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白子とは、なんぞや! vol.18


25 白子20210926_06123065

鮭の下腹部にメスだと筋子が入っている。
その筋子の膜をとると、いくらになる。
オスの下腹部には白子が入っていて、これも膜で覆われている。
中身は精子である。

これには価値が無く、捨てられる。
メスは重宝され、オスは捨てられるんですね。
オスである自分の価値も、そんなモンなんだろうな。

40代半ばぐらいのパートのおばさんが、オスの鮭の下腹部を押して白子を飛ばして遊んでいた。
他のパートのおばさんたちに、ビシャビシャと飛ばして、いじめていた。
ヒャーヒャッッヒャッヒャと、悪の総帥みたいな笑い方をしながら、白子を工場中にまき散らしていた。
怒った他のおばさんが、絶倫そうなオス鮭をとり、同じように白子を飛ばして応戦していた。


地獄絵図でしたよ。


その後、鮭を使って『あっち向いてホイ』をして遊んでいた。
じゃんけんに勝つと、鮭の白子を顔めがけて放ち、負けた方が避ける、というルール。
一度、上手く避けきれずに顔面びっしゃりとに浴びていた。

「若いころのアルバイト思いだすわぁ……」

そう言いながら顔を洗いに洗面所へ向かっていた。
ワイルドなおばさん達だったなぁ。


そのおばさんと一緒に作業している時に、
「お兄さんはいつまでここでバイトするの?」
と聞かれた。
「あと一週間くらいですかねぇ……、」
と答えた。
「そのあと、どうするの?」と聞かれたので、「沖縄をめざします」と答えたら、「ふーん」と返された。


「いいなあ……沖縄………、あたしなんかね、コレ、一生よ、一生!」


鮭を持ちながら言われた。
あれから25年たったけど、たぶんまだ白子を掛け合っているのかなぁ。


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