陣内智則のゲーム紹介動画を考える
エンタの神様時代、モニタにて展開されるボケに対してツッコむ様式を開発したお笑い芸人・陣内智則。彼は今、YouTubeで活躍している。以前も言及したことだが、テレビよりも機動力があるYouTubeを活かして、ファンと一緒にコントを作ったり、映像制作のスタッフを全面に紹介したりしてアットホームなチャンネルを運営している。これは、YouTuberにとって重要な要素であるコミュニティづくりを意識した運用といえるので注目している。
さて、そんな彼が最近、いわゆる「クソゲー」と呼ばれるものに挑戦する動画を出すようになった。難しすぎたり、つまらなかったりするゲームを一般的に「クソゲー」と呼ぶ。バグを含めて独特な世界観やデスマーチの末、生み出されたと思われる苦肉の仕様は、時におもちゃとして、時に愛らしいものとしてゲームファンの間で愛されている。
クソゲーの親分・からすま氏
特にここ数年は、からすまAチャンネルのおかげで今まで陽の目を浴びなかったゲームに注目が集まりつつある。彼の場合、片っ端から「クソゲー」に挑戦し、その長時間にわたる戦いをネットミームに満ち溢れたエフェクトで紹介するスタイルを取っている。自らのゲームプレイで生み出されたものもネットミームにしていくので、視聴者はまるで漫画の伏線が回収されたかのように、例えば敵だった存在が突然、味方として舞い戻って来るような高揚感を味わうことができる。「クソゲー」とは名前からわかるように、どこかゲーム作品を見下したような眼差しがある。しかし、彼の不屈の精神を見ると「ゲームセンターCX」有野課長さながらの情熱を感じるのだ。
「クソゲー」紹介を始める陣内智則
さて、話はそれたが、陣内智則が最近「クソゲー」紹介動画に手を出し始めた。からすまAチャンネルの代表作にして、未だにネタにされるぐらいのトラウマを与えたゲーム「ちびまる子ちゃんのおこづかい大作戦」に挑戦していたのだ。これは、ゲームボーイから国民的アニメ「ちびまる子ちゃん」最初のゲームなのだが、ひたすら賭博に打ち込んでお小遣いを獲得していくという今だと倫理的に作れないタイプの作品だ。カイジとは違ってギャンブルに戦略性がほとんどなく、ひたすらランダムに勝ったり負けたりしながらまる子が欲しいものをゲットしていくというもの。
陣内智則のプレイを実際に見てみると、冷静沈着にツッコミを入れていく。完全にオフのスタイルながらも芸人としてのツッコミを入れていく。職人のようなプレイが見られる。そして、たまちゃんとの10回にも及ぶ「あいこ」に対する焦燥感を見るにいかにこのゲームが過酷かが分かる。
彼がゲーム紹介動画に流れたのは面白い戦略だと言える。なぜならば、もともとディスプレイに表示されたものに対してツッコミを入れていくコントスタイルをやっていた彼に取って、ゲームの内容にツッコミを入れていくことは難しいことではない。むしろ得意ジャンルと言えるからだ。まだ注目したばかりなので、さほど動画を観れてないが追っていきたいものがある。