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原作ファンのラウール担が『ハニーレモンソーダ』を観た感想
先日、4回目のハニーレモンソーダを観てきました。
舞台挨拶やライビュがあるとそっちにだいぶ意識が持っていかれてしまうタイプなので、純粋に映画だけ観る日を作ろう!と考えていたのですが、ようやくそれを実行できました。
そこで、このタイミングで元々原作ファンだったラウール担として、実際に映画公開を迎えるまでの気持ちと、映画を観た感想をまとめておこうと思います。
そもそも私は漫画が大好きで、少女漫画も少年漫画もジャンル関係なく読むのですが、「実写化」というものについてはかなり慎重派です。
しかも少女漫画の方がその傾向が強く、おそるおそる実写映画を見に行って「このセリフは漫画だからいいんだよ〜〜〜!!!」みたいになりがちでした。ほんと多方面に申し訳ない。
なのでラウールくんが界くんを演じると聞いた時は、原作が大好きだったがゆえに正直とても不安でした。
周りの反応もあったけど、一番は公開された時に自分がラウールくんの初単独主演映画を心から喜べなかったらどうしよう、という不安。
「実写化して欲しい少女漫画ナンバーワン」という宣伝文句には今でもほんとか??と思っているくらいだし、基本的にいつでも羽花ちゃんのスーパーヒーローな界くん。一般的な少女漫画の男の子に比べてもその言動は現実離れしているし、ひたすらにかっこいいまさに理想像なキャラクターは、界くんだから成立しているもの。
「少女漫画だから」も超えた存在の界くんは、漫画の『ハニーレモンソーダ』の世界以外には絶対にいないと思っていました。
そして情報解禁から約1年後、ついに迎えた初ハニレモ鑑賞日。
ラウ担としては徐々に公開される場面カットや予告映像に喜びつつも、不安が燻ったままの時間が続いていたのですが、観終わった後の感想は
えっっこれめっちゃ良くない!?!?
に尽きました。わりと覚悟を決めて観に行ったのに、自分でも拍子抜けするくらい素直によかった!!と思えたんです。
その理由を考えてみると多分2つあって、まずはラウールくんをはじめとするキャストのみなさんが素晴らしかったこと。
Snow Manにハマる前は俳優さんのオタクをしていて、いわゆる憑依型と称される方を追いかけることが多かったのですが、ラウールくんの演技はそれとはまた違ったベクトルで素敵でした。
界くんを演じたラウールくんは、キャラクターの設定通り高校生ではあるけど、アイドルとして活動している異色の存在。
だからこそ、漫画の世界でも現実離れしたキャラクターである界くんにその異質さが合っていたし、界くんとの境界が曖昧になる、演じているラウールくんの存在が時折感じられる演技が、界くんとラウールくんの重なりをより引き立てていたように感じました。
そして、ビジュアルの説得力も圧巻。
身長差って少女漫画の実写化においてとても重要なポイントだと思っているのですが、まず等身が少女漫画そのもので違和感がない。
ラウールくんが演じた界くんは夢を壊さず、ラウールくんは界くんとしてスクリーンに存在していました。
しかもパッと横顔が映された時、パッと引きで全身の絵が映された時の画力がものすごく強くて。この辺りは自担贔屓も入っていると思いますが、ラウールくんの存在感はまさにスターのそれだなと感動しました。
周りを固めるキャストさんも実力派の方ばかりで、初見は友哉がいる!悟がある!あゆがいる!芹奈がいる!と本当に忙しかった!笑
中でも特に良かった〜!!と思ったのが吉川愛ちゃん。「はじこい」「恋つづ」と強め女子のイメージが強くて、最初にキャスト発表された時は羽花ちゃん、、、なのかなあ?と思ってしまったのですが、映画を見たら紛れもなく羽花ちゃんがそこにいました。
羽花ちゃんって、界くんに助けられた単なる元いじめられっ子じゃなくて、もともと芯に強さを持っているんですけど、それを描くエピソードが漫画より少ないにもかかわらず、愛ちゃんの演技でそれが伝わってきたところが本当に素敵でした。
そして次に良かったなと思ったのは、きちんと原作のエピソードを取捨選択してくれていたことです。
うーーんとなってしまいがちな実写映画のパターンって、原作の根幹をまるっきり無視して改変を行ってしまったもの、それとは逆に原作を忠実になぞるばかりで物語の繋がりがおかしくなってしまったものが多い気がするのですが、あえてこの言葉を使うと、ハニレモはその点「改変」がうまくいっていたと思います。
※以下、映画のネタバレがあります
※原作漫画の内容にも触れるのでお気をつけください
まず本来、映画後半の界くんのお話はああいった形では原作に出てきません。
バイトを怪しげな雰囲気のところでしていたり、お母さんが幼い頃亡くなり、お父さんも自分を置いて失踪してしまって実は一人暮らししていたりという設定は同じですが、原作の界くんにはあそこまで思い悩む描写はありませんでした。
でも、あの界くんに迫る後半部分があったからこそ、単なる青春映画ではない作品になっていた。
監督とラウールくんが一緒に考えたという「大切な人がいなくなるのが怖い」のセリフは、漫画でもまだ明言されていない界くんの内面を補足してくれるものだった気がします。
パブリックイメージとは逆に、影のある役が似合うラウールくんの新たな一面も知ることができました。
あと思い切ったなと思ったのは、羽花ちゃんの家族の話題にも触れなかったこと。
中学時代、いじめられていることを決して家族には言わなかった強さだったり、娘を愛するあまり間違った愛情を見せていたお父さんから卒業する話だったり、羽花ちゃんの人となりを知る上でかなり重要なエピソードなのですが、映画では2時間という制限がある中、あえて界くんと羽花ちゃんの2人に世界を絞った。
スーパーヒーローだと思われていた界くんも実は羽花ちゃんに守られていた、自分の弱さをお互い見せ合えるようになってこそ2人とも成長できた、という主題が凝縮されてわかりやすくなっていたと感じました。
そして、一番いいなと思ったのが、原作でも屈指の名ゼリフである「石でも、お前は宝石なんだよ」に至るまでの改変です。
原作の羽花ちゃんには、手を強く握りしめるという癖はありません。インタビューやパンフレットで吉川愛ちゃんが語っていましたが、「自分を石だと思い込んでいる時」を視覚的に分かりやすくするため考案された仕草ということでした。
で、その仕草を界くんは映画内でおそらく何度も見ているんです。最初は羽花ちゃんが捨てられた革靴を回収した後、界くんが「お前、自分のことなんだと思ってたんだ」と聞き、羽花ちゃんが「石、、、です」と答えた場面。
次が学校内で中学時代のいじめっ子にいじめられている場面。
そして多分その次が夏祭りで界くんが「石でも、お前は宝石なんだよ」を言う前の場面。
「変わらなくても、そのままの姿で魅力的だ」の最上級の表現が、界くんの言葉だと「石でも、お前は宝石なんだよ」になるのだと思いますが、このセリフを言う前、界くんは羽花ちゃんが握りしめた手を確実に見ています。
そしておそらく羽花ちゃんの無意識の癖に界くんは気づいている。
その上で、その手を無理にほどくことはせず、自分の手で羽花ちゃんが握りしめた手を包み込んだ。セリフだけでなく、行動でもそのままの羽花ちゃんを肯定する界くんの優しさが見えました。実写ならではの名シーンだったと思います。
映画ハニレモは2人が付き合うまでのテンポが早く、付き合い始めた後の怒涛のアフレコシーンで視聴者のボルテージを上げ、さらには界くんの内面に踏み込むことで、界くんと羽花ちゃんそれぞれの成長まで2時間の枠の中で見せてくれました。
そのおかげで、恋愛映画が苦手な人にも見やすい作品になっていたのではと思います。
ただ、強欲な原作ファンとしては「あのシーンも見たかった〜〜〜!!!!」という箇所がまだたくさんありました(個人的には界くんの告白シーンが死ぬほど見たかった)。
ので、何が言いたいかというと、制作陣の皆様、同じキャストのみなさんで今度は連続ドラマ化しませんか???笑
今ではそう思えるくらい、映画『ハニーレモンソーダ』は大好きな作品になりました。
最後に、1年前の自分へ。
ごちゃごちゃ余計な心配なんてしないで素直に楽しみにしていろ〜!!!!!
2021年の夏は、ハニレモとラウールくんのおかげで忘れられない夏になるぞ!!!
終