テニス肘のサーブ時痛みの原因と評価方
テニス肘のサーブ時痛みの原因と評価方法
こんにちは、テニストレーナーのSHINJIです。サーブの動作中にテニス肘(外側上顆炎)による痛みが出る場合、フォームや筋肉の状態に問題があるかもしれません。今回は、テニス肘が痛む原因を特定するための姿勢や動作の評価ポイント、筋肉や可動域のチェック、整形外科的徒手検査について詳しく解説します。
1. サーブ姿勢評価
サーブ時の姿勢が崩れていると、テニス肘への負担が増加し、痛みが発生しやすくなります。以下のポイントをチェックして姿勢を確認しましょう。
肩と肘の位置:サーブ動作での肩と肘の高さ、特にインパクト直前の肘の角度を確認します。肘が高すぎたり低すぎたりすると、手首の角度が極端になり、外側上顆(肘の外側の骨)に負担がかかりやすくなります。
体の回旋と体幹の安定性:サーブで体をスムーズに回旋できているか、体幹が安定しているかを確認します。体幹が不安定だと腕に力が集中しやすく、肘に負担がかかります。
下半身と上半身の連動性:サーブの際、下半身からの力が上半身にうまく伝わっているか確認します。力が上手く連動していない場合、腕だけでボールを打ち抜こうとして肘に負担が集中します。
2. 動作分析評価
サーブ動作全体の動きの中で、特に肘に負担がかかりやすい部分を分析します。
インパクトのタイミング:ボールを打つ際のタイミングで体全体を使えているか確認します。タイミングが遅れたり早かったりすると、肘に無理な力が加わりやすくなります。
スイング速度とスムーズさ:スイングが急加速・急停止を繰り返すと、肘の負担が増します。動作がスムーズか、途中で急に速度を変えず一定のリズムで動作が行えるかをチェックします。
手首の使い方:サーブ時に手首を過剰に動かすことで肘に負荷がかかるため、手首を安定させて動作が行われているか確認します。
3. 筋肉評価
テニス肘には、特に手首や前腕にかかわる筋肉の強さやバランスが重要です。以下の筋肉評価を行います。
手関節伸筋群(指伸筋、長・短橈側手根伸筋など):手首を背屈(持ち上げる動き)させる筋肉群の強度を確認。これらの筋肉が弱いと、肘に過剰な負担がかかります。
前腕回外筋(長・短回外筋):手首を上に向ける動作を行う筋肉を評価。回外筋が弱いと、サーブでのインパクト時に肘に負担が集中しやすくなります。
三角筋や肩甲下筋:サーブ時に肩関節を安定させるための筋肉であり、これらの筋力が不足していると肘が支点となり、負荷がかかりやすくなります。
4. 可動域評価
肘や手首の可動域が制限されていると、サーブ動作で代償動作が発生しやすくなり、肘への負担が増します。以下の可動域を確認しましょう。
手関節背屈・掌屈:手首の背屈(持ち上げる)と掌屈(下げる)の可動域をチェックし、左右差がないか確認します。動きが硬いと、肘に負荷がかかりやすくなります。
肘の屈曲・伸展:肘の完全な屈曲と伸展がスムーズに行えるかを確認します。可動域が制限されていると、動作中に無理な負荷がかかりやすくなります。
肩の外旋と内旋:肩の可動域が狭いと、肘が無理に動かされやすくなり、負担が増します。特にサーブ時には肩の柔軟性が大切です。
5. 整形外科的徒手検査
テニス肘の痛みの原因を特定するための徒手検査も有効です。以下のテストを行い、痛みの有無や程度を確認します。
Cozen’s Test:肘を伸ばした状態で手首を背屈させ、抵抗を加えます。痛みが生じる場合はテニス肘が疑われます。
中指伸展テスト:肘を伸ばした状態で手のひらを下にして中指を押し上げ、抵抗をかけたときの痛みを確認します。テニス肘の場合、痛みが出ることが多いです。
握力テスト:握力に左右差があるか、テニス肘によって痛みが伴い握力が低下しているかを確認します。握力の低下は、筋力や可動域の問題と関連していることがあります。
サーブ時にテニス肘が痛む場合の筋力低下に対するトレーニングプログラム
1. 手首伸筋群の強化トレーニング
手首伸筋群(特に長・短橈側手根伸筋と総指伸筋)は、肘の安定に重要な役割を果たします。この筋肉群が弱いと、サーブ時に過剰な負荷がかかります。
リストエクステンション(手首の背屈運動)
方法:軽いダンベルまたはセラバンドを使い、手のひらを下向きにして前腕を膝に固定。手首をゆっくり上げて、3秒かけて下げる動作を繰り返します。
回数:10~15回を2セット
ポイント:痛みが出ない範囲で、ゆっくりとした動作を心がけ、筋肉に効かせるように行います。
2. 前腕回外筋の強化
前腕の回外筋が弱いと、サーブ時の動作において肘に負荷が集中しやすくなるため、筋力を強化して肘を安定させます。
前腕回外エクササイズ
方法:軽めのダンベルを手に持ち、肘を90度に曲げて前腕を水平に保ちます。手のひらを上に向ける動作をゆっくり行い、反対方向に戻します。
回数:10~15回を2セット
ポイント:肘がブレないように固定し、前腕だけを動かして鍛えます。
3. 握力と前腕屈筋群の強化
握力と前腕屈筋群は、ラケットのグリップ力を安定させ、肘にかかる負担を軽減します。これらの筋肉を強化することで、サーブ時のインパクトでの衝撃が緩和されます。
リストカール(手首の屈曲運動)
方法:手のひらを上に向け、軽めのダンベルを持ち、手首をゆっくりと持ち上げて、3秒かけて戻します。
回数:10~15回を2セット
ポイント:前腕を固定し、手首の動きに集中することで、屈筋群にしっかりと負荷をかけます。
ハンドグリップエクササイズ
方法:ハンドグリップやテニスボールを握る動作で、握力を鍛えます。
回数:20回を2~3セット
ポイント:リラックスしながら、適度な負荷で行います。痛みがある場合は無理せず負荷を軽減してください。
4. 肩周りの安定筋強化(ローテーターカフ)
肩の安定が不足していると、サーブ時に肘や前腕に負担が集中するため、肩の筋肉も強化が必要です。特に、肩周りのローテーターカフを鍛えると、肘への負担を軽減できます。
外旋エクササイズ(セラバンド)
方法:セラバンドを使い、肘を90度に曲げた状態で体側に固定。手をゆっくり外側に引く動作を行い、元の位置に戻します。
回数:10~15回を2セット
ポイント:肩が上がらないように、肩甲骨を安定させたまま動かします。
内旋エクササイズ(セラバンド)
方法:セラバンドを使い、肘を90度に曲げて体側に固定。手を体側に引き寄せ、元の位置に戻します。
回数:10~15回を2セット
ポイント:肩や肘がブレないように、ゆっくりと動作を行います。
5. 中臀筋の強化で全身の安定性向上
中臀筋を強化することで、サーブ時に骨盤が安定し、全身のバランスが整います。結果的に肘への負担も軽減されます。
サイドレッグレイズ
方法:横向きに寝て、上側の脚をゆっくり持ち上げ、ゆっくりと元に戻します。
回数:15回を2セット
ポイント:腰が反らないように骨盤を安定させ、ゆっくりとコントロールした動作で行います。