッチや筋力トレーニングを行い、腰に偏らないフォームを意識しましょう。


5. 中臀筋の筋力低下による骨盤の安定性低下

中臀筋は骨盤の安定性を保つ重要な筋肉であり、これが弱くなると、腰や骨盤の安定性が低下し、フットワークにも影響を及ぼします。

  • 影響:中臀筋の筋力が低下していると、ステップ動作中に骨盤が左右に揺れやすくなり、腰椎に不安定な負荷がかかりやすくなります。これにより、切り返し動作で骨盤がブレやすく、腰にかかる負担が増大します。

  • 原因:中臀筋が弱いと、片足での安定性が不足し、踏み込みやターン動作で骨盤が崩れやすくなります。特に左右に素早く動くクロスラリーでは、腰への負担が集中する原因となります。

  • 改善策:サイドレッグレイズやサイドステップなどの中臀筋強化エクササイズを行い、骨盤の安定性を高めましょう。


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