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VTuberと対談してみた話

1.VTuberにおける振る舞いの変化について

VTuberの動画を観ると、映画や演劇、テレビやYouTuberの配信では中々味わえない感覚が刺激される。それは対談系の配信に起きる。

例えば、物述有栖さんが宇志海いちごさんと共に、にじさんじ2期生のメンバーにインタビューしていく(逆凸)配信がある。通常の動画では、可愛らしい妹キャラっぽさを出して来る物述有栖さんが、宇志海いちごさんを前にすると姉のような振る舞いを魅せる。また、通常は過激な配信をしている文野環が二人を前にすると借りてきた猫のように大人しくなる。

我々も現実社会を送る中で、対話する相手に応じて態度を意識的/無意識的に変えることがあるが、それをシームレスに目撃できるのがVTuberの特徴と言える。VTuber界隈では、テレビやYouTuber以上に事務所関係なく積極的にコラボする。その時に、生まれるVTuberたちの振る舞いの変化はファンの間でカップリングとして受容されていくのだ。

私の場合、ぽこピーとおめがシスターズのカップリングが好きで、実家のような心地よさを感じている。

さてVTuberを研究し始めてから4ヶ月が経ち、話してみたいなと思うようになった。実際に、クイズ王の古川洋平さんはでびでび・でびるさんの配信に出演したことがある。三次元の人物であっても対談することは可能らしい。

そうこうしている中で、映画系VTuberの萩野ナイトさん(@KnightHagino)が凸者を募集していた。映画の話ならできるかもしれないと思い、DMをしたらあっさりOKをもらった。ということで、今回はVTuberと対談してみた感想を書いていく。

2.VTuberはどのようにして配信をしているのか?

ところで、YouTubeに上がっている対談系の動画を観ると、どのようにして配信しているんだろうと思う。リアルタイムで遠隔で対話しながら、画面は目まぐるしく変わっていく。このメカニズムに興味があった。

実際に参加してみると大分仕組みが分かってきた。

まず、対話はDiscordを使って行われる。Discordとはざっくり言えば、ゲーマーがよく使うことで知られるSNSであり、イメージとしてはTwitterのスペース機能とSlackを足したようなものだ。サーバーという大きな部屋の中に、小さな部屋を用意していく。連絡用の部屋。配信で使う画像を置いておく部屋。配信用の部屋といったように分かれており、ユーザーは用途に応じて使い分けていくのだ。

実際に配信するときは、Discordサーバーにアップされた立ち絵を貼り付けて対談しているような空間を生み出していく。画面で表示されるコメントは、YouTubeのコメント欄と連動しており、配信者はそれを観ながら対話を実現させていくのだ。

やはり実際に参加して分かることが大きい。

3.トークについて

今回は「凸待ちあり!海外CGアニメーションについて語る会」ということで、準備しました。対談時間は10分なので、準備が必要である。最初は『劇場版ミッフィー どうぶつえんで宝さがし』で行こうと考えていたのだが、ストップモーションアニメだと知り別案を考える必要があった。

萩野さんが配信数日前にイルミネーション映画について考えているツイートをされていたので、『ミニオンズ フィーバー』からイルミネーション映画論を語るプランを立てました。ただ、イルミネーション映画における共感とは遠いキャラクターやシナリオを語る上で、極端な例として『劇場版ミッフィー どうぶつえんで宝さがし』は有効だと思い、繋げて語ることにした。

実際に配信をやってみると、大きな遅延もなく、Twitterのスペース以上の快適さで対話することができた。

また、別の凸者の配信中にはYouTubeのチャット欄でコメントを残して、外野からの対話も体験した。まるで、友達の家で会話しているかのような距離の近さがそこにあった。

4.「立ち絵」の捉え方の実践

配信の前日に開催された哲学若手研究者フォーラムでの発表「VTuberがVTuberとして現出するということ」にて、山野弘樹さんが語っていた「配信者とアバターとの間に身体的な連動が硬直化している事態」も当事者として目の当たりにすることができました。

萩野ナイトさんは、配信者とアバターが連動して「萩野ナイト」というVTuberが現出している。それに対して私は立ち絵のみである。しかし、私はche bunbunとして語っている。リスナーは、立ち絵であるアバターをche bunbunと認識し、配信者である私と連動させてある種VTuberとして捉えることができているといえる。可能態である立ち絵が現実態としてのVTuberであるかのように鑑賞しているとはまさにこのことをいうのだろう。 

5.最後に…

今回、実際にVTuberの方と対談してみて、より好奇心が刺激された。私はテレビに配信画面、PCにDiscord画面を映しながら参加した。目の前で配信者とアバターが連動し現れるVTuber。彼女に向かって、語りかける感覚はスペース配信とは違った新鮮さがありました。

萩野ナイトさんはサメ映画やアニメ映画、MCU映画の同時再生配信をよくやられている。来月に観逃していた『メガマインド』の配信をするそうなので時間が合えば遊びに行こうと思う。

6.「【凸待ち】PIXAR,ドリームワークス、ライカなど海外CGアニメーションについて語る会」配信動画

実際に配信されたものを貼っておきます。

私はトップバッターとなっております。

↑萩野ナイトさんのYouTubeチャンネル「萩野ナイトの映画館」です。面白かったらチャンネル登録よろしくお願いします。

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CHE BUNBUN
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