『名探偵コナン』を推す理由
1996年1月。
小学校3年生のわたしは、人生を変える存在を目撃する。
その名は、工藤新一。
初回放送日とは知らず、たまたま付けたテレビから流れたのは、赤い蝶ネクタイを付けたイケメン。
「なんだなんだ」と見入っていると、ジェットコースターから首が飛び、「ええぇ」と思っていると、今度はそのイケメンが縮んでしまった。
当時、怯えながらもどハマりしていたドラマ『金田一少年の事件簿』。
クラスの半数以上が、堂本剛のもみあげに惚れ込んでいたのと、ときを同じくし、このミステリーアニメに瞬時に見惚れてしまったのである。
そう、これが、最初の出会い。
コミックスを親にねだり、当時の最新刊・8巻から買いはじめた。
1997年に映画化が決まると、親に連れられ弟と観に行った。
当時、静岡東宝の地下にあった、小さなシアター室は満席で立ち見した記憶がある。
そこから四半世紀。
2024年には、毛利小五郎と同じ38歳になってしまう。
「アニメ好きの大人なんて」と鼻で笑っていた、まさにその姿になっているわたしだが、それでもファンをやめられないのは、名探偵コナンから学ぶことが多いから。
腕時計ひとつで方角が分かること、ウミヘビに噛まれたらタンニンたっぷりのお茶で洗い流すこと、青酸カリはアーモンド臭がするってこと etc.
レアケースであるが、緊急時に役立つ知識が豊富。
そしてなんといっても、工藤新一こと江戸川コナンのマインド。
推理で犯人を追いつめて、みすみす自殺させちまうような探偵は、殺人者と変わらねぇ
人が人を助けるのに論理的な思考は存在しねぇ
言葉は刃物なんだ、使い方を間違えると厄介な凶器になる
などなど、キャラクターの魅力以上に、作者・青山剛昌先生の信念がセリフとして表されていると感じる。
「言葉選び、大切だから。うん。めちゃめちゃ大切ですから。」
というコメントが、『青山剛昌30周年本』にある。
これを読んだとき、共感しすぎて首がもげかけた。
誰かを勇気づけることも、傷つけることもできる言葉。
自分自身も多くの言葉に元気をもらい、その逆だってある。
誰もが経験のあることだからこそ、ライターの端くれとして、ここは絶対に譲らずにやっていこうと思う。
そして、プロとして言葉の世界で仕事をさせてもらっているからこそ、もっともっといろいろなことを、自分の言葉で伝えていこうと決意した。
これを綴ったのは、2023年6月24日・37歳のマイバースデー。
鳥取砂丘コナン空港で仕上げた。
数日前は、6月21日は青山剛昌先生の還暦のお誕生日。
誕生日が近いだけで勝手に運命を感じている重めオタクではあるが、いつか仕事の現場で、先生とご一緒するのを夢見て。
今日もたくさん愛をぶちまけていこうと思う。