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Salesforce上級アドミニストレーター資格 学習ガイド
1. 受験資格の前提
前提条件(Prerequisite): Salesforce認定アドミニストレーター資格に合格していることが公式に定められています。つまり、上級アドミニストレーター試験を受けるにはまず基本の管理者資格(ADM-201)を取得済みである必要があります。そのため、基本資格で問われる「主従関係(マスター・詳細)と参照関係の違い」や「ワークフロールール・プロセスビルダー・フローの使い分け」、「データローダーとインポートウィザードの違い」といった知識は習得済みである前提となります。
想定される受験者像: 上級アドミニストレーター試験は、Salesforceの高度で細かい設定に精通し、あらゆるビジネス課題を解決できる上級管理者を認定する資格です。受験者には幅広いクラウドアプリケーションの知識(Sales CloudやService Cloud、Chatterなど)と、高度な管理・自動化機能を活用した問題解決能力が求められます。具体的には、日常的にSalesforceを管理・活用しており、追加機能の提案や実装を継続的に行っていることが望まれます。
試験概要: 出題数は60問、制限時間105分、合格ラインは65%(39問以上の正解)です。試験は選択問題(単一選択・複数選択)で構成され、Salesforceの追加機能や高度な設定に関するシナリオ問題が中心です。基本管理者試験に比べて問われる内容が細かく、難易度が高い試験と考えてよいでしょう。
2. 学習計画
全体方針: 試験範囲は非常に広いため、計画的に学習を進めましょう。まず試験ガイドの出題範囲をいくつかのトピックに分解し、一度に一つの領域に集中して学ぶ戦略がおすすめです。上級アドミニストレーター試験では、標準の管理機能の「応用編」が問われるため、それぞれの機能について「より高度な使いこなし方」や「シナリオに応じた最適な機能の選択」ができることを目指します。
試験範囲の主なトピック: セキュリティとアクセス権限、カスタムオブジェクトの拡張、監査ログ・モニタリング、Sales Cloudの応用機能、Service Cloudの応用機能、データ管理、コンテンツ管理、変更管理(リリース管理)、分析(レポート・ダッシュボード)、プロセス自動化など、多岐にわたります。これらを網羅するため、3か月間を以下のように分けて学習すると良いでしょう:
1か月目(週1~4):基盤強化と高度機能の理解
セキュリティと権限: 組織の共有モデルやロール階層、組織の共有設定、レコード・項目レベルセキュリティ、プロファイルと権限セット、委任管理などを復習・深化します
オブジェクトとアプリケーション拡張: カスタムオブジェクト間の関係構築(主従関係と参照関係の適切な使い所)を押さえます
監査とモニタリング: 設定変更やユーザの操作履歴を追跡する方法を学びます。具体的には監査証跡(セットアップオーディットトレイル)やログイン履歴の活用、デバッグログを用いたワークフローやフロー実行のトラブルシューティングなどです
2か月目(週5~8):クラウド別機能とデータ管理の攻略
Sales Cloud応用: 商談を中心とした高度な営業支援機能を習得します。例えば商品カタログと価格表、価格ブックの設定・管理、商品スケジュールや見積機能(見積と商談の同期要件)などです
Service Cloud応用: サポート業務向けの高度機能を学びます。Salesforceナレッジではデータカテゴリの計画と記事のライフサイクル管理、エンタイトルメント(契約履行管理)の設定と運用方法が重要です
データ管理: データ品質の維持・向上のための機能に習熟します。具体的には、重複管理(重複ルールと照合ルール)による重複防止、検証規則(バリデーションルール)による入力データの質の担保、項目履歴管理や監査項目の活用、データのアーカイブ戦略などです
3か月目(週9~12):分析・自動化機能と総仕上げ
分析(レポート・ダッシュボード): 高度なレポート作成スキルを身につけます。カスタムレポートタイプの作成、クロスフィルタを用いた「~のないレコード」の抽出、結合レポートを使った複数レポートの統合表示、レポートスナップショットによる履歴データの蓄積など、標準レポート機能の上級テクニックを練習しましょう
プロセス自動化: コードに頼らず業務を自動化するクリック開発の総合力を高めます。ワークフロー、プロセスビルダー、承認プロセス、そして最新のフロー(Flow)について、それぞれできること・適切な用途を整理しましょう
模擬試験・総復習: 残りの時間は模擬問題を解いたり、取りこぼしのあった領域を復習します。公式のサンプル問題やコミュニティで共有されている練習問題を活用して、本番形式の問題に慣れましょう。間違えた箇所は関連ドキュメントを読み直し、自分なりにノートにまとめて知識を定着させます
※上記は一例です。ご自身の業務経験や習熟度に応じて柔軟に調整してください。特に経験が少ないトピックには多めに時間を割き、Trailheadのハンズオンやデモ環境での実践を通じて理解を深めましょう。
3. 学習リソース
Trailheadによる学習: Salesforce公式が提供する学習プラットフォーム「Trailhead」を最大限に活用しましょう。公式には、実務経験、トレーニングコース、Trailheadのトレイル、自主学習を組み合わせて試験準備することが推奨されています。上級アドミニストレーター試験向けにキュレーションされた専用のTrailmix「Prepare for Your Salesforce Advanced Administrator Credential」が公開されています。このTrailmixには試験範囲の各トピックに対応するモジュールやプロジェクトがまとめられているので、一通り完了することで網羅的な知識を習得できます。
特におすすめのモジュール/トレイル・スーパーバッジ例(Trailmixに含まれるもの):
セキュリティ関連: データセキュリティや共有モデルに関するモジュール、「セキュリティスペシャリスト」スーパーバッジ
レポート・ダッシュボード: レポート/ダッシュボード基礎から応用(結合レポートやダッシュボードフィルタ)に関するモジュール、「Lightning Experience Reports & Dashboards Specialist」スーパーバッジ
自動化: 承認プロセスやフローのモジュール、「Process Automation Specialist」スーパーバッジ
全般: 「Business Administration Specialist」スーパーバッジ
スーパーバッジは実務に近いシナリオ形式の課題を解決する実践的な学習教材です。時間はかかりますが、合格に必要な応用力を養うのに非常に効果的です。上記のようなスーパーバッジ取得を学習計画に組み込むと良いでしょう。
公式ドキュメントの活用: 試験範囲の各トピックについて、公式ヘルプドキュメントや開発者向けガイドを参照して知識を深めましょう。たとえば、権限セットや共有ルールの挙動、ナレッジやエンタイトルメントの設定方法、変更セットの仕様など、詳しくはSalesforceヘルプやTrailhead内のガイド記事に記載があります。試験ガイドの「Exam Outline(試験範囲)」に列挙された各項目に対応するドキュメントを読み込み、わからない用語や機能があればその都度調べて整理しておくことが大切です。公式ドキュメントは信頼性が高く最新情報が反映されているため、解釈に迷った際の拠り所にしてください。
研修コース・教材: 可能であればSalesforce公式の研修コース受講も検討しましょう。公式推奨のコースとして「Administration Essentials for Experienced Admins (ADM-211)」(日本語: Salesforce 管理 II:高度な機能の活用)や「Sales Cloud / Service Cloud 管理コース」などがあります。時間と予算に余裕があれば受講することで体系的な知識習得や疑問点の解消が期待できます。加えて、サードパーティのオンライン講座や試験対策本、コミュニティサイト(Salesforce Trailblazer CommunityやQiita記事など)から他の合格者の勉強法やアドバイスを参考にするのも有益です。
Trailblazer Community: 学習中に疑問が出てきたら、TrailblazerコミュニティのQ&Aフォーラムを活用しましょう。試験勉強中の仲間やSalesforceエキスパートが集まっており、疑問を投稿すれば回答やヒントをもらえることがあります。自主学習でも孤立せず、コミュニティを通じて情報収集やモチベーション維持を図ることができます。
4. 試験のコツ
効果的な学習方法:
試験ガイドを起点に: 学習開始時に必ず公式の試験ガイド(Exam Guide)に目を通し、出題範囲と各トピックの設問例を確認しましょう。ガイド記載の重み付け(各分野の出題割合)にも注意し、出題比率が高い領域に重点を置いて勉強時間を配分します。例えばプロセス自動化やセキュリティは高い割合で出題される傾向があります。とはいえ全トピックを満遍なく理解することが大前提です。特に苦手分野を残さないよう、計画的に学習を進めましょう。
「理解」と「暗記」のバランス: Salesforceの資格試験は丸暗記よりも概念理解と応用力が重要です。例えば機能AとBの違いや適材適所を問う問題が多いため、それぞれの機能の目的や制約を理解し、なぜその設定が必要なのかを説明できるレベルを目指します。自分で説明できない部分は、Trailheadのハンズオンやデモ環境で試してみたり、公式Helpx記事を読むなどして体験的に理解を深めましょう。とはいえ重要な数値や用語は暗記も必要です(例: 各種リミット値、機能の有効化条件、エディションごとの制約など)。理解と記憶を組み合わせ、知識を定着させてください。
ノート作成と復習: 学習中に得た知識は箇条書きノートやマインドマップにまとめておくと良いでしょう
模擬試験で実践練習: 公式サンプル問題や模擬問題集を活用し、本番形式の問題演習を行います。Focus on Forceなどから問題集を入手できる場合は挑戦してみましょう。問題を解いた後は解説をよく読み、関連ドキュメントを確認して理解を深めます。模擬試験は時間を計って解き、時間配分の練習もしておきます。105分で60問であるため、1問あたり約1.5~2分で解答するペース配分を意識しましょう。難問に長く悩みすぎない訓練や、見直し時間の確保なども模擬の段階で身につけておくと安心です。
本番試験で気を付けるポイント:
設問文とキーワードを見落とさない: 問題文は長めのシナリオ形式が多く、細かい条件設定が含まれます。質問を最後まで丁寧に読み、聞かれている内容を正確に把握しましょう
選択肢の比較と消去法: 選択肢は一見どれももっともらしく見える場合がありますが、消去法で不適切なものから除外していくのが有効です
時間配分と見直し: 60問を105分で解くため時間には比較的余裕がありますが、難問で立ち止まると後半焦る可能性もあります。わからない問題は一旦マークして飛ばし、最後に戻ってくる戦略も使いましょう。全問一通り解き終えたら、必ず見直しの時間を確保します。マークした問題や自信のない問題は再度設問と選択肢を吟味し、ケアレスミスがないか確認してください。特に複数選択問題は選び漏れ・選び過ぎに注意です(指示された個数を選択)。時間が余れば設問文中の数字や条件を再確認し、自分の選んだ答えが本当に条件を満たすかをチェックすると安心です。
冷静さと集中力: 本番では緊張しがちですが、深呼吸して臨みましょう。難しい問題が出ても慌てず、今まで学習した知識を信じてください。問題文が長い場合も落ち着いて読み解けばヒントが隠れているものです。途中で焦りを感じたら一度数秒目を閉じて呼吸を整え、平常心で次の問題に向き合いましょう。集中力を切らさないように適宜姿勢を正す、水分を取る(オンライン受験の場合は事前に許可された飲み物を用意)などして、試験時間を乗り切ってください。
オンライン受験時の注意: 在宅でオンライン試験を受ける場合、事前にシステム要件や試験監督手順を確認し、静かな環境を準備しましょう。開始前にPCのカメラ・マイクをチェックし、余計なアプリや拡張機能はすべてオフにします
最後に、しっかり準備をして臨めばきっと合格できます。過去問演習の成果を信じ、試験当日は自信を持って取り組んでください。Good Luck!
5. 過去問題(選択肢付き)
以下は、上級アドミニストレーター試験対策の練習問題です。各問に解答と解説を付しています(※実際の試験問題ではありませんが、試験範囲に即した内容になっています)。知識の確認にご活用ください。
1.
あるカスタム項目のアクセス権付与に関するシナリオ: ユニバーサルコンテナ社では、取引先責任者オブジェクトに「給与」という機密カスタム項目があります。この項目はシステム管理者のみ閲覧可能で、他の全プロフィールでは非表示になっています。今、システム管理者は人事部の「採用担当者」と「アシスタント」のユーザにもこの給与項目を読み取り専用で閲覧できるようにする必要があります。採用担当者とアシスタントは現在別々のカスタムプロフィールに属しています。システム管理者は要件を満たすためにまず何をすべきでしょうか?(2つ選択)
A. 採用担当者とアシスタントの各プロフィール設定で、給与項目の閲覧権限(項目レベルセキュリティ)を「参照のみ」に変更する。
B. 取引先責任者オブジェクトの共有ルールを作成し、給与項目の値に基づいて該当ユーザにレコードアクセスを与える。
C. 給与項目への参照権限を含む権限セットを新規作成し、採用担当者とアシスタントのユーザに付与する。
D. 採用担当者用とアシスタント用に新しいプロフィールをそれぞれ複製作成し、給与項目の参照権限を付与したうえで当該ユーザを新プロフィールに割り当てる。
正解: A、C
解説: 項目レベルセキュリティで各プロフィールに閲覧権限を付与すれば該当ユーザは給与項目を閲覧できます(A)。加えて、権限セットを用いて特定ユーザに項目アクセス権を付与する方法も有効です(C)。権限セットなら既存プロフィールを変更せずに必要な権限だけ追加付与できるため柔軟です。一方、共有ルール(B)はレコードの共有を制御するもので項目単位のアクセス制御には使えません。また、新たにプロフィールを作成する(D)のは管理コストが高く推奨されません。したがって最も簡潔なのはAまたはCの方法です(本ケースではどちらも要件を満たせますが、権限セットで対応する方がより柔軟なベストプラクティスです)。
2.
見積と商談の同期エラーに関するシナリオ: 営業担当者が、商談に関連付けた見積レコードを商談と同期しようとしてもうまく同期できないと報告してきました。考えられる原因は次のうちどれでしょうか?(2つ選択)
A. 見積に設定されている通貨が現在組織で非有効(無効化)になっている。
B. 見積に含まれている価格表がアーカイブ済みである。
C. 見積がクローズ済み(完了した)商談に添付されている。
D. ユーザに対し見積オブジェクトの「編集」権限がないため同期できない。
正解: A、B
解説: 見積と商談の同期は、見積上の通貨や価格表が有効であることが条件です。選択肢Aのように見積で使用している通貨が組織で無効化されている場合、同期はエラーになります。同様に、見積で使っている価格表または価格表エントリがアーカイブ(無効化)されている場合も同期エラーの原因となります。選択肢Cの「完了商談への見積」は同期自体は可能です(むしろ商談がクローズされる際に同期解除される仕様がありますが、同期開始自体はクローズ前に行われます)。選択肢Dの権限も直接の原因ではありません。見積の編集権限がなくても、自分が所有者であれば同期ボタンを押すことは可能で、同期は権限というよりデータ要件によって制限されます。従って原因として正しいのはAとBです。
3.
Salesforceナレッジの設定に関する質問: システム管理者がSalesforceナレッジを有効化し運用していくにあたり、考慮すべき点はどれですか?(3つ選択)
A. データカテゴリの表示設定はロールおよびプロフィールを使用してユーザ毎に制御できるように計画する。
B. 記事のバージョン番号はナレッジマネージャ(管理者)が手動で割り当て追跡できるようにする必要がある。
C. サポートエージェントがケース画面からナレッジ記事を作成できるように、ナレッジ設定でオプションを有効にする。
D. ソリューション設定でカテゴリ別のソリューション閲覧を有効にしておく必要がある。
正解: A、C、D
解説: Salesforceナレッジを企業内に展開する際には、まずデータカテゴリ(記事の分類体系)を設定し、どのユーザがどのカテゴリを閲覧できるかをロールやプロフィール単位で指定する必要があります(A)。これはナレッジの閲覧制御の基本です。また、ケースからナレッジ記事を投稿する運用を想定する場合は、ナレッジ設定で「ケースからの記事作成」を有効にしておくとエージェントがスムーズにナレッジ化できます(C)。選択肢Bの記事バージョン番号の手動管理は不要です。バージョン管理はSalesforceが自動的に行うため、管理者が番号を振る必要はありません。選択肢Dについて、ナレッジではソリューションに代わりデータカテゴリを使用します。しかし組織で従来のソリューション機能も有効にしている場合、ソリューションカテゴリを有効化しておくことでナレッジと併用するケースでもカテゴリ別閲覧の一貫性を保てます。試験の文脈ではDも考慮点に含めています。以上より、A・C・Dが正解です。
4.
レポートタイプの選択に関する質問: 営業マネージャが「活動履歴(タスクやイベント)が一件も登録されていない商談」のみを抽出して一覧化したいと考えています。この要件を満たすレポートを作成するには、どのような方法を使うとよいでしょうか?(2つ選択)
A. 主オブジェクトが商談で第2オブジェクトが活動となるカスタムレポートタイプを新規作成し、そのレポートタイプでレポートを作成する。
B. 標準の商談レポートにおいて、クロスフィルタ(除外条件)を使用し「活動がない商談」を抽出する。
C. 結合レポートを使用し、ブロックAに全商談のレポート、ブロックBに完了タスク/イベントのレポートを配置して、ブロックBが空の商談のみを表示する。
D. 商談レポートで最終活動日項目を利用し、フィルタ条件で「最終活動日が空白」の商談のみ表示する。
正解: B、D
解説: 商談に関連する活動がないレコードだけを抽出するには、標準レポート機能のクロスフィルタを使う方法(B)がシンプルです。商談レポートに「活動が無い商談」という条件のクロスフィルタを設定すれば、関連活動の有無で絞り込めます。また、Salesforceには商談オブジェクトに自動計算される「最終活動日」項目があり、これが空であれば活動履歴が無いことを意味します。従ってこの項目を使い「最終活動日が空白」というフィルタを設定する方法(D)でも同様の結果が得られます。選択肢Aのカスタムレポートタイプでは、標準では「子レコードがない親レコードのみ表示」という機能は提供されないため要件を満たせません(結局クロスフィルタを使う必要があります)。選択肢Cの結合レポートでも工夫すれば可能ですが、設定が複雑であり、標準の機能で簡潔にできるBやDの方法が適切です。
5.
プロセス自動化のシナリオ: ユニバーサルコンテナ社では、営業案件(商談)の確度が50%未満に下がった場合にそれをレポートで簡単に抽出したいという要件があります。システム管理者はまず商談オブジェクトに「低確度フラグ」というチェックボックス項目を追加しました。確度が50%を下回った商談を識別するために、管理者が追加で実施すべき設定は次のうちどれですか?(1つ選択)
A. 該当チェックボックスに項目履歴管理を設定し、履歴データをレポートで参照できるようにする。
B. チェックボックスがオンの場合に上長に承認を求める承認プロセスを作成する。
C. 商談の確度が50%未満に変更された際に自動でチェックボックスをオンにするワークフロールール(またはフロー)を作成する。
D. ユーザが確度を50%未満に入力した場合にエラーを表示する検証規則を作成する。
正解: C
解説: 確度が50%を下回った商談をレポート抽出するには、「低確度フラグ」チェックボックスが真に設定されたレコードを抽出すれば良いです。しかしユーザが手動でチェックを入れる運用では漏れが生じる可能性があります。そこで、ワークフローやフローを使って確度項目が変更されたときに自動判定し、50%未満ならチェックボックスをオンにする処理を作るのが適切です(C)。こうすれば確度に応じてフラグが自動管理され、レポートで正確に抽出できます。項目履歴管理(A)は変更履歴を追跡する機能であり、レポートで直接「現時点で50%未満」を抽出するには適しません。承認プロセス(B)や検証規則(D)はこの要件には無関係です(承認やエラーではなくフラグ管理の問題)。従ってCが正解となります。
6.
委任管理者の機能: システム管理者は一部の部門ユーザに対し、限定的な管理業務を任せるため委任管理者を設定しました。次のうち、委任管理者が実行できる作業はどれとどれでしょうか?(2つ選択)
A. 特定のロール配下のユーザを新規作成・編集し、パスワードリセットを実施する。
B. 特定のカスタムオブジェクトについて項目やレイアウトを管理し、そのオブジェクトのレコード権限設定を行う。
C. システム管理者権限がなくても新しいプロフィールを作成したり既存プロフィールを変更できる。
D. ユーザに対して権限セットの割り当てや削除を行う。
正解: A、D
解説: 委任管理者に指定されたユーザは、あらかじめ管理者から委任された範囲内で一部の管理作業を行えます。典型的な機能として、特定のロールに属するユーザの作成・情報編集やパスワードのリセットが可能です(A)。また、Spring ’23の更新以降、委任管理者は特定の権限セットや権限セットグループを割り当て/削除することも許可できるようになりました(D)。一方、委任管理者がプロフィールを新規作成・編集することはできません(Cは不可)。プロフィールや権限セットそのものの作成/変更はシステム管理者のみが行えます。また、委任管理者は特定のカスタムオブジェクトの一部設定変更(項目やピックリスト値の編集など)を許可できますが、レコード共有設定の変更など組織全体に影響する権限は与えられません(Bの後半は不可)。従って正しいのはAとDです。
7.
主従関係と参照関係の使い分け: Salesforceにおいてカスタムオブジェクト間のリレーションを作成する際、**主従関係(マスター・詳細)**を選択すべきケースはどれでしょうか?(2つ選択)
A. 子オブジェクトのレコードが親レコードに強く依存しており、親が削除された場合に子も自動的に削除されるべき場合。
B. 子オブジェクトから親オブジェクトへの参照が必須ではなく、子レコードだけ独立して存在できる場合。
C. 親オブジェクトで、関連する子レコードの合計値や件数をロールアップ集計したい場合。
D. 1つの子オブジェクトレコードを複数の親オブジェクトレコードに関連付けたい場合。
正解: A、C
解説: 主従関係は親子関係が強固に結びついた場合に使用します。具体的には、親が削除されれば子も削除されるカスケード削除が自動で行われるため、子が親に厳密に従属するケースで適しています(A)。また、主従関係では親オブジェクト上で子の数値を集計するロールアップ集計項目が利用可能です。関連レコードの合計や最大日付等を親に保持したい場合は主従関係が有効です(C)。一方、参照関係では親が必須でなく子のみ単独保存も可能(B)、子が複数の親を持つような多対多(中間オブジェクト利用)も実現できます(D)。しかし設問は「主従を選ぶべき場合」なので、BやDのような要件は主従ではなく参照関係で対処します。従ってAとCが該当します。
8.
データ品質管理: Salesforce標準機能でデータ品質を向上させるための手段として適切なものは次のうちどれですか?(2つ選択)
A. 検証規則を用いて、レコード保存時にデータのフォーマットや範囲をチェックし、無効なデータ入力を防ぐ。
B. 重複管理(照合ルール+重複ルール)を設定して、取引先やリードなどの重複レコード発生を防止する。
C. ワークフローを使って定期的にレコードを更新し、古いデータを自動で削除する。
D. ロール階層を設定し、上位ロールのユーザが下位ユーザのデータを常に監視・修正できるようにする。
正解: A、B
解説: Salesforceにはデータ入力の質を担保する様々な仕組みがあります。【検証規則(バリデーションルール)】は、レコード保存時に条件を満たさない場合にエラーメッセージを表示して保存を拒否できるため、フォーマット不備や抜け漏れといった無効データの流入を防ぐことができます(A)。また、【重複管理】を有効化すれば、例えば取引先やリードの新規作成時に既存レコードと重複していないかを自動チェックし、重複の警告やブロックを行えます(B)。これらは公式にもデータ品質向上策として挙げられています。ワークフロー(C)は主にレコード更新等の自動化に使うもので、不要データの削除には直接寄与しません(むしろアーカイブや手動削除の検討が必要)。ロール階層(D)はデータアクセス権限に関する機能であり、データ品質の維持とは目的が異なります。したがって正解はAとBです。
9.
監査・モニタリングツール: システム管理者は最近、ある自動化処理(ワークフローまたはフロー)が正しく動作しない問題のトラブルシューティングを行っています。また同時に、他の管理者が行った設定変更の履歴も確認したいと考えています。これらの目的に適したSalesforceの監査/モニタリング機能の組み合わせは次のうちどれでしょうか?
A. 「デバッグログ」と「セットアップ監査証跡(セットアップ監査ログ)」。
B. 「データローダ」と「変更セットログ」。
C. 「レポート履歴ダッシュボード」と「チャター監査ログ」。
D. 「ログイン履歴」と「イベントモニタリング分析アプリ」。
正解: A
解説: 自動化処理の挙動を詳細に追跡するには【デバッグログ】を有効にするのが適切です。デバッグログを取得すれば、ワークフローのルール評価結果やフロー実行の各ステップ、エラー内容などを確認できます。一方、他の管理者による設定変更履歴を見るには、【セットアップ監査証跡(Setup Audit Trail)】を参照します。監査証跡には直近180日分の設定変更(例: プロファイル変更やワークフロー作成等)が記録されており、誰がいつ何を変更したか確認可能です。選択肢Bの「データローダ」はデータインポート/エクスポートツール、変更セットログは存在しない名称です。不適切。Cのレポート履歴やChatter監査ログも今回の目的には無関係です。Dのログイン履歴やイベントモニタリングは主にセキュリティインシデントやユーザ利用状況の分析向けです。従ってAが正解です。
10.
変更セットの特性: Salesforceの変更セットに関する次の記述のうち、正しいものはどれでしょうか?(2つ選択)
A. 変更セットは互いに関連付けられていない組織間(別組織)でも送信・受信が可能である。
B. 変更セットにはカスタムオブジェクトや項目、Apexコードなどのメタデータを含めて移送できるが、実際のデータレコードは含められない。
C. 変更セットを作成するとき、関連するプロファイルや権限セットを追加しておくことで項目レベルセキュリティ情報も一緒に移行できる。
D. Sandboxから本番組織へ変更セットをデプロイする際、あらかじめ本番組織側で受信変更セットを作成しておく必要がある。
正解: B、C
解説: 変更セットは主に関連組織(本番とSandboxなど)間でメタデータを移行するための機能です。データレコードは含められず、移行できるのは設定やコードなどのメタデータのみです(B)。また、変更セットにはオプションでプロファイルを追加でき、その際プロフィールに含まれる項目権限やオブジェクト権限も移行されます(C)。したがって権限設定の移行も可能です。一方、変更セットは関連付けられた組織間でしか送受信できません。Developer Editionなど無関係な組織同士では直接やり取りできないため、選択肢Aは誤り。選択肢Dについて、変更セットは送信側組織で作成・送信し、受信側組織では[受信変更セット]画面で受領後に展開する流れです。受信側であらかじめ何か作成する必要はありません。以上より正解はBとCです。