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彩さんは風、幸さんは猫
ハインリッヒさんの単独に行くのはこれで3回目で、前回が大阪単独の道を歩いてたんですよ、その前が浅草公会堂の原液、形而上学でした。というかこの浅草単独が私が初めて生でお笑いを見たライブです。YouTubeでネタを見てから居ても立っても居られず勢いで取った3階席のチケット、ただでさえ小柄なハインリッヒさんの姿が豆粒くらいしか見えないのにそんなこと全く関係のないネタのパワーと面白さに圧倒されたのが昨日のことのようで、もう2年前なのが信じられない。あれから沢山のお笑いを見に行くようになり、私の人生に新たな彩りと楽しみが生まれました。
一切の装飾を省いたという今回の単独、前から2列目のセンターと身に余るような特等席でお二人のネタを間近で浴びた1時間は幻のようでした。でも実際は幻でないし、全てを忘れて鮮やかな世界に沢山笑った最高の1時間だったので自分のためにせめてもの備忘録を残そうと思います。このネタのここが好き、とか気を付けてはいてもネタバレになる部分もあるはずなので興味のある方だけこっそり読んでくれたら嬉しい限りです。
1本目
これと最後のネタが1番好きかも!というくらいお気に入りです。縁側から話が始まるのも、素晴らしい猫が登場するのも、なんて美しく愉快で楽しい世界なんだ。なにより猫を再現する幸さんのお顔、ぱちっと開かれた眼があまりにも猫!猫がいる!と思いました。
この世の美しいものを目に映す猫、幸さんの眼にも躍動感と生命力溢れる美しく面白い世界を映していて、私たちにそれを見せてくれている。目の前で繰り広げられる確かな世界を通して見る者に笑いとエネルギーをくれるハインリッヒさんの漫才が私は大好きなんだよなぁと再認識しました。
2本目
みんな大好き心理テスト。みんなでわくわくしましょう。幸さんに物申す彩さん、それをスルーする幸さん、やりとりが好きなネタです。
私は1回目に見た時はたけのこ、2回目はひまわりでした。最後のほう絶対常人にはでてこない選択肢が出てくるゾーンが好き。体感、コンビニが2回滅びたらその土地はもう駐車場行きな気がする。
3本目
チャーハンと小砂漠。お皿に広がる小宇宙。めちゃくちゃ面白かった記憶だけが残っていて内容が全然思い出せない。チャーハンと小砂漠が強烈すぎて。でもこういう記憶に沈んだネタほど日々の生活でふと浮かび上がってくるなと思います。急にどうしたんですか!って聞こえてきたらどうしよう。
4本目
彩さんの目撃談から始まるネタ。これも大好き!ハインリッヒさんのなかでタトゥーは絵ではなく文字なのだなと知りました。(膝だけ例外ですね)身体から訴えかけるポエジャン。
肘のピューレで信じられないくらい笑ってしまいました。何故だかはわからないけどすごいツボだった。欲しいですタトゥーシール、いつかグッズ化してほしい。肘と膝に貼ります。
5本目
彩さんと幸さんの正体が明らかに!?内容に言及するのは野暮すぎるので触れないけど、ネタ中のポーズがめちゃくちゃ格好いいのにめちゃくちゃ面白くて凄かった。あんなに格好良さと面白さが両立して決まるのハインリッヒさんだけだわ!と思いました。捌け際の彩さんも最高でした。このネタに限らずキメたポーズ、動きだけで唯一無二の面白さがあるところも私的好きポイントのひとつです。めちゃくちゃ笑ってしまう。
このネタのグッズも欲しいねーと終わった後フォロワーさんと盛り上がりました。我々ファンはヘンミモリさんのセンスに絶大な信頼をおいています。
6本目
これも大好きなネタ!自らの挨拶で次々完成していくなんて街を歩くのが楽しすぎる!とっても登場人物がおおくて色んなやりとりが楽しくて絵本をめくっているような気持ちになります。童心に帰る。季節を告げる終わり方も粋ですよね。隅々までわくわくして何度見ても好きなネタ。絶対また生で見たい!
7本目
名作・帝王学。今回章が増えていてうわぁ〜〜〜とわくわくしました。「帝王たるもの暗黒の入ってる袋をほかしにいくのも嫌がらない心」口に出して元読みたい文章、人生でトップ5に入る。死神との攻防、テンポ感も好きです。第六六六章まで増える予定らしいです。楽しみすぎ。
8本目
これもとってもわくわくしました〜〜!びっくり箱みたいな、次は何が出てくる??なドキドキ感。こんなホテルあったら楽しすぎる。予想外なウェルカム。お茶目な支配人。幸さんのようこそ。のフレーズの言い方が好きです。終わり方もそうなるんだ!と思って楽しかったです。赤い家電って鍋以外だとちょっと怖いかも。笑
もう終わっちゃうの?もう?と思いつつ、このネタが最後で嬉しかったです。楽しい夢は醒めない。
作品集vol1
配信なし、装飾なしでシンプルな舞台に静かにそびえ立つ照明、鳴り響く最高の楽曲たちのなかで繰り広げられる漫才は2人の世界がどこまでも広がっていくような、それでいて世界に深く潜っていくような心地がしました。今までと比べてもより没入感の強い単独だったような気がします。すごくいい空間と時間の流れ方でした。
初めて猫カフェで猫を撫でたとき、癒されるというより、撫でさせてもらっているという緊張感のほうが強かった。ここではない別の世界を見つめている子たちが確実に何匹かいた。よく街裏ぴんくさんのネタが嘘漫談と言われたりしますが、嘘か誠かは全くどうでもいいことだなと思います。この世には見えている世界だけが全てでは無い、現実の裂け目から異なる世界を見ている人たちがいて、それを私たちに見せてくれているのだと思うから。今いる現実だけが本物では無い、その方が救いがあるし。私は世界を見る目はないけれど楽しむ心は失っていないと思う。きっと幸さんは猫の眼を持っていてじっとこの世の真実を見つめている。見つめられたらきっと自分の本質を見抜かれてしまう気がしてどきっとしてしまう気がします。
たまにラジオやライブなんかで彩さんが突風のように空間を切り裂いていくときがあって、そこまで言うんだ!?とめちゃくちゃ笑ってしまいます。タイミングがあまりにばっちりで爽快さがある。彩さんが風を起こすときも彩さん自身が風だと思う時もある。(実際の正体の話は単独中にしてたけども!)その場に風を起こせる人、空気を変えられる人、私はああはなれないと思うからとても格好良くて憧れます。
少し前のあーすぽで、現状が変わりそうで変わらないばかりでしんどいけれど、でも確かに少しずつ世界は変わりつつあるのだという旨の話をしていて(だいぶぼやかしたつもりですが怒られたら消します!)とても救われた気持ちになりました。確実に周りの世界を変えてきた人たちの言葉だから。世界の本質を見える幸さんと風を起こす彩さん。お二人の紡ぐ漫才が好きです。とても。
ハインリッヒさんの漫才を見ると日常が少し楽しくなります。前回の単独のあと、少しわくわくしながら自転車のカゴを覗いたし、きっとこれからは少しわくわくしながら猫の目を覗く。日常に光が差す。これは私だけかもしれないです。
とっても楽しかったです単独!まだまだ沢山ネタを見に、ライブに通うためにも日々を楽しく生き抜こう、と決心しました。vol.2もとっても楽しみです。