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NZ/アースソング ロビン・アリソンさん来日報告(6)

ロビン・アリソンさん来日報告も最終回となりました。今回は徳島県神山町を訪ねた際のお話を中心にお伝えします。

来日され、東京で講演をいただいた6月15日に続き、20日には徳島県の神山町にお越しいただき、ミニ講演会を開催させていただいた。

神山町は徳島市から西へ車で1時間ほどの中山間地域の人口5千人足らずの町である。近年その豊かな自然と町の魅力づくりの政策などが相まって、若い世代の移住希望が多いところである。

ロビンさんの日本での講演開催に協力している山田貴宏がこの町の町営の集合住宅の設計を担当し、それを2月のニュージーランドツアーの際にロビンさんにご紹介したご縁で、ロビンさんから是非行ってみたい、というご要望をいただいた。こうして地方へのエクスカーションツアーが実現したわけである。

集合住宅は、地元の山の杉と地元の大工さんたちで作る地産地消の住まいである。木造二階建てで、全部で20世帯分の子育て世代のための住戸になる。コモンハウスの建物を設え、住人の皆さんや地域の人、外部の人にも開かれている場所である。ここで子供達は学校帰りに宿題をこなし、子連れの親たちはここで情報交換をする。

山田設計の町営住宅

住戸は地元の杉を主体にした造りになっていて、自然素材に囲まれた空間になっている。太陽熱利用や木質ペレットによる集中暖房、給湯システムを備え、環境にも十分配慮した作りである。

そうした作り方、採用している技術、雰囲気がアースソングと似通っている面が多々ある。正直、設計者である山田は過去にアースソングを何度か訪問していることから、設計の際のベンチマークにもしている。ロビンさんも今後の新しい場所の建設に向けて何らかのアイデアを持ち帰ってもらったなら大変幸いである。

講演は20日の夜7時から町にある「農村環境改善センター」のホールで開催された。それに先立って、徳島のJIA(日本建築家協会)所属の建築士の方々数名と懇談会をもち、今後のこうした環境配慮型の集住形式についての意見交換を行った。なかなか日本では本格的な環境配慮型のコハウジングがまだまだ多くない状況もあり、こうした住環境を増やしていくための方法論が今後ますます求められていくことを感じた。

平日の夜にも関わらず、総勢30名弱の方に集まっていただき、質疑応答含めて2時間ほどの講演を開催することができた。アースソングでの住人同士の間合いの取り方、合意形成の仕方など、プロジェクトの進め方などに参加者の関心があるように見受けられた。聴講された方の間で、こうした住環境形成に資する動きや機運が少しでも醸成されていくことにつながれば、と思う。

東京から連続して講演してきたロビンさんはいささかお疲れモードになってきていて、大変申し訳ない気持ちにもなったが、神山町には「神山温泉」があり、そこに投宿したことで、温泉で疲れを癒していただいたに違いない。

翌日はゴミの分別収集や葉っぱビジネスで有名になったお隣の上勝町のゼロウェイストセンターを視察し、帰途についた。この後は羽田空港経由で札幌での講演へと続く。(ロビンさんタフです、、、、)

ビオフォルム環境デザイン室 山田貴宏

参考 神山町の集合住宅のHP


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