NZ/アースソング ロビン・アリソンさん来日報告(5)
みなさま初めまして。札幌で住宅を中心に建築の設計をしています、アトリエmomoの櫻井と申します。
今年の2月に訪れたNZのアースソングでの経験は、ずっと夢に描いてきた、「いろんな世代の人が心豊かにお互いを認め合いながら集まって住むところ」そのもので、今まで感じたことのない安心感溢れる素敵なところでした。
今回、北海道の方々にも、アースソングのような素晴らしいコウハウジングのことを知ってもらいたいという思いと、ロビンさん、神谷さんに北海道の様々な取り組みを見ていただきたいという思いで、北海道にお呼びできることになりましたが、果たして私にちゃんとアテンドできるのだろうかと、とても不安な気持ちでした。札幌のコワーキングスペース「bokashi」での講演会→余市エコビレッジでのエクスカーション→美瑛町でコミュニティの可能性を探り→下川町で集住や環境の取り組みを見学したりと、初夏の北海道を楽しんでいただきながら、お迎えすることができたのは、共に視察に行った仲間にサポートのおかげで、感謝の気持ちでいっぱいです。
札幌の「bokashi」は、残渣が発酵し土に還元されることで新たな生命を紡ぐ「ぼかし」のように、人間の意思、経済・産業や自然環境などにおける既成概念をともに問い直し社会に還元することを通じて、"意志ある循環社会"をつくりたい~という思いでできたレストランとコワーキングスペースで、テナントの入退去で出る廃棄物をできるだけ出さずに、地域材と自然材料を使って簡素な上質感を大切にアトリエmomoで設計させていただいたスペースです。
20名余りの方々とロビンさんのお話を共有し、北海道の食材をいただきながらの懇親会は、コウハウジングの建設のプロセスや、コミュニティを育んでいくための合意形成の方法など、より深いお話ができた貴重な時間となりました。
翌日は余市エコビレッジに移動して、代表の坂本純科さんにエコビレッジでの取り組みをお話しいただき、エコビレッジで収穫した食材のガーデンランチに舌鼓をうち、取り組みの一つである、ピースワインの葡萄畑の果実によく日が当たるように下葉を取る作業に勤しんだエクスカーションとなりました。ピースワインとは、ワインづくりを通じて世界の多様な国籍、文化の人びとが交わり、共生することを体験したり、考えたりする機会を創出するために、ユナイテッドピープル株式会社と、余市エコビレッジとの共同プロジェクトとして2022年から進めているプロジェクトです。5年で100ヶ国からの本プロジェクトへの参加を目標としていて、ロビンさんのNZからの参加で、1カ国追加することができたのでした。
その後、美瑛町を経由して下川町まで、合わせて約300km、5時間あまりのロングドライブで初夏の北海道を満喫しつつ美瑛では、美瑛町まちづくり推進課にいらっしゃる熊倉聖子さんに、美瑛の魅力あふれる場所をいくつかご案内いただいたのと、コウハウジングの可能性高まるこれからの展開が楽しみな場所を見せていただき、みんなでいろんな展開を妄想できたことが楽しかったです。
下川町では、2010年にできた環境共生型モデル住宅美桑に滞在し、下川町の木質バイオマス活用の取り組みとリンクしている、限界集落の再生を目的にした集合住宅や生産施設を見学したり、地域の方々と夕食を共にしながらの意見交換、ネイチャーガイドの藤原さんに下川の森を案内いただいたり、長旅の最後に休息していただこうと思っていたのですが、結局盛りだくさんの北海道ツアーとなりました。
また、ロビンさん、神谷さんにお越しいただけるような機会を作れたら、私達のコウハウジングを見ていただけるように地道な一歩をあゆみ出したいと思います。(アトリエmomo 櫻井百子)