割とある、もらい忘れている年金
社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナーの拝野 洋子（はいの ようこ）です。年金相談・家計相談を中心にライフプラン作成、年金請求手続などを行っています。
早くから障害年金、遺族年金をもらっている人、要注意！
生まれつき2級以上の障害がある、会社員の時、うつ病を発症した、
若いときに夫に先立たれた、など、65歳より前に障害年金や遺族年金をもらっている人はもらい忘れに要注意です。
例えば、50歳で会社員の夫を亡くし、現在は70歳目前、約100万円/年の遺族厚生年金をもらっているB子さんがいるとします。
その人は遺族厚生年金をずっともらっているため、自分の老齢年金を請求し忘れていたのです。昭和30年生まれ女性、5年くらい厚生年金期間があるので60歳から65歳まで特別支給の老齢厚生年金がでるのです。下図参照
老齢年金がもらえる年から10年経ってしまった・・・。
Ｂ子さんは、特別支給の老齢厚生年金をもらう権利が60歳からあったのですが、手続きはしていませんでした。
70歳目前で老齢基礎・老齢厚生年金を請求したのですが、年金は手続きしてから5年間はさかのぼってもらうことができます。B子さんは65歳目前までさかのぼって老齢基礎・厚生年金をもらえます。
ただし、現在もらっている遺族厚生年金の金額は変わります。わかりやすく言えば、Ｂ子さん自身の老齢厚生年金を現在の遺族厚生年金から差し引いて差額がしきゅうされるため、現在より減ります。（下図参照）
ただし、老齢基礎年金・老齢厚生年金・差額の遺族厚生年金を受給するため、もらえる年金額自体は増えます。
5年間さかのぼってもらえる老齢基礎・厚生年金と調整される遺族厚生年金
B子さんは、老齢基礎年金70万円、老齢厚生年金5万円でしたので、遺族厚生年金は老齢厚生年金を差し引き、5年前に遡って95万円だった・・ということで調整されます。
老齢基礎・厚生年金、5年さかのぼり分が合計375万円、遺族厚生年金を多くもらい過ぎていた分は5年で25万円、差し引かれて350万円が支給されるでしょう。
60歳から65歳までは遺族厚生年金を選択
65歳までは1人1年金ですので、Ｂ子さんは、特別支給の老齢厚生年金5万円/年より、遺族厚生年金を選ぶこととなります。結局、特別支給の老齢厚生年金は受け取らないこととなります。
遡って年金を受け取ると？
過去にさかのぼって年金収入が増えるので、過去の税金や介護保険料などが代わってくることがあり、後で請求がくることがあります。
ただ、Ｂ子さんの場合、65歳以降の老齢基礎・厚生年金は約75万円なので、
税金がかかる金額ではありません。が、介護保険料は老齢年金に対してかかるので、こちらはさかのぼって保険料を取られるでしょう。
著書「年金格差はこうして起こる！女性のための老齢年金と遺族年金」
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