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マンチェスターのB面

留学って、異国の地で母国語ではない言葉で学んだりする少し響きがかっこいいことのように思えるかもしれないけど、意外とそんなでもない。生活の基盤の土地が少し変わっただけで、生活するという行為自体は全く変わらない。

留学100日目を超えたあたりの自分が、生活の中での「留学のA面B面とは」みたいなことを書き留めていたので、それを元に書いてみようと思う。

A面=良いところ、きらきらしたところ、
B面=こないと分からないリアル、びっくりしたこと

のような感じ。
来てから150日以上がたった今ではそんなに正直驚かないことばかりで、時間の流れを感じるが、それも何だか順応してきたようで面白い。

①通学路が危ない

大学からの道は分かりやすい。大通りに沿って、キャンパスの北を行くとシティセンターに、南に行くとこの大学最大の大学生寮エリア。シティからまっすぐ伸びる一本道はこんなに表情が変わるのか、と言うくらいちょっと進むとエリアの雰囲気がガラリと変わる。で、多分私の通学路は危ない方のエリア。留学初期に、待ち時間が長くて朝と夕方は満員で乗れないこともあるのろのろバスで毎日通学することからギブアップしたので、中古の自転車を買った。毎日雨ばかりの中バスより速い自転車で学校行くのか、ストレスフルなバス通学か、どちらの選択肢が良かったのか、未だに分からない。でも今は冬なので、体感気温2度とかで雨が降る中大学に行くときは本当にどうしようもなく引っ越したくはなる。

ICUの時と同じくらいの距離、自転車で15分の直線の距離を往復漕いでいる。気をつけていてもヒヤッとすることは3日に一回は起こる。
まあまず通学路の良いことから言うと、マンチェスターは自転車専用レーンが完備されていてる。その大部分が車が通る道路からも歩道からも切り離されていて、大体歩道、自転車レーン、道路と分かれている。だから車の真横を通ってドキドキハラハラ、なんてことはない。あとは、自転車のルールが結構あって、教習所で習った手信号的な何かで皆んな曲がるときはアピールしてくれるので分かりやすい。

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(まだ晴天だった9月に大学の課題用に撮った通学路@某カレーマイル)

まあでも、危ないんだなぁ。本当エリアによって自転車フレンドリーかは変わるんだけど、不思議なことに特に通学路の大部分を占める某カレーマイルはなぜか自転車レーンによく人が飛び出して来る。正直とてもビビる。私はまだ、マウンテンバイクではない普通の装備で乗れる5段階ギア付き自転車だからいいけど、マウンテンバイクにガチの自転車の服にサングラス、みたいな人たちのスピードだったら確実に止まれないくらい。多分飛び出して来る理由も色々だけど、毎日見てみた感じ、

①家族とかの大人数でカレーマイルに食べにきていて、道が小さすぎて自転車レーンにまで広がって歩き始める 

②自転車レーンは道路の路駐し放題コーナーの隣なので、いきなり車から降りてくる 

③自転車レーンを歩いていることを無自覚なまま大荷物のおばあちゃん 

④何かに追われるように急いでいる人たちが神業のように忙しい道路をすらっと横切ったまま自転車レーンに突入してくる

こんな感じ。

あと、心理的にハラハラドキドキ危ない、だけじゃなくて、ハード面でも普通に考えて「危ない」。

雨だらけのマンチェスター、いつもはポツポツシトシト程度でゲリラ豪雨は滅多にないが、一回だけとても大雨の中、雨雲レーダー見てもこれ以上雨が弱まる気配もなく、夜が深くなってしまうばかりだから自転車に乗らなくてはいけないことがあった。常に雨だから乾くことのない水溜りはいつもあるんだけど、その日だけは水溜りどころじゃなくリアルジャングルクルーズだった。
私の自転車って水陸両用だっけ?大丈夫そう?ってなるくらい。池級の水溜りがたくさん出来ていたことで気づいたけど、自転車レーン、ガッタガッタ。特に、大通りに対して脇道からの道路が合流するところ一帯が水浸しになっていて、歩道と道路と自転車レーンの境目が分からないほどに水没しているところがあった。

多分手探り状態でそこを走っている時に何かにつまづいたのか、自転車ごと軽くバッチャーン、と水の中で転倒してしまった。自転車が派手に転んだだけで自分は無傷だったんだけど、手信号で交通ルール厳守のようなローカルライダーの方が、一回通り過ぎた後に戻ってきて「Are you alright?」と声をかけてくれた。私はまじでalrightだったからalrightって言ったんだけど、「Are you sure?」と言ってくれて、気にかけてくれて優しかった。それから私はカレーマイルを自転車で通るときは、危ない!危ない!みんなそんな攻撃モードにならないでくれ、と予測不可能なモードが沢山あるゲームをクリアするくらいの嫌な緊張感という心持ちと言うよりは、全ての人に対して気使うくらい超広い視野、察知能力心がけます、安全第一⭐️くらいの心持ちになった。まあだからぐっちゃぐちゃな交通ルールもクラクション鳴りまくりの道路も、いい意味で全てが察知すべき敵では無くなったというか、一々ビビらずに、やさしい気持ちで視野を広くしたまま自転車に乗ることができるようになった。

某カレーマイルの治安をよくしたいと頑張っている某マンチェスターの偉い方々に言いたい。インフラにもう少し投資をされたら確実に防げる事故はあるし、もう少し安全な地域になると思います。移民が沢山いるから危ない?確かに多様なバックグラウンドの人々の生活の場であって、少しイギリスルールが通じづらい土地だとは思いますが、大学の近くのエリアくらい整った道路歩道が出来たら感激するほどトランスフォームされると思います。

②インフラが瀕死で命の危機?!


インフラの危機は何度かあったが、一番厳しかったのは、旅行から帰ってきたクリスマス周辺の数日間、「暖房ストップ、寮中の温水も一切ストップ」だったことかなぁ。
冬休みになると、イギリス人はイギリスの実家へ、留学生もヨーロッパや、ドバイ、インドくらいまでの人たちは実家に帰って行ったので私の寮は95%くらいが空だった。
人がいないからインフラ代も節約していいんじゃね?ってことなのか、クリスマスは全国民の休日だから何もかもストップするよ!ってことだったのか結局原因は分からないが、ロンドンから帰ってきた夜クタクタでシャワーを浴びようとしたらいつまで経っても冷水だった。

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(冷水しか出ない記念に撮った写真)


あーー、もうロンドンのホステルの方が暖房もシャワーもあるし快適だった、戻りたい。とちょっと思った。
同じフロアにたまたま残っていた子とこれは何かがオカシイ、と言うことでメンテナンスチームや寮の受付やセキュリティー、いろんな箇所に連絡したけど、「ちょっと待ってね〜」なゆるさで結局復旧したのはクリスマス数日後だったな。
部屋の蛇口から温水が出なくても、電気ケトルがあるので全然大丈夫だったが、流石にクリスマスに冷水のシャワーは辛いので、自転車漕いで部屋にシャワーがついている友達の寮にお邪魔して数日間シャワーを浴びさせてもらいました。あなたは命の恩人!

冬になるとこの土地は暖かい系のインフラが弱いのか、あの後も数回温水止まっているけど、まあ生活は続けられるので自分は強くなった。

あとインフラ関連で言うと、部屋の中の温度調整が難しすぎる。多分私の寮が古いからだけど、部屋の暖房は暖かくなる板、

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この写真みたいなやつで、セントラルヒーティングなのか、温度と強さとタイミングが調整できない。今思い出したけど、12月の頭くらいまでそういえば週末は一切暖房がつかなくて、寒すぎるのでみんなが担当の部署に連絡したら土日もつくようになった。他の寮は自分でスイッチを入れられるところもあるみたいだが、私の寮にはないので、大体暖房がついている時は窓を開けているとちょうど良い室温になる。


③天気悪過ぎて理解できない?

マンチェスターの都市自体は面白いので好きだが、一つ、最大の欠点が天気。朝ご飯食べに出た時は晴れていたのに1時間後に学校に向かおうとすると雨が降ってきたり超気まぐれな天気。イギリスに来る前も、「イギリスは天気が悪い」とよく聞いたり読んだりしていたが、実際に来てみると、「天気が悪い」で済まされない程に悪い。

横浜や東京の天気の悪さには出口がある。梅雨があっても梅雨が明けた宣言があり、台風が来ても過ぎ去ったら晴れの日が来る。こちらはと言うと、来たばかりの9月はまだ夏が残っていて天気が良かった。けど、知らない間に終わることのない梅雨に突入したような感じ。
イギリス人は、1年に数ヶ月ある、天国のような初夏を目掛けて生きている、と誰かに聞いたが、そのために残りの期間をこの天気で、一生を過ごすのはまだ自分には厳しいのでちょっとまだMancunian (横浜育ちのはまっこみたいな意味のマンチェスター人ってこと)にはなれない。ほとんど乾くことのない道路の水溜り全てがカラッと乾いたのを見ることが出来たら感動しちゃうかもしれない。

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(デフォルトで道路湿っている土地、マンチェスター。寮のあるエリアへと続く1本道。ここら辺はシティと大学のキャンパスの境目くらいで、絵になる建物が並んでいる)

自画自賛、地元自慢のような形になってしまうが、こう言うときは、冬はカラッと晴れていて、分かりやすい交通インフラ、計画された街計画と歩く人々に優しいまちづくり、意識なんて向けないくらい毎日見れる夕日、水辺のある街。横浜は世界有数の住みやすい土地だと思う。

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次からは、もう少し留学生活の「学」に注目した話。


④学生のやる気どこいった。

今は2学期が始まったばかりなので、マンチェスターのB面をリストアップしていた二ヶ月程前とは状況が異なるが、1学期目の終わりは結構やばかった。


マンチェスター大学は、ICUが授業する建物2棟なのに対し、30棟くらいある巨大大学だから一概にこうだとは決めつけられはしないし、専攻によってだいぶ状況が違うみたいだったが、11−12月の学生のやる気はどこか行ってしまったようだった。
私が取っていた1年生向けの授業ともう学生生活大体やることはやった3年生向けの授業でいえば、分かりやすく出席者が減っていった。


先学期はどの授業も教室に来なくてもzoomで受けることも出来たのが要因の一つだとは思うが。一つの授業では、毎回授業後にクラス全体に向けて、教授から

「今日の出席率にはとってもがっかりしました。来週は教室に来られることを願います」

のメールが来ていたり、もう一つの授業では、最後の授業で先生1人対生徒2人なこともあった。
まあでも9月からの新歓、毎日飲みまくりの期間もとっくに過ぎて、11月頭の10日間の休みで旅行したり実家に一回帰ったりした後、大学に戻ってきてやる気が上がらない学生たちの気持ちは痛いほど分かった。多分毎年起こっている風物詩なのだろう。

学生たちのやる気どこ行った期とは変わり、先週から新学期が始まったばかりの今はキャンパスに人が溢れ、友達のクラスでは500人のホールでも人が入りきらなくて先生たちがまさかこんなに来るとは予想してなかった、なんていう事態も起こったそう。自分が取っている授業で言っても、充実度がupした。先学期は周りの1年生、留学生たちが講義に加えて少人数のセミナー・チュートリアルの課題に追われて苦しんでいる中私は週に3回の講義しかない、たまたま暇な時間割だった。今学期は授業で少人数のチュートリアルを初めて経験し、初めてのまともなデイスカッションを経験し、これが「勉強」なのか〜、と言うくらい久しぶりに勉強している。ICUを思い出すリーディング量。

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(ほぼ初めて、こっち来て授業の前にリーディングをした)


⑤f**kばかり聞こえてくる、リアルな英語


これが正直一番ストレスの元なんだけど、仕方ない。友達に相談したらよく、「住んでいるエリアがエリアだからじゃない?」と言われる。確かにこの現象は私の住んでいるエリアだけだから仕方がない。


イギリス英語といえば皆んながエマワトソンの感じではなく、イギリス内でももちろんバリエーションが沢山ある。留学4ヶ月目にして初めてロンドンに言ったとき、マンチェスターと違い過ぎて驚いたくらい。同じマンチェスターでも色々あって、私は英語ネイティブではないのでどういう意味や捉え方で多用しているのか本当のことは分からないけど、日本語で「マジ、やばい」を使うくらいの頻度で便利な形容詞としてf**kを使っている人が多い。


周りが大学生しかいない、しかも三つある寮のエリアでも特にパーティー好きなおかつ年下の若者ばかりのエリアに私が住んでいるからか、多分彼らは標準より若者言葉を話しているだけなのだと思う。別に気にしなければなんてことないけど、特にバスの中とかでその言葉が聞こえると永遠にその言葉だけリスニングしてしまう。彼らにとっては何にでもつけることができるまじで便利な言葉だと気づいた。こればかりは慣れないし、慣れることはないと思う。もちろん言わない人の方が多いけど、地域社会の中でも少数の特定の人たちが超多用しているイメージ。年末年始にもうちょっとposh(上流階級の、という意味。イギリスの中でも日本人が持つ高貴なイメージを表す、ちょっと皮肉としても使われる言葉だと捉えている)な地域を旅行したとき、見事にf**kが一切聞こえてこない環境で、イギリスは〇〇だから、とひとまとめにするのは辞めよう、と思った。あくまで、私が住んでいる環境だと、かなりローカルな英語に浸れる、と言うだけ。

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(他のキャンパスに住んでいて初めて私の住むエリアを訪れた友達がカラフルだね!って驚いていた寮たち。確かに気づかなかったけどカラフルなライトの部屋が多い)


まだまだ日本にいた頃は知らなかった発見と驚きは沢山あるけどこれくらいで。今回はちょっとマイナスなことに注目して書いたが、たまにある、この土地嫌い、よりは、それを上回る好き、が溢れている。素晴らしい人たちに恵まれて、きっと数ヶ月後に帰国するときはこの環境全てが恋しくなるんだろう。色々詰まって人間くさいマンチェスターのことは十ヶ月のステイじゃ全然探検しきれない。でも、結局は何となくこの土地を選んで良かったと思う。留学地点も折り返しを過ぎて、新鮮な発見と驚きの数々があまりにも普通になる前に感想を残しておきたかった。

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早く初夏にならないかな♪マンチェスターで一番好きなエリア、Ancoatsにて

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