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小さい頃から計算をするのが得意だ。ここで言ってるのはずる賢い計算とかではなく文字通りの計算、というか算数。四則演算は周囲の誰よりも速いし正確な自信がある。
小学生の頃にずっとそろばんを習っていた。高学年になる頃には週4くらいでそろばん塾に通っていた気がする。県内で1位になったこともある。そろばんの競技はそろばんをはじく「珠算」と(そろばん競技のくせに)そろばんを使わない「暗算」とに分かれている。僕は不器用なこともあって珠算はそこまで得意ではなかったが、暗算は大の得意だった。
暗算と言っても頭の中で筆算をするわけではなく、頭の中にそろばんがインプットされている。入力が与えられると即座に数字がそろばんのたまに変換され、勝手にたまが動いて計算結果が弾き出される。暗算を始めた最初のうちは考えながら丁寧にそろばんを動かしていた気もするが、6年間やりこんでいたおかげで無意識でも計算ができるようになっていた。
最近この能力が活きる機会はあまりない(割り勘のときとか、買い物するときくらい)が、大学受験では暗算の能力にだいぶお世話になった。高校数学はほとんどが文字なのであまり計算能力が活きることはない。だが、実数値を扱う物理や化学では暗算で無双できた。特に実験結果を数値データとして扱う理論化学では計算式だけ出せればあとはそろばんのときと同じように計算問題を解き続けるだけ。筆算は一度も使ったことがないし、使わないのでやり方もあまり覚えていない。この計算能力のおかげで制限時間がギリギリの二次試験の理系科目でも落ち着いて臨むことができた。
今でも「3桁×3桁のかけ算」とかであれば瞬時にできると思う。改めて考えてみると暗算の能力が人生を切り開いてくれたと言っても過言ではない。ただこれからの人生で頼れることはないだろうし皮肉にも僕はエンジニアという職種なので計算機を相手にしている。どんなに計算が得意でもコンピュータに勝てることはないし、暗算脳は衰えていく一方だろう。
「自分の得意なこと」というテーマだったので思う存分イキってしまった。23年間生きてきた中で一番自慢したかもしれない。もうその役目を終えた能力と共に謙虚に生きていこうと思います。