WMやノイズアプリについて思うこと
はじめに
明日、11月15日からXの規約が一部改正になりますね。
AI関係は荒れがちなのでなるべく遠巻きに見たいとは思ってるんですが、
TLの関係上どうしてもそういった話題が目につきます。
目につけば感情は揺さぶられます。
揺さぶられるので自分の心の平穏のためにここに私見をぶちまけておこうと思います。
前提:規約改正への対応
規約が改正された場合、一般的に取られる対応は以下の4つです。
①規約を同意したうえで、今まで通り活動する。
➁規約に同意するが学習はされたくないので、画像等はアップしない。
③規約に同意するが納得いかないので、運営に規約改正を訴える。
④規約に同意できないので、Xの使用を取りやめる。
これが規約に則った行動です。
少なくとも
「規約に同意したけど、従いたくないのでアップする画像に細工をする」
はありえません。
企業の方とお仕事をされたり、あるいは社会で契約行為をされた方ならばご理解いただけると思いますが、規約や契約に同意しておいて舌を出すような行為は信用を著しく失います。
あり得ない行為なんです。
それがあまりにもTLで当たり前のように行われようとしていて驚きました。
疑問1.なぜそこまでしてXにイラストをあげたがるのか?
現状の法律では学習は合法です。許可を取る必要もありません。
ただAIに忌避感のある方たちは法律ではなく感情の話をしてると思います。
法律が足りてないんだと憤る方もいるでしょう。
その感情を否定しようとは思いません。
しかしながら感情の話をするのであれば、自身の行動に一貫性がなければ他者からその矛盾を指摘されます。
法律は法に則って白黒つければいいですが、感情論で必要なのは他者に対する「説得力」になるので。
一貫性を持たせようとすると、Xにイラスト等をアップすることでAIに学習されたくないと言うのであれば、個人ブログやPixiv等、他のSNSに画像をアップしてそのURLを紹介すればそれで全部解決すると思うんですよね……。
勿論インターネットにアップした時点で学習のリスクは避けられませんが、少なくとも「Xに学習されたくない」という思いに対して一貫性のある行動となります。
「Xは利用したいけどXにアップしたらAIに学習される」
⇓
「なので別サイトにアップしてそれを紹介する」
なんの矛盾もありません。
ところが、
「AI学習に同意します」
と言っておきながら
「アップロードする画像に細工をしてAI学習への反対を示す」
ことを選ぶ人が一定数います。
驚きです。
そんな矛盾した行動を取れば当然批判されるでしょう。
例えばWM。
ご自身の名前や「無断転載禁止」等であれば何の問題も感じませんが、
わざわざ規約改正に合わせて「AI学習禁止」というWMを使う。
これはあまりにもあからさますぎます。
例えばノイズアプリ。
Xに学習されたくないのであれば他にいくらでも手段があります。
学習に同意しながらアップロードする画像に学習阻害を仕込むってどうやったらそういう発想が生まれるんでしょう?
あれらのアプリって学習に関する規約がないサイト(=ご自身のHP等)で使用するものですよね?
外部サイトにアップロードする画像にWMやノイズを用い、そのリンクをXで公開する。
これならばXの学習同意となんの矛盾もせず、Xからの学習も回避したうえで学習に対する拒否感を示せると思うんですが、なぜXに直接画像をアップして、その画像に細工をするという発想が生まれるのか。
これって要は別サイトリンクだといいねやRPが稼ぎにくい(=あまり見てもらえない)ってことなんだろうなと。
この思考はあまりにも自分勝手です。
Xの宣伝力・拡散力の恩恵にはあやかりたいけど、Xの規約には不満たらたらって言うのは筋が通らない。
そういう矛盾が「説得力」を欠くわけです。
疑問2.なぜ宣言する?
企業の公式アカウント含め、色々なアカウントが
「11月15日からはノイズをかけた画像をアップします」
や
「WMを使用します」
と言っているのを見かけます。
普通のリスクマネージメントができる人なら
①XにノイズやWMの使用が大丈夫か確認する
②そのうえで宣言はせずこっそりやる
って選択になると思うんですよね。
だって
「AI学習に同意します」
と言っておいて
「AI学習を阻害するアプリを使用します!」
とか
「AI学習禁止というマークを入れます!」
と宣言するのは誰がどう見てもおかしいでしょう。
しかもその宣言を自分のHPとかじゃなく、その規約の締結相手であるXでわざわざやります?
百歩譲ってWMやノイズアプリ使うんだとしても、Xにバレないようにこっそりやるものだと思うんですが……。
ピンと来ない人は立場を逆にして考えてみましょう。
(法的に学習は違法ではないとかそういう話は一旦なしです)
あなたはイラストを公開しています。
たくさんの人が見に来ます。
その見に来た人たちとあなたの間で「AI学習は禁止」と取り決めを交わしました。
学習阻害アプリも使用します。
みなさん同意してくれました。
ところが取り決めを交わした直後に一部の人があなたの目の前でこう宣言します。
「AI学習禁止と言われましたが、私は明日からアプリを使います!
このアプリを使うとなんと学習阻害アプリの効果を妨害することが期待で
きます!」
学習禁止に同意しておいて学習阻害アプリの邪魔をしようというわけです。
正気の沙汰とは思えません。
また、別の人は集まった人たちに対してこう問います。
「AI学習禁止と言われたので一旦学習はやめます。
やめますが、明日から僕たちはどうしたらいいだろう?
どうすればいいんだろう?
一緒に考えてくれませんか?」
どうすればいいもなにも、「学習禁止」に同意したら「学習しない」で
終わる話だと思いますが……。
はたまたこういう人もいます。
「これからは見に来るたびに
『AI学習したい』
とか
『AI学習します』
って宣言しますね!」
学習禁止に同意したうえでこんなことする人がいたら、私ならサイコ〇スを疑いますね。
あるいはこういう例も当てはまるでしょう。
あるソーシャルゲームで規約が改訂され、ビッグデータのためにユーザーの情報が収集されるようになりました。
情報収集の規約に同意したけど、どうしても情報は取られたくなかったあなたはよりにもよってそのソーシャルゲーム内のSNSでこう宣言します。
「これからはユーザー情報に虚偽情報を混ぜてビッグデータを妨害しま
す!」
運営が見たらどう思うでしょうね?
どうでしょう?
これらが正常な反応だと思いますか?
ノイズの使用宣言とかWMで「AI学習禁止!」はこれとやってること大差ないんですよ。
「ノイズアプリ使います!」
「明日からはWMで学習禁止って入れます!」
この宣言を、わざわざ学習同意した相手であるXで堂々とやるのはあまりにも挑発的です。
WMも「X関係以外のAI学習禁止」がギリギリのラインだと思います。
単なる「AI学習禁止」は規約と矛盾が生まれます。
規約に同意した時点で「Xに学習されたくない」はお気持ちです。
感情部分の話だからこそ、一度冷静に自分の行動を振り返ることをお勧めします。
余談ですが、ノイズアプリを使用したら訴訟リスクがあるという話も散見しますが、正直それはないと思います。
大企業であるXが段階も踏まず、ノイズ等を使用したからと言っていきなり訴訟になるとは思いません。
ただこういう行動がX運営の目に止まり、その数が無視できない存在となったら今後どういう行動に出るかは容易に想像ができます。
①はっきり言わないとわからないなら、規約で明確にノイズ等を禁止と記載
する
②使用者を運営を妨害する存在と見做して垢BANする
あるいはそういった内容を規約に盛り込む
これくらいはしてきてもおかしくないでしょう。
少なくとも「こんなにノイズやWMを使用している人がいるなら学習はやめるか」とはならないことは断言できます。
3.なぜGrokに忌避感を持つのか?
私の記憶だとAIに忌避感を持つ方たちは
「学習が無許可なのが許せない」
「クリーンなデータセットじゃないのがダメ」
「学習に対価が支払われてないのがよくない」
という意見も多かったと思うのですが、それならばなぜ今回のXに対して否定的なのかよくわかりません。
これらは学習が合法であるといった話ではなく、感情の部分の話です。
その感情の話を今回のXの改定はクリアしてくれています。
Xの規約とおりならGrokは利用者全員から許可を取ったクリーンな学習データを使用したAIとなります。
そして学習の対価として世界有数のユーザー数を誇るSNS「X」を無料で使用させてくれますし、そこでは広告・宣伝等を自由に行えます。
イラストレーターという界隈はXと特に相性がいいので、その広告・宣伝効果は他のSNSに比べて遥かに高いのは使ってる皆さんが実感していることでしょう。
まさにWin-Winの関係だと思うんですけどね。
ちゃんと許可を取って対価も用意したうえで学習しようとしているXが批判される理由、よくわからないです。
最後に
今回の規約改正に関わる部分で私が感じたのはこんなところです。
色んな意見はあるでしょうが、とりあえず、
「規約に同意したけどXに学習はされたくない」
⇓
「だからアップロードする画像に細工しよう」
これは道理が通らない、わがままで非常識な行動であることは認識された方がいいんじゃないかなと。
WMやノイズをやるならX以外の外部サイトで。
Xではその外部サイトへ誘導する。
規約に則ったうえでXの学習を避けるならこうなるんじゃないかなと思います。