見出し画像

外脛骨障害で悩む硬式テニス選手の特徴的なフットワーク

外脛骨障害(アクセサリーナビキュラ症候群)を抱える硬式テニス選手が見せる特徴的な代償動作には、主に痛みや不快感を回避するための無意識の動作が含まれます。外脛骨障害のあるテニス選手がよく見せる代償動作の例を挙げます。

Instagram いいねしてね

1. 足外側への体重移動

  • 足の内側にある外脛骨の痛みを避けるため、自然と足の外側(小指側)に体重を乗せがちです。これにより、体のバランスが不安定になり、急な方向転換やスライド動作で怪我をしやすくなります。また、足底筋膜や足外側の筋肉に負担が集中し、さらなる痛みを引き起こすことがあります。

2. 膝や股関節の回旋による負担軽減

  • 足の内側を避けようとする結果、膝や股関節を不自然に回旋させる動作が増えます。この回旋は、特にサイドステップや前後の移動で顕著で、膝関節や股関節に余計な負担がかかり、靭帯や筋肉への負担を増加させます。

3. 足首の回外(外側へのねじれ)

  • 足首を回外させることで、足内側への圧力を逃がそうとする代償動作が見られます。しかし、これにより足首の安定性が損なわれ、足首の捻挫や他の損傷リスクが高まります。また、足首の可動域が狭くなり、ステップやジャンプ時の爆発力が低下することもあります。

4. 非患側への重心偏移

  • 外脛骨が片側にある場合、痛みを避けるために反対側の足に重心をかける傾向が強くなります。このため、左右の動作バランスが崩れ、左右差が生まれやすくなります。特に、フォアハンドやバックハンドの際、非患側への重心移動が不自然に増え、スイングの安定性や力の伝達に悪影響を与えることがあります。

5. 短縮したステップや過剰なジャンプの回避

  • 外脛骨の痛みがあると、ステップの幅や高さを制限してしまいがちです。これにより、素早いポジション変更が難しくなり、特に低い姿勢での前後や左右の動作が制限されます。また、ジャンプやスライド動作を避けるようになるため、パワーが必要なショットでのパフォーマンス低下が見られることがあります。

6. 上半身の過剰な使用

  • 足の痛みを回避するため、上半身で動きを補おうとする傾向が強くなります。例えば、ショット時に体幹の回旋や肩の動きを強調することで、足の負担を軽減しようとします。しかし、これが原因で体幹や肩周りに余計な負担がかかり、肩や背中の筋肉の張りや疲労を引き起こすことがあります。


理学療法士徒手検査評価


外脛骨障害(アクセサリーナビキュラ症候群)に対する徒手検査は、足部の痛みの原因や範囲、外脛骨の位置やその影響を評価するために行います。

1. 外脛骨圧痛テスト

  • 目的:外脛骨そのものの痛みや炎症を確認します。

  • 手順:内側縦アーチ上、舟状骨の内側にある外脛骨に指で圧を加えます。

  • 陽性所見:圧痛が生じれば外脛骨障害の可能性が高く、特に触診時に鋭い痛みがある場合は、炎症や過負荷が示唆されます。

2. 足部可動域検査

  • 目的:足首や足部関節の可動域を評価し、外脛骨による動作制限や痛みを確認します。

  • 手順:足関節の背屈・底屈、内反・外反の可動域を評価します。また、外脛骨の痛みや制限が影響しているかを確認するために、足部の内反・外反動作時の動作を観察します。

  • 陽性所見:外脛骨障害による可動域制限や、特定の方向で痛みが生じる場合、足部アライメントの問題が疑われます。

3. 舟状骨浮き上がりテスト(Navicular Drop Test)

  • 目的:内側縦アーチの低下や舟状骨の位置を確認し、外脛骨への負担を評価します。

  • 手順:座位で足が自然に床に接している状態で舟状骨の位置を測定し、立位になった際に舟状骨がどの程度下がるかを確認します。

  • 陽性所見:舟状骨の位置が著しく下がる場合、内側アーチが崩れている可能性があり、外脛骨に負担がかかっていることが考えられます。

4. チビアリス後筋検査(Tibialis Posterior Muscle Test)

  • 目的:後脛骨筋が外脛骨に与える影響や、内側アーチの支持機能の低下を確認します。

  • 手順:患者に足関節を軽く内反・底屈させるように指示し、理学療法士が抵抗を加えながら後脛骨筋の筋力を評価します。

  • 陽性所見:後脛骨筋に弱さがある場合、アーチサポートの低下が考えられ、外脛骨への負担増加や足部の不安定性に繋がる可能性があります。

5. 足部内側縦アーチの評価

  • 目的:外脛骨が内側アーチの崩れに関与しているかを確認します。

  • 手順:立位で足部内側縦アーチを観察し、片足立ちや爪先立ち時にアーチがどのように変化するかを確認します。

  • 陽性所見:アーチが崩れている、またはアーチサポートが不安定な場合、外脛骨がアーチに悪影響を与えている可能性があります。

6. 軟部組織の触診

  • 目的:足部内側の軟部組織や周囲の腱・筋の緊張や痛みを確認し、外脛骨周辺の軟部組織への影響を評価します。

  • 手順:足部内側縦アーチ付近の軟部組織を触診し、特に痛みや緊張の有無を確認します。後脛骨筋腱や足底筋膜などの部位に触れて評価します。

  • 陽性所見:外脛骨周囲の軟部組織に圧痛や緊張がある場合、外脛骨障害による影響が示唆されます。

7. 単脚立位テスト(Single-Leg Stance Test)

  • 目的:外脛骨障害がバランスや荷重能力に及ぼす影響を評価します。

  • 手順:患者に片足で立ってもらい、静止状態やバランスを保てるかを観察します。また、痛みがあるかも確認します。

  • 陽性所見:患側でのバランスが崩れやすい、または痛みが生じる場合、外脛骨の影響で足部の支持力が低下していることが考えられます。

8. 足底筋膜テスト

  • 目的:足底筋膜の緊張が外脛骨障害に関連しているかを確認します。

  • 手順:足底筋膜を伸ばすように軽くストレッチをかけ、痛みや張りの有無を確認します。

  • 陽性所見:足底筋膜に緊張や痛みがある場合、外脛骨の影響で足部に不安定さが生じ、筋膜に負担がかかっている可能性が示唆されます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?