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日本人に役立つ資格のまとめ
日本でキャリアアップや独立に役立つ主要な資格を、ビジネス・経営系とIT・プログラミング系に分けて整理しました。各資格について難易度(偏差値)、必要な勉強時間、役立つ度、受験資格、受験料・試験日程をまとめています。
🔷 ビジネス・経営系の資格
中小企業診断士(経営コンサルタント国家資格)
難易度(偏差値):難関(偏差値67)
勉強時間目安:合格まで約1,000時間の学習が必要とよく言われます
役に立つ度:非常に高いです。企業の経営課題に対して専門的助言ができる国家資格で、就職・転職ではコンサルティング会社や金融機関で評価され、収入アップや昇進に繋がるケースがあります。また資格取得後は独立開業して中小企業向けコンサルタントとして活躍する道も開けます。公的支援機関からの仕事や案件獲得もしやすく、独立志向の強い人にもメリットが大きいです
受験資格:年齢・学歴・職歴など一切問われず誰でも受験可能です
受験料・試験日程:受験料は第1次試験14,500円、第2次試験17,800円
MBA(経営学修士)
難易度(偏差値):一般的な学位とは異なり偏差値による難易度指標はありません。入学競争率は学校によって大きく異なりますが、海外トップ校のMBAは入学要件が厳しく(GMATスコアや高度な英語力等)競争率も高いです
勉強時間目安:プログラム在学期間は全日制で1~2年程度が一般的です。働きながら通う場合は夜間・オンラインで2年前後かかります。入学前の準備としてGMAT対策に数か月~1年程度、TOEFL等の英語試験対策に数か月要する場合もあります。
役に立つ度:非常に高いです。MBAで培うマネジメント知識や人的ネットワークは管理職への昇進や外資系企業への転職に有利に働きます。実際、日本におけるMBA取得者の平均年収は約1,043万円と高水準で、MBA取得後に年収が500万円以上増加した人の割合も37.9%にのぼります
受験資格:基本的に大学卒(学士)以上の学歴が必要です。また多くのビジネススクールで数年以上の実務経験が求められます
受験料・試験日程:ビジネススクールごとに**入学試験(筆記試験や面接等)**が行われます(国内では年1~2回の募集が一般的)。受験料(出願料)は学校によりますが数万円程度です。学費は高額で、国内MBAは総額300万~500万円ほどが目安
公認会計士(日本のCPA)
難易度(偏差値):超難関(偏差値77)
勉強時間目安:合格までに平均3,000~4,000時間もの勉強が必要とされています
役に立つ度:極めて高いです。公認会計士は日本における三大国家資格の1つで、社会的信頼やステータスが非常に高い資格です
受験資格:受験資格は一切不問で、年齢・学歴・国籍に関係なく誰でもチャレンジできます
受験料・試験日程:受験手数料は19,500円
税理士
難易度(偏差値):超難関(偏差値75)
勉強時間目安:科目数が多いためトータルでは3,000~4,000時間程度の学習が必要と言われます
役に立つ度:非常に高いです。税理士は税務のスペシャリストとして企業経理・税務部門で重宝され、転職・昇進に直結する資格です。特に税理士資格があれば独立開業して税務顧問や確定申告代理業務で収入を得ることができ、顧客の税務代理・相談が独占業務となります。また近年は事業承継や国際税務のニーズも高まっており、幅広い分野で活躍できます。公認会計士と比較すると税務に特化している分、中小企業の経営者からの信頼も厚い傾向があります。
受験資格:受験資格あり。誰でも受験できるわけではなく、「大学で法律学または経済学の1科目以上履修」などの学歴要件、日商簿記1級合格などの資格要件、税務業務に3年以上従事などの職歴要件のいずれかを満たす必要があります
受験料・試験日程:受験手数料は科目数に応じた定額制で、1科目4,000円、2科目以上は追加1科目ごとに1,500円加算されます
社会保険労務士(社労士)
難易度(偏差値):難関(偏差値65)
勉強時間目安:800~1,000時間程度の学習が必要とされます
役に立つ度:高いです。社労士は労働法規や社会保険の専門コンサルタントとして企業内の人事・総務部門で重宝されます。就職・転職では人事労務職や社労士事務所への道が開け、給与計算や就業規則作成等の実務に直結します。独占業務として社会保険・労働保険手続の代理権があるため、独立開業して社労士事務所を構え企業の顧問として安定収入を得ることも可能です。中小企業向けの助成金申請支援などニーズも多く、独立・副業にも適した資格と言えます。
受験資格:受験資格あり。大学・短大・高専いずれかの卒業者、3年以上の実務経験者、あるいは厚労大臣認定の国家資格合格者などの条件のいずれか一つを満たす必要があります
受験料・試験日程:受験手数料は15,000円です
行政書士
難易度(偏差値):難関(偏差値62)
勉強時間目安:600~1,000時間の学習が目安とされます
役に立つ度:中程度。行政書士は官公署に提出する書類作成や許認可申請の代理を行える法律国家資格で、独立開業しやすい資格の代表格です。不動産業や建設業、飲食業など多くの業界で許認可業務のニーズがあり、独立後に顧客を掴めば安定収入が期待できます。ただし企業内での評価は社労士ほど高くなく、就職・転職面では法務職採用で多少有利になる程度です。弁護士や司法書士へのステップとして挑戦する人もいます。副業で行政書士登録し、土日に業務を行う会社員も見られます。
受験資格:受験資格は不問で誰でも受験可能です
受験料・試験日程:受験手数料は10,400円です
日商簿記検定2級
難易度(偏差値):中程度(偏差値55前後と推定)。合格率は年度や回によりますがおおむね20%前後で推移しています
勉強時間目安:初学者の場合150~300時間程度の学習が目安です
役に立つ度:非常に高いです。簿記2級は経理・財務職の登竜門とされ、多くの企業で評価されます。就職・転職では経理や会計事務所への応募において実質必須資格になっていることもあります。また営業や企画職でも簿記知識があるとビジネス全般の理解が深まり、社内での信頼や業務効率アップに役立ちます。企業によっては簿記2級合格者に資格手当を支給するところもあります。将来的に公認会計士や税理士を目指す場合の基礎固めとしても有用です。
受験資格:**制限なし(誰でも受験可能)**です。年齢や学歴に関係なく受験できます(簿記3級から順に受ける必要もありません)。
受験料・試験日程:試験は全国の商工会議所による**統一筆記試験が年2回(6月・11月)行われるほか、指定の試験会場でコンピュータ受験できるネット試験(随時開催)**も選択できます。受験料は筆記・ネット試験ともに税込4,720円(2024年4月以降)に改定されています
🔷 IT・プログラミング系の資格
基本情報技術者試験 (FE)
難易度(偏差値):普通(偏差値49程度)
勉強時間目安:70~200時間が一つの目安です
役に立つ度:高いです。基本情報技術者は新卒ITエンジニアの登竜門資格で、多くの企業で評価対象になります。就職・転職では「基本情報合格」が応募条件や加点となる求人もあり、取得しておくと未経験からIT業界への足掛かりになります。また社内昇進要件に基本情報の合格を定める企業もあるほどで、収入アップにつながるケースもあります。ITの広範な知識が身につくため、取得勉強自体が実務に役立つメリットも大きいです。
受験資格:制限なしで誰でも受験できます。年齢・学歴不問で、高校生の合格者も多数います。
受験料・試験日程:受験料は7,500円(税込)です
応用情報技術者試験 (AP)
難易度(偏差値):やや難しい(偏差値65)
勉強時間目安:100~300時間程度が目安です
役に立つ度:高いです。応用情報はワンランク上のIT知識を証明する国家資格で、転職・昇進時に基本情報以上に評価されます。また情報処理試験区分の高度区分(ネットワーク、データベースなど)の受験資格としても位置づけられており、将来的に高度IT資格(ネットワークスペシャリストやITストラテジストなど)を目指す人の登竜門です。取得者はプロジェクトリーダー候補として期待されることも多く、収入アップや主任クラスへの昇格につながることもあります。
受験資格:制限なしで誰でも受験可能です(基本情報未取得でも直接受験できます)。とはいえ基本情報レベルの知識を前提として出題されるため、実務経験か基本情報合格などの下地がない場合は十分な準備が必要です。
受験料・試験日程:受験手数料は7,500円(税込)
AWS認定資格(AWS Certified)
難易度(偏差値):資格の種類(レベル)によって異なります。AWS認定資格は初級(クラウドプラクティショナー)、中級(アソシエイト:ソリューションアーキテクトなど)、上級(プロフェッショナル)、専門(スペシャリティ)に分かれます。アソシエイトレベルの難易度は中程度で、試験の合格率は推定50%前後とも言われます
勉強時間目安:(代表的なAWS資格であるソリューションアーキテクト アソシエイトの場合) 50~150時間程度が目安です
役に立つ度:非常に高いです。クラウド領域でトップシェアを誇るAWSの公式認定資格は、エンジニアの市場価値を大きく高めます。就職・転職ではクラウド人材の需要が高まっており、AWS認定保持者は高待遇で迎えられる傾向があります。実際、AWSエンジニアの平均年収は一般的なITエンジニアより高く、例えばAWSソリューションアーキテクト認定者の平均年収は約570万円、プロフェッショナル取得者では740万円に達するとのデータもあります
受験資格:誰でも受験可能です(年齢・学歴などの制限なし)。AWSアカウントを作成すれば、クラウドプラクティショナーからプロフェッショナルまで任意のレベルに直接挑戦できます。※ただし上位資格は実務経験がないと非常に難しいため、アソシエイト取得後にステップアップする人が多いです。
受験料・試験日程:資格のレベルごとに受験料が異なり、アソシエイト試験は150 USD程度(約20,000円)、プロフェッショナルおよび専門知識試験は300 USD程度(約40,000円)です
情報処理安全確保支援士 (登録セキスペ)
難易度(偏差値):難関(偏差値67)
勉強時間目安:150~400時間程度が目安です
役に立つ度:非常に高いです。情報処理安全確保支援士(いわゆる「登録セキスペ」)は国家資格として登録制度があり、名刺に「○○(登録番号)号 情報処理安全確保支援士」と記載できる唯一のIT資格です。サイバーセキュリティ人材の指標として企業や官公庁で重視されており、転職市場での価値が高い資格です。支援士に登録すると継続研修が義務付けられるため最新知識を保てる点も評価されます。社内SEやコンサルとしてセキュリティ対策の責任者に抜擢されたり、コンサル会社で収入アップにつながるケースも多いです。
受験資格:どなたでも受験可能です(他の高度区分と異なり応用情報の有無も不問)。合格後、登録を希望する場合は所定の講習受講・登録料納付が必要です。登録しなくとも資格自体は有効で履歴書に記載できます。
受験料・試験日程:受験手数料は7,500円(非課税)です。試験は情報処理技術者試験の一区分として**年2回(4月と10月)**行われます。応用情報など他の高度区分試験と同日実施で、午前Ⅰ(他の高度と共通)、午前Ⅱ(セキュリティ専門)、午後Ⅰ(記述式)、午後Ⅱ(論述試験)の構成です。合格発表は試験実施から約2ヶ月後です。合格後は情報処理安全確保支援士として登録可能(任意)で、登録後は3年ごとの更新制となります。
各資格の難易度やメリットはそれぞれですが、自身のキャリア目標に合わせて取得すれば就職・転職や年収アップ、さらには独立開業まで視野に入れることができます。ぜひ参考に、自分に合った資格取得に挑戦してみてください。