記憶にない じぃちゃんの記録
私の”じぃちゃん”達の記録。
私がこの世に現れたときには、祖父は二人ともこの世におらず、行き違いになってしまいました。
見たことも会ったこともありませんが、様々な逸話を子供の頃から聞かされていました。
人伝いのお話なので、真実かはどうかは不明です。
しかし、両親も、いつお迎えが来てもおかしくない年齢となり、記憶が定かではない状況なので、どこかに記録としておかないと、”じぃちゃん”の記録が消えてしまう。
ちょっと、それは寂しい。
さて、どう記録しようか・・・
そうだ!京都に行こう!
ちゃうちゃう
そうだ!ここに残しておこう!と思った次第です。
父親方のじぃちゃん
大阪南部で、材木商を営んでいたらしい。
そこそこの規模で商売をしていたらしく、母屋とは別に、離れで職人家族や見知らぬ人達を住まわせていたとのこと。
この見知らぬ人達というのが違和感ありありです。
どうも、堅気でない人達が箱に入っている間、その方々の家族の面倒をみていたとのことでした。
”じぃちゃん”の口癖が「見放された鉄砲玉は自業自得。でも、その家族に罪はない」だそうです。
子供の頃、なんとなく、体にガラの入ったオジサン達に可愛がってもらったような記憶がうっすらとあります。
田畑もそこそこ持っていて、小作人に貸していたとのこと。
父親たちは、ある意味ボンボン育ちということになります。
”ばぁちゃん”は、良家のお嬢さまで、仕事らしいことをしたことがないらしい。
物静かで、品が良かった。
99歳であっちに行ってしまいました。
なんだか男気のある”じぃちゃん”ですが、家では一滴もお酒を飲まなかったらしいです。
ある日、材木商の寄り合いに出かけた”じぃちゃん”が、なかなか帰ってこないので、心配して親父が迎えに行きました。
どうせ、無理やり飲まされて潰れているんじゃないかと思いながら会場に急ぎました。
会場に着くと、静かなので、そぉっと覗いたら、ほぼ全員酔っぱらって、ぶっ倒れていたそうです。
一番奥の床の間の柱にもたれながら、”じぃちゃん”だけが親指に乗せた塩を舐めながら、湯飲みで酒を飲んでいたとのこと。
「おお、迎えに来たか。ほな、帰ろか」と、ほぼ素面だったので驚いたらしい。
そして、敗戦。
農地改革がGHQ主導で行われました。
農地を国が二束三文で買取り、小作人に分け与えるというものです。
ほとんどの地主たちは法律の穴を見つけて、なんとかまぬがれたらしい。
しかし、まじめな”じぃちゃん”は、「農地改革は国民にとっては、必要なことだ」と、率先して売り渡したとのこと。
売る材木が手に入らないのに、職人に給料を渡していたので、自己破産。
店をたたんでしまったらしい。
親父や叔父達は集まると、あの時土地を売らなければと恨み節のオンパレード。(笑)
それでも、全員高等学校まで行かせてもらい、父は更に現在の京都工芸繊維大学前身の専門学校を出ている。
親父や叔父達に言わせると、親族の中では、私が一番”じぃちゃん”の血を濃く引き継いでいるらしい。
確かに、父親も叔父達も下戸だが、私は飲める(笑)。
”じぃちゃん”とは面識はないが、迷惑をかけられた経験が一つある。
高校時代、彼女と初めてのデート中、向かい側から、その筋の人っぽい団体が歩いてくる。
皆、道を譲って過ぎ去るのをまっている。
やばいなぁ…
一番の中心人物らしき人が近づいてきて、大きな声で話しかけてくる。
「〇〇(私の苗字)とこの”ボン”やな? 久しぶりやなぁ、元気にしてたかぁ?」
ん?
「あっ!中村の”にぃちゃん”やん!」
若い衆が、一斉に私と彼女の周りを取り囲みます。
「お前!兄貴にむかって、”にぃちゃん”って、なにぬかしとんじゃぁ こらぁ!」
もう、隣にいる彼女は麻薬漬けにされて、売られるんじゃないかぐらいの勢いで真っ青になっています。
「おい!やめんかぁ わしが、若いころに世話になった人のお孫さんや」
「ボン、またな!」
「はい!」
翌日、校内では、私は、あっち系の人であると噂になり、彼女は、それっきりとなってしまいました。
”じぃちゃん”のせいやぁぁぁ(泣)。
*****
母親方のじぃちゃん
どうも、叔父叔母達に話を聞いても、ろくな話しか出てきません。
職業は郵便局員だったらしいです。
酒は飲まないが博打好きで、借金地獄に陥っていたようです。
競輪、競馬、賭博、パチンコなんでもありだったとのこと。
給料日には、幼い叔父叔母が郵便局まで迎えに行って、給料を確保していたとのこと。
それでも、ごまかして1円も家に入れなかった月もあり、”ばぁちゃん”が色んな仕事をして、家計をやりくりしていたらしいです。
”じぃちゃん”が亡くなる前の最後の言葉が、
「悪いけど、借金頼むわぁ」だったとか(爆)
こういう状態だったので、長男と末っ子の叔母だけが高校に行かせてもらったが、長女と母は中学卒で仕事に出されたらしい。
それが、長女である叔母と母のいつも出る愚痴です(汗)。
しかし、両極端な”じぃちゃん達”です(笑)
私は孫にどんな風に記録されるのでしょうか。
いや、孫よりその前に結婚してもらわないとな…
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?