見出し画像

母と兄の長い親子喧嘩

両親はお金の使い方が上手くなかった。会社勤めの父、兼業農家で漁業もしていて、時代も良かったから収入はあったのだろう。だけど借金を申し込んできた人の田んぼを買う形で保証人のようなことを繰り返していたので、いつもお金がないと聞かされていた。

家が古くて汚かったり、着るものも粗末だったりしたので、お金を貸してあげた家の子に貧乏人と陰口を叩かれたりもして、借金を引き受ける父が憎かった。なぜ家族が辛酸を舐めてもお金を貸すのかと大学生の時に父に訪ねたことがある。曾祖母がすごく性格がきつかったそうで、母が幼い頃にご近所に恨まれて放火されて、家が燃えてしまったそうだ。その時に助けてもらった恩を返しているんだよと聞かされ、理由がわかってしぶしぶ納得した。

それでもうちが誰かに借金をすることはなかったので、やはり収入があったのだと思う。

今から振り返れば母と兄は自分たちが使えるお金に対してとても貪欲な人だったし、今もそうだと思ってる。

お家に遊びに行くと兄と私ふたりともにお小遣いをくれる親戚のお家があった。帰ってくると必ず兄が絡んできてプロレスごっこみたいになって、お金を入れた封筒がなくなってしまう。たぶん兄が盗んでいたんだろう。母に失くなったと言ってもお前が悪いの一点張りで、いつも悲しかったのを覚えている。

私が4歳ぐらいの時に、中学生の兄が神様の所に5円玉と50円玉を輯めて飾ってあるお金の中から50円玉だけ抜いてたのがばれてこってり叱られていたのを、何してんだろと思いながら見てたのをぼんやりと覚えている。

母は兄が、兄は母がお金に汚いって言うけど、それはお互いがお金に汚いから、鏡の法則でそう見えてるだけ。旨味のある見返りがないと動けない傾向がふたりとも強いね。

深く考えないで黙ってひとりで勝手にやっちゃう母が悪いのはもちろんなんだけど、放っておいてる兄もおかしいんよね。

旨味がないどころか田舎のゴミ屋敷でマイナスになる家なんか継ぎたくないから、はっきりと答えを出さないでのらりくらりと母が死ぬのを待ってるように見える。自分の持つ恨みをじわりじわりと仕返ししていくやり方で、母に復讐しているのだろう。母は自分の母親を虐待されてきた恨みを晴らすようにして執拗にいじめていたけれど、兄も放置という形で母と似たようなことをしているのだ。

ふたりとも自分のことばかりで、周りの人に与える影響なんて考えもしていない。自分が手に入れられなかったものばかり目についてすねてばかりいるから、負のスパイラルに飲み込まれてしまっている。

お互いにしんどかったことを大切に握りしめあってるけど、ケンカしてもいいからもっと早くぶちまけあっておいてほしかった。母と兄の長い長い親子喧嘩に巻き込まれている私のこと、ふたりには見えているのかな?私の悲しみや怒りはずっと宙ぶらりんだよ。

母は亡くなってから、自分のしてきた子育ての答え合わせをするのだろう。兄は、母が亡くなった時、長男として跡取りとして動くんだろうか?それとも逃げるのだろうか?



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?