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上腕二頭筋長頭筋腱炎で悩むテニス選手の動作分析と特徴

硬式テニスでフォアハンドを打つ際に、上腕二頭筋の長頭筋腱炎があると、パフォーマンスや戦術にいくつかの影響が出やすくなります。ラリー中に気付く特徴的なポイントを以下にまとめます。

戦術への影響

  1. ショットの威力低下
    上腕二頭筋長頭筋の痛みがあると、インパクト時に力が入りにくく、ショットの威力が不足するため、相手に主導権を握られる可能性が高まります。

  2. スピン量の減少
    腕の安定性が低下し、ラケット面の角度を保つのが難しくなるため、スピンのコントロールが不安定になります。

  3. ドライブショットの精度低下
    痛みをかばって動作が制限され、打点が後ろにずれることで、フォアハンドのドライブショットの精度が落ちやすくなります。


サーブ時の姿勢の特徴

  1. 肩の高さが低くなる
    痛みを避けようとするため、肩の高さが通常より低くなり、上体がやや前かがみの姿勢になることが多いです。

  2. 肘が下がる
    上腕二頭筋長頭筋への負担を減らすため、通常より肘を下げてスイングする傾向があり、パワーが落ちやすくなります。

  3. ラケットの振り抜きが浅くなる
    フォロースルー時に上腕二頭筋に痛みが出やすいため、無意識に振り抜きを抑え、スイングが小さくなることがあります。

  4. 体幹の回旋不足
    腕だけでラケットを振ることで、体幹の回旋を抑えたサーブ動作になりやすく、フォーム全体が不安定になる可能性があります。

  5. 打点が体に近くなる
    腕を遠くに伸ばすのが難しくなり、打点が体に近くなり、サーブの高さとパワーが不足することがあります。


ラリー中に気付くポイント

  1. インパクト直前のスイング速度の低下
    腕の痛みをかばうため、無意識にスイング速度が落ち、インパクトの瞬間に力が抜けたように見えます。

  2. 打点が体に近づく
    ラケットを遠くで振ることが難しくなり、ボールを体に近い位置で捉えようとするため、ショットの安定性が低下します。

  3. フォアハンドのフォロースルーの短縮
    上腕二頭筋長頭筋に負担をかけないよう、フォロースルーが短くなるため、相手から見てスイングが小さく不安定に見える場合があります。

これらのポイントは、フォアハンド時に上腕二頭筋長頭筋腱炎がある選手のラリー中の特徴として観察され、戦術面では相手に付け入る隙を与えやすくなります。


徒手的評価方法

  1. パルペーション(触診)
    上腕二頭筋長頭筋腱の圧痛部位を確認します。肩関節前面での圧痛や腫脹がある場合、腱炎の可能性が高いです。

  2. スピードテスト(Speed's Test)
    肘を伸展し、前腕を回外した状態で肩関節90度屈曲を行わせ、上向きの抵抗を加えます。このとき肩の前面に痛みが生じる場合は、上腕二頭筋長頭筋腱炎が疑われます。

  3. ヤーガソンテスト(Yergason's Test)
    肘を90度屈曲させ、前腕を回外方向へ抵抗を加えながら回旋させます。肩の前面に痛みが出た場合、長頭筋腱の炎症や不安定性が疑われます。

  4. フォアハンド動作観察
    フォアハンド動作中の肩の痛みやスムーズな動作の有無を観察し、打点やスイングの変化から上腕二頭筋長頭筋腱の負担状況を確認します。

  5. エンプティカンテスト(Empty Can Test)
    肩を屈曲させた状態で腕を内旋させ(親指を下向き)、上からの抵抗をかけて痛みや動作制限を評価します。肩周辺筋群の協調性や長頭筋への影響が把握できます。


徒手的リハビリ内容

  1. 温熱療法とアイシング 急性期の痛みや炎症にはアイシングを用い、症状が改善されてきた段階では温熱療法を取り入れて血行促進を図り、回復を促します。

  2. 筋膜リリース
    上腕二頭筋長頭筋の周囲筋膜をリリースすることで、筋緊張の軽減と柔軟性向上を図ります。軽く腱や筋肉の付着部をマッサージし、痛みのない範囲で行います。

  3. 肩甲骨周囲筋のモビリゼーション
    上腕二頭筋に過度な負担がかかるのを防ぐために、肩甲骨の可動域と安定性を改善します。肩甲骨の前後へのモビリゼーションや内外旋を行い、肩の安定性を高めます。

  4. ストレッチ(上腕二頭筋、三角筋前部、胸筋)
    上腕二頭筋と肩の前面に位置する筋肉群の柔軟性を向上させ、腱への負担を軽減します。軽いストレッチを持続的に行い、痛みのない範囲で進めます。

  5. PNF(固有受容性神経筋促通法)
    肩と肘の協調性を高めるため、PNFを利用して動作の連携を向上させます。例えば、肩の屈曲と外旋のパターンを行い、上腕二頭筋長頭筋が安定して使えるようにします。

  6. 等尺性運動
    肘や肩を固定し、筋肉を収縮させながらも動かさない等尺性運動を行い、筋力を保持しつつ負荷を減らします。徐々に痛みがない範囲で負荷を増やします。




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