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55歳になって

先日迎えた誕生日、
危うく、病室でひとり、
コンビニスイーツでお祝いでしたが、
家に帰って、長女が焼いたバナナケーキを食べることができました。

思いがけず病気が見つかり、
自分の身体を疑っていなかった私は、
命の危険を感じる体験をしました。
いやはや、なんとも。
まだまだいけると思っていましたが、
そういう年齢なのだと自覚したのです。

今回、自宅で安静に過ごすことを条件に、
誕生日を家で過ごせるよう退院許可が出ました。
そこで、長女に勧められた『さよならのつづき』を
一気に鑑賞。
生田斗真演じる中町雄介の言葉に自分を重ねて、
何となくnoteを書いてみようという気持ちに。

元々の私は、負けず嫌い。
人に弱みを見せることが嫌いです。
持って生まれたものもあったのでしょうが、
両親に「負けるな!一番であれ!隙を見せるな!」と言われて育った結果です。
父の「女は3歩下がって黙ってついていけ」も
冗談じゃない。
いろんな事情で想いが叶わず、
悔しい気持ちは誰も理解なんかできないし、
ひとりで誰にも迷惑をかけずに生きていくんだと
かなりトンガっていたはず。

それが、職場で夫に出会って一気にどんでん返し。
目の前のことに
全力投球で自分を削っている様子に
「この人のほっとできる時間を作りたい」と
感じたわけです。
もう3歩下がってついていくって決めたんです。

でも、思えば黙ってではなかったですね。

最初は、夫が納得のいく仕事ができれば、
それでよかったはず。
だけど、守るべき家族ができた。
一緒にいたくて結婚した私たちは、
単身赴任なんて全く選択肢になく、
「子育てをする環境を考えたい」と切り出したら、
最終的に夫は自分のキャリアを捨てて
父としての時間の確保に努めてくれて。

専業主婦で過ごすうちに、
妻や母としての役割以外の自分でもいたいと感じるようになったことも話しました。
夫は最初反対。
理由は
①私が仕事となるととことんやらないとすまない性分であること。
②ふたりとも忙しいと気持ちの余裕がなくなってしまうのではと心配なこと。
③何よりも娘たちが巣立つまでは「おかえり」と顔を見てやってほしいこと。
であると伝えられて、お互いの思いをクリアできる着地点を見つけました。
まあ、山崎まさよしの『セロリ』の歌詞の世界です。

こんなふうに、
常にお互いに譲歩できるポイントを探しながら、ここまできました。
心がけたのは、
絶対に感情的に言葉をぶつけないこと。
嫌な気持ちになると、
もうどうでもよくなってしまうから。

夫に
「作品の中に『柔軟剤でありたい』って
セリフがあって、まさにそういう思いで結婚したからグッときた」と伝えたら、
「結果、旦那さんの方がその役割を果たしてるけどね」と笑われて。
たしかに。
夫婦になって、少しずつ話をするうちに、
私はおとなしくなんかないこと、
すごく負けず嫌いなこと、
保守的に生きることをよしと育てられたけど
本当はチャレンジしたいこと、
他の人と同じじゃ嫌なこと、
いろんな私の本性はすぐに見抜かれて。
昔から、柔らかいふんわりしたものより、
キリッとクールなものが好き。
自分が強がっていたから、
聖子ちゃんより明菜ちゃん。
娘たちにも、
ひらひらふわふわした、いわゆる女の子らしいものは着せたことがなかったかも。
それが、
「いつも明るくニコニコしてるよね」と言われるようになったのは、夫の柔軟剤効果かも。

そういえば、7年前、
次女が巣立ったタイミングで愛車を買いました。
実は車が好きな私に「今度は自分が好きなのを買ったらいい」と言ってくれて。
ずっと欲しかった車を試乗したら「何だかふつうすぎてイメージじゃない」と。
夫が薦めてくれた車はちょっと勝気な顔つきで、
私は好きじゃなかったけど、
試乗したらキビキビ走るタイトな足回りにもう虜。
限定車はタイヤが大きいインチだったバランスも決め手になって。
その時に、夫はすべてお見通し、
3歩下がってついていくと決めた私が、
セカセカと3歩前を歩くことを面白がっているんだなと感じました。

ふたりで生きるのって、相手のために自分ができることをまず考えたくなること。
それを受け取ると嬉しくて、
それ以上に返したいって思う相互作用が生まれて。
幸せは一緒に育てていくものですね。

思いがけない病気で、
家族のお誕生日には必ず駆けつけて「おめでとう」を伝えることが、今回初めて叶わなかったけど、
強制的に立ち止まらなければならなくなって、
ゆっくりいろんなことを感じることができたと思います。

愛車もまさかのメンテナンス、
我が家も20年を過ぎてまさかの雨漏り、
入院費、修理代と頭が痛いけれど、
私と同じように、年を重ねているということですかね。

これからも明るく笑っていろんなことを面白がれる、タフな女でありたいです。

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