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【株式投資】恐怖指数(VIX)とは何か
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VIX指数(Volatility Index、恐怖指数)について
VIX指数(Volatility Index、恐怖指数)は、アメリカの株式市場における価格変動リスク、つまり市場の不確実性やボラティリティを測る指標です。特にS&P 500指数のオプション取引を基に、今後30日間の予想ボラティリティ(価格変動の度合い)を表しています。
VIX指数の特徴:
市場の不安を示す: VIXが上昇すると、投資家が将来的に株価の大きな変動(下落も含む)を予想していることを示します。反対に、VIXが低いと、市場が安定しており、投資家の不安が少ないと解釈されます。そのため、VIXは「恐怖指数」とも呼ばれています。
数値の意味:
VIXが20を超える:市場は不安定で、今後価格変動が大きい可能性があると考えられます。
VIXが20未満:市場は比較的安定しており、リスクが少ないと見られます。
【補足】なぜ20なのか(後半の計算式についてを参照)
→VIXの数値は年率換算のボラティリティを表しており、通常、VIX値が20であれば、S&P 500の年間変動率が±20%程度であると予想されていることを意味します。
VIXと株価の関係: 通常、VIXと株価は逆相関の関係があります。つまり、株価が下がるときにはVIXが上昇し、株価が上昇するとVIXが下がる傾向にあります。特に、株式市場が急落するときには、VIXも急上昇することがあります。
投資における役割: 投資家は、VIXを見て市場のリスクを判断し、リスク管理の一環としてポジションを調整することがあります。例えば、VIXが急上昇した場合、投資家はリスクを避けて安全資産に資金を移す可能性があります。
VIX指数の具体的な使い方:
ヘッジ手段:VIXに連動するETFやオプションを利用して、ポートフォリオのリスクヘッジを行う投資家もいます。
市場タイミングの指標:VIXが非常に高いとき(例えば50以上)には、過度な悲観が市場に反映されており、その後市場が反発する可能性があると判断する投資家もいます。
まとめると、VIX指数は市場の不安や価格変動リスクを測る重要な指標であり、特に市場が不安定な時期に注目されることが多いです
計算方法について
VIX指数は、S&P 500指数オプションのインプライド・ボラティリティ(予想される価格変動率)を基にして計算されています。この「インプライド・ボラティリティ」とは、オプションの価格から逆算された、今後の市場の予想される変動の大きさを示す指標です。
具体的なVIX指数の算出方法について説明します。
1. 基礎となるオプション価格
VIXは、S&P 500指数のオプション価格を使用して算出されます。ここで使われるオプションは、満期が近いもの(次の2回の満期日が対象)で、かつアウト・オブ・ザ・マネー(権利行使価格が現在の市場価格よりも高いまたは低い状態のオプション)を主に使用します。
コールオプション(買う権利):S&P 500指数が上昇する際に利益が出るオプション。
プットオプション(売る権利):S&P 500指数が下落する際に利益が出るオプション。
2. 2つの異なる満期のオプションを使用
VIXは、2つの異なる満期日のオプションを使って、今後30日間のボラティリティを予測します。オプションの満期までの日数に応じて、線形補間という方法で、ちょうど30日後のインプライド・ボラティリティを計算します。
例:次の満期までが25日、次の次の満期までが35日の場合、それぞれの満期日のオプション価格を使って、その間の30日を基にVIXを算出します。
3. アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)オプションの使用
VIXは、オプションの価格の中でも「アウト・オブ・ザ・マネー」のもの(コールの場合は現在価格より高い、プットの場合は現在価格より低い)を重視して計算されます。これは、より市場の大きな動きに敏感であるためです。
4. VIXの計算式
VIXの計算式は少し複雑ですが、以下のステップを踏んで算出されます:
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T:満期までの日数
ΔKi:隣接するオプションの権利行使価格の差
Ki:各オプションの権利行使価格
r:無リスク金利(リスクフリー金利)
Q(Ki):各権利行使価格でのオプションの価格
F:満期日における理論的なS&P 500指数の価格
K0:現在のS&P 500指数の価格に最も近い権利行使価格
5. ボラティリティの期待値
VIXの数値は年率換算のボラティリティを表しており、通常、VIX値が20であれば、S&P 500の年間変動率が±20%程度であると予想されていることを意味します。
まとめ
VIXは、S&P 500指数に基づいたオプションのインプライド・ボラティリティを計算し、今後30日間の価格変動リスクを示します。
具体的には、満期の近いオプションの価格を用いて線形補間を行い、そこからインプライド・ボラティリティを導き出す複雑な計算が行われます。
VIXの計算は専門的で複雑な数式に基づいていますが、基本的な考え方としては「オプションの市場での動きから、市場全体の不安感を読み取る」というものです。
考えたのは誰か?
VIX指数は、アメリカのシカゴ・ボード・オプション取引所(CBOE: Chicago Board Options Exchange)によって考案され、1993年に正式に導入されました。この指数の基本的な概念は、ロバート・E・ホエリー(Robert E. Whaley)という金融学者によって設計されました。
VIX指数の考案と歴史:
ロバート・E・ホエリーの貢献:
ロバート・E・ホエリーは、金融工学とオプション市場の研究で著名な学者です。彼はCBOEからの依頼を受け、市場のボラティリティ(変動性)を反映する指標としてVIX指数を設計しました。
彼が1993年に発表したVIXは、当初、S&P 100(OEX)オプションの価格に基づいていましたが、後にS&P 500のオプションを基にするように変更されました(2003年)。
CBOEの役割:
CBOEは、VIX指数を金融市場に導入した機関です。CBOEはオプション取引を専門とする取引所であり、VIXの導入により、市場全体の投資家がリスク管理やヘッジングの手段としてこの指数を利用できるようになりました。VIXの進化:
1993年:ロバート・ホエリーがCBOEと協力して、初期のVIXを設計。当初はS&P 100のオプションを基にしていた。
2003年:VIXはより広範なS&P 500オプションを基にするように改良され、現在の形に進化しました。
影響と普及:
VIXは導入後、すぐに市場の恐怖や不確実性を反映する重要な指標として広く認知されました。金融危機や市場の急激な変動時には、VIXが急上昇することから、投資家やトレーダーにとっての恐怖指数としての役割が定着しました。
また、VIXに関連する金融商品(ETF、オプションなど)が次々と開発され、投資家が直接このボラティリティに投資できる手段が増えました。
その他のボラティリティ指数について
1. Nikkei VI(Nikkei Volatility Index)
Nikkei VIは、日経平均株価(Nikkei 225)に基づいたボラティリティ指数です。
日経平均株価のオプション取引に基づいて、今後30日間の予想ボラティリティを算出します。
計算方法はVIXと類似しています。具体的には、日経225オプションのインプライド・ボラティリティを使用し、次の満期に近いオプションの価格を利用して計算されます。満期の異なるオプション価格を使い、未来のボラティリティを予測します。
Nikkei VIは、日本市場の不安やリスクを測るための指標で、投資家はこの指数を基に日本市場のリスク評価やヘッジ戦略を立てます。
2. DJIA Volatility Index(ダウジョーンズ工業平均ボラティリティ指数)
DJIA Volatility Indexは、ダウ・ジョーンズ工業平均(DJIA)に基づくボラティリティ指数で、VXDとして知られています。
これは、ダウ30銘柄に関連するオプション取引から導き出されるインプライド・ボラティリティを基に、今後30日間の価格変動リスクを表します。
計算の基本的な概念はVIXとほぼ同じですが、使用するオプションが異なる点で異なります。VIXはS&P 500を基にしているのに対し、DJIA Volatility Indexはダウ工業平均に基づいており、計算に使うオプションの価格や市場参加者の構成が異なるため、インデックスが表すリスクの内容も微妙に異なります。
3. 計算式の違いについて
基本的には、VIXと同じ手法が使われており、オプション価格からインプライド・ボラティリティを計算する際の「線形補間」や「アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)」オプションの価格使用などのテクニックは共通しています。
ただし、指数ごとに対象となる市場(S&P 500、日経225、ダウ平均)が異なるため、計算に使用されるオプションのデータも異なり、その結果として具体的な数値や市場の特性も異なるものになります。
まとめ
Nikkei VIやDJIA Volatility Indexは、VIXと同じくオプションのインプライド・ボラティリティを基にしている点では共通していますが、対象となる市場や使用するオプションが異なります。
計算式は基本的にVIXと同じ方法に基づいていますが、対象となる指数(S&P 500、日経225、ダウ平均)が異なるため、それぞれの市場におけるボラティリティを反映するために、多少の違いがあります。
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