フェラーリとロールスロイスの間
劇団四季のアナと雪の女王を見に行きました。
場所は竹芝にあります。
都会のど真ん中です。
ビルとビルの隙間がほとんどないです。
六本木ヒルズのそばも通りました。
ウォーターズ竹芝とかいうオシャレな場所にあります。
隣接されている駐車場にきました。
10万キロオーバーで25万円で買った中古車でこんなとこに来て良いのかしらん。。
ベンツで普通、それ以上のプラモデルのような現実離れな高級車ばかり。
ワンフロア10台位しか停められない立体立体駐車場の坂道をキュルキュルと、タイヤを鳴らしながらひた登っていく。
まっ赤っ赤なフェラーリが通路の真ん中に停車していた。
車庫入れするつもりなのかな? とは思ったもののどこも空いていない。
フェラーリの中から30歳位のイケメンな男の人が降りてきて、こっちに向かってくる。
「すいません、車が動かなくなってしまいまして……」
「あぁ、いいですよぉ、待ちますぅ」
僕の後ろの後続車にもきちんとお辞儀をしていた。
フェラーリに戻り、色々と試している。
けど、一向に動く様子がない。
続々と後続車がくる。
アナ雪の公演の時間も迫ってくる。
僕は降り、フェラーリに向かい、コレ、押しましょうか? と伝えた。
普段なら車体に触れるのもおこがましいほどのブランド車なのだが、状況的にはオーナーにも喜ばれるのでは? と思った。
「すいません、ギアがパーキングから一切動かなくなりまして、、もし宜しければこの間を通って頂けませんか?」
えっ…………。。。
通路に停まっているフェラーリと、駐車しているロールスロイスの間を指差すオーナー。
車幅は自分の25万の車を差し引くと30センチもない。
しかも緩い坂道カーブ。
「あの……普段、僕はガス屋でして…」
配送先で狭い道を走り慣れているがこの隙間は無理、という事をつたえたかったのだが、多分トンチンカンな答えだったと思う。
「僕ここで見ていますので…」
フェラーリとロールスロイスの間に立つオーナー。
25万円の車のハンドルを握る、僕。
25万円の車のアクセルを踏む、僕。
右手には真夏の太陽のような圧倒的な赤色のフェラーリ。
左手には純真無垢な真っ白いロールスロイス。
あなたなら、どっちに寄せますぅ?
多分、両方とも2000万円はする。
ちなみにうちのマイホームは中古で1500万円で買いました。
まだローンは12年残ってます。
プレッシャーで震える手で、バッテンマークを作って、無理無理と表現した。
この間をすり抜けれる、技術とメンタルを僕は要してない事をオーナーに伝える。
オーナーは僕の車まで来て、「僕が運転しましょうか?」と言われた。
代ってもらった。
プライドなんか、ないし。
今度は僕が車の間で見守るようにした。
運転手が父親からイケメン金持ちに代って、奥さんと娘二人がうっとりしている。
オーナーは何の躊躇いもなく、スーっと僕の車をすり抜けた。
さっすがIT社長!(※決めつけ) 肝っ玉が違う!
イケメンIT社長からいつもの親父に運転手が代って奥さんと娘二人ががっかりしている。
「なんか、あの人、いい匂いした」
とのちに奥さんが言っていた。
アナ雪は無事、間に合いました。
凄く楽しかったです。
けど、時折、あのフェラーリのオーナーの事が気になってしょうがなかったです。
エルサが誤ってアナの頭に氷をぶつける。
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あのオーナー、後続車の車を全部、運転してあげたのかなぁ……。
アナがエルサの手袋を取ってしまい、城中に氷をぶちまかれてしまう。
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僕の25万の車の価値はフェラーリのどの部分にに相当するのだろう。
ラジオの電源つまみボタンぐらいかな。
エルサが山奥までどっか行っちゃって、半狂乱になりながら、雪をぶちまけて遊んでいる。
ありのままだよ、ありのまま。
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そうだよIT社長!ありのまま自然体でいいんだよ、フェラーリじゃなく、トヨタのカローラとかでいいじゃんか!
レリゴーだよ、レリゴー!!
ずっとフェラーリのオーナーの事を気にかけたまま、演劇を観ていた。
ちゃんとしたアナ雪のレビューはこの人のコレを。