硬式テニストレーナー SHINJI が教える「ワイドスライスサーブのスピードと回転数を高めるトレーニング」
ワイドスライスサーブは、試合で相手を引き出し、次のポイントを有利に進めるための強力な武器です。このサーブでスピードと回転数をさらに高めるには、正確な体の使い方と、各部位の強化が欠かせません。この記事では、具体的なトレーニング方法と必要な参考可動域について解説します。
必要な参考可動域
肩関節の外旋
目標:90~100度
外旋の可動域が広いと、インパクト時にラケットを速く振り抜け、ボールに強い回転をかけられます。
体幹の回旋
目標:45~60度(サーブ時のトルク発生に重要)
サーブ動作では、体幹の柔軟な回旋が不可欠です。腰と肩をしっかり回旋させることで、ボールにより大きなスピンをかけ、サーブの威力を増します。
股関節の外転
目標:30~40度(踏み込み時のスタンス保持に重要)
スタンスの安定とサーブの力を保つために、股関節の外転可動域を確保することが重要です。
手首の尺屈
目標:25~30度(インパクト時のラケット角度調整に影響)
手首の尺屈角度を維持することで、ボールに適切な回転を加えることができます。
スピードと回転数を高めるトレーニング
1. 肩関節外旋と体幹回旋を意識したプライオメトリックエクササイズ
目的:肩と体幹の連動強化
方法:メディシンボールを使って肩を外旋させた状態で壁に投げる動作を繰り返します。素早い回旋と同時に、サーブ時のトルクを高めます。
2. 股関節と体幹の安定性強化
目的:ワイドスライスサーブで必要なスタンス安定性を高める
方法:プランクポジションでのバランストレーニングを行います。片足を少し浮かせ、股関節外転の角度を意識しながら、体幹を安定させてキープします。
3. 手首の尺屈と回内の強化
目的:スライス回転の質向上
方法:軽いダンベルを使い、手首を尺屈させた状態からゆっくり戻す動作を繰り返し行います。サーブのインパクト時に必要な手首の角度を維持し、強いスライスをかけやすくします。
4. ステップと踏み込みのタイミングを整えるドリル
目的:下半身の動作を安定させ、スムーズな体重移動を可能にする
方法:ラダーやミニハードルを使い、サーブ前のステップから踏み込みまでのリズムを鍛えます。股関節の可動域を活かし、力強いワイドサーブが打てるようになります。
これらのトレーニングで、ワイドスライスサーブのパワーとスピンを飛躍的に向上させることが可能です。
ワイドスライスサーブの姿勢を確認するポイントは、サーブのパワーと回転数に大きく影響を与えます。以下は、効果的なサーブを打つためにチェックすべき姿勢のポイントです。
スタンス
1. スタンス(足の位置)
チェックポイント:右利きの場合、左足はサイドラインに対して少し斜めに向け、右足は少し後ろに下げます。
注意点:スタンスが広すぎたり狭すぎたりすると、回転やパワーに悪影響を与えるため、肩幅程度のスタンスを目安にします。
2. 膝の屈曲
チェックポイント:サーブを打つ前に膝を曲げ、地面からの反発力を利用できるようにします。
注意点:膝が浅すぎるとジャンプの高さが不足し、逆に深すぎるとバランスが崩れやすくなるため、程よい屈曲を意識します。
3. 体幹の回旋
チェックポイント:サーブのトスを上げる際、体幹をしっかり回旋させて、肩と腰のねじれを作ります。インパクト時には回旋を解放し、スピードと回転を生み出します。
注意点:腰が固定されたままだと、回転が減少し、サーブの威力が落ちるため、柔軟な体幹回旋を心がけましょう。
4. 肩の位置
チェックポイント:トスアップの際に、利き手の肩をリラックスさせて構え、インパクト直前に肩を鋭く引き上げます。
注意点:肩が前に出過ぎると、回転の質が下がるため、肩の位置を自然に保ちながら力を溜めます。
5. 手首とラケットの角度
チェックポイント:インパクト直前に手首を少し尺屈(外側に曲げる)させ、ラケット面を目標に向けます。
注意点:手首の角度が一定でないと、ボールにしっかりと回転がかからないため、インパクト時の角度に注意します。
6. フォロースルー
チェックポイント:インパクト後は、ラケットを大きく振り抜き、肩の反対側に下ろす形を目指します。
注意点:フォロースルーが小さいと、スピードと回転数が不足するため、大きく、自然な振り抜きができるよう心がけます。
姿勢の確認をしっかり行うことで、スライスサーブのパフォーマンスを向上させ、試合での威力を発揮できるようになります。
ワイドスライスサーブのフィジカルチェック項目
1. 肩関節の可動域
外旋:肩関節の外旋可動域が90~100度あるかを確認します。これは、ラケットを振り抜くときのスピードに影響し、サーブの回転をかけるのに重要です。
柔軟性:肩の柔軟性が不足していると、回転数と安定性が低下します。可動域の制限がないかもチェックします。
2. 体幹の回旋力と安定性
回旋可動域:体幹の左右回旋角度が45~60度あるかを確認します。回旋が十分でないと、トルクが不足し、パワーのあるサーブを打ちにくくなります。
体幹の安定性:サーブの動作中に体幹が安定しているかを確認します。動作の中で軸がぶれるとサーブの精度が低下するため、プランクやサイドプランクを使った安定性の確認が有効です。
3. 股関節の可動域と筋力
股関節の外転・内旋:特に右利きの場合、右足の股関節外転(30~40度)や内旋が確保できているかが重要です。スタンスの安定や踏み込みでの体重移動に影響します。
可動域と柔軟性:下半身の柔軟性が低いと、踏み込み動作が小さくなり、パワーが減少します。ヒップフレクサーやグルートの柔軟性も確認します。
4. 膝の屈曲と伸展力
膝の屈曲角度:サーブ前の膝の屈曲が十分(目安として40~50度)あるかを確認します。膝の屈曲が不足していると、ジャンプや上方向への力発揮が難しくなります。
下半身の瞬発力:膝の伸展とジャンプ力がサーブの威力に関わるため、スクワットやジャンプテストを通して下半身のパワーをチェックします。
5. 手首の可動域と安定性
尺屈と橈屈の角度:手首の尺屈(25~30度)と橈屈の可動域が十分かを確認します。手首の柔軟性が不足すると、ラケットの角度を調整しにくく、スライス回転に影響します。
手首の安定性:手首の筋力が不足していると、ラケットの角度をコントロールしづらくなります。手首の強化や安定性トレーニングも確認項目です。
6. 肩甲骨周りの柔軟性と安定性
肩甲骨の可動域:肩甲骨が自由に動くことで、腕の動きをより大きく、速くすることが可能です。肩甲骨の内転や上方回旋がスムーズかを確認します。
筋力と安定性:肩甲骨周りの筋力が不足していると、肩関節への負担が増えるため、肩甲骨の安定性を高めるエクササイズ(例:Y・T・Wエクササイズ)が有効です。
7. 体幹と下半身の連動性
体幹・下半身の連動性:体幹と下半身の動作がスムーズに連動しているかを確認します。下半身からの力がしっかりと体幹を通じて上半身に伝わることで、サーブの威力が向上します。
連動トレーニング:メディシンボールやチューブを使った体幹と下半身の連動トレーニングを行い、動作チェックを行います。
8. コアマッスルの持久力
体幹の持久力:サーブを打つ際に姿勢を安定させるため、コアマッスルの持久力も重要です。プランクやサイドプランクを利用して、耐久性をチェックします。
9. 柔軟性と筋力のバランス
柔軟性の左右差:左右の柔軟性が大きく異なると、フォームに影響が出やすくなるため、両足や両肩の柔軟性の左右差がないか確認します。
筋力バランス:特定の部位が強すぎたり弱すぎたりしないよう、筋力バランスのチェックも行います。たとえば、肩や胸の筋肉が過度に強いと、可動域が制限されるため注意が必要です。
これらのフィジカルチェック項目を基にトレーニングやケアを行うことで、ワイドスライスサーブの精度やパワーが向上し、実戦での効果を発揮しやすくなります。
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