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「Chatwork」、DXによる医師の負担軽減に関する調査を武蔵台病院と共同で発表

先日、株式会社kubellはビジネスチャット「Chatwork(チャットワーク)」において、医療法人和会 武蔵台病院(所在地:埼玉県日高市、理事長:河野 義彦、以下、武蔵台病院)と共同で「DXによる医師および医療従事者の負担軽減とその効果に関する調査」を公開しました。今回は調査の一部抜粋をnoteでもご紹介します。

▼ 調査全文はこちら

調査サマリー

今回の調査により、チャットツール等のICTツールを活用することで、医療従事者間の情報連携が効率的・効果的になり、医師および医療従事者の負担軽減が確認されました。また、生産性向上により入院患者のケアや見守りの時間が増加したことで、医療の品質が向上したことが明らかになりました。

  • 院内の連絡基盤を電話・紙を中心とした運用から「Chatwork」に変更。医療/看護体制における効率化を実施。

  • 結果、医師のPHS着信回数は約84%減、約16.4分/回かかっていた看護師の勤務交代時の申し送り時間がゼロになるケースも。

  • 患者をケアする時間が増えたことで、ナースコールでの患者からの呼び出しは約40%減、褥瘡(=床ずれ)発生率0%の達成など、医療品質の向上を実現した。

医療業界を取り巻く背景

医療業界では、医師の長時間労働是正のため、2024年4月の労働基準法改正により「医師の働き方改革」が施行されました。一定のルール下で医師の労働時間を制限する(*1)ことで、働き方改革を推進する目的です。
一方で、高齢化や地方や過疎地域での慢性的な医師不足による医療ニーズは増加しています。医師の需要に対して供給が追いついていない状況にあります。
このように、医療に関して解決すべき課題は多く、医師をはじめとする医療従事者の働き方改革と医師不足の両方を解決しながら、医療品質を向上する方法が模索されています。

武蔵台病院におけるDX推進の取り組み背景

埼玉県日高市にある武蔵台病院は、整形外科、内科、リハビリテーション科などの全15科、病床数約100床を有する地域密着型の病院です。救急医療から急性期治療、慢性期治療ならびにリハビリテーション、訪問看護等の在宅医療関連のサービスを提供しています。

2020年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行に際し、スタッフ間のコミュニケーションと情報共有の円滑化のため、「Chatwork」の利用を開始しました。その後、医師の働き方改革に備え、「Chatwork」やモバイル電子カルテなどのICTツールを活用することでDXを推進し業務効率化を推進してきました。

取り組み1:院内の連絡基盤を「Chatwork」に変更することで情報共有の生産性が向上

<課題>
医師や看護師、その他スタッフ間での情報共有や勤務交代時の申し送りなどは、口頭や電話、紙で行っていました。口頭では記録が残らず、電話では患者の処置中は対応ができず何度も折り返し対応が発生したり行っている作業が中断されるなど、生産性に課題がありました。

<取り組み>
院内の主な連絡手段を「Chatwork」に変更しました。送信者は事象が発生したタイミングですぐにメッセージを送信でき、受信側も自身の手が空いたタイミングで確認できるため、不急の連絡によって患者対応や作業等を中断する必要がなくなりました。

<成果>
これにより、医師一人当たりのPHS平均着信回数は31.5回/日から5回/日となり約85%減少(26.5回/日)しました。PHS平均発信回数は23.3回/日から2.1回/日となり約90%減少(-21.2回/日)するなど医師の負担軽減の効果がみられました。(回復期病棟を担当する医師4名の2022年10月と2024年5月の1日当たり平均比較)

さらに、夜勤看護師から日勤看護師への交代時の申し送りを紙・口頭からチャットに変更したことで、1回あたり平均16.4分かかっていたところ申し送り時間ゼロを実現。また、日勤看護師から夜勤看護師への申し送りにおいても、大幅な短縮効果が出ています。(一般病棟における2022年10月と2024年4月の1回当たり平均比較)

取り組み2:医療/看護体制をアップデートしたことで患者ケアの時間が増え、医療の品質向上を実現

<課題>
元来、看護師は一箇所のナースステーションに常駐し、必要に応じて病室の見回りやナースコールに対応していました。普段、患者は目の届かない場所にいるため、病状によっては転倒防止のための抑制帯(ベッドや車椅子に身体を固定する帯)を利用する必要がありました。しかし抑制帯は、患者の安全が確保できる利点がある一方、リハビリテーションの機会を阻害したり、患者の意思や尊厳を損なうものとして可能な限り利用を低減させることが推奨されています。(*2)
このように、医療品質向上のためには、患者の見守り時間やケアする時間を増やす必要がありました。

<取り組み>
そこで医療/看護体制の見直しを行い、看護師を複数の場所に点在させることでより患者に近い場所で業務ができる体制にアップデートしました。また「Chatwork」を活用することで、離れた場所にいても情報連携のスピードや質を落とさずに対応することができました。

<成果>
患者を直接見守る時間が増えたことで、2023年12月には抑制帯の使用率0%を実現しました。また、寝返りなどの体位変換を頻繁に実施できるようになり、2023年7月に褥瘡(=床ずれ)発生率0%を実現しました。これらは現在も0%を継続しています。(2024年9月末時点)

さらに、患者からのナースコールでの呼び出しは、平均259回/日から平均150回/日へ約42.0%減少-109回/日)しました。(一般病棟における2022年10月と2023年10月の1日平均比較)

(*1)( *2)https://www.kubell.com/news/2024/10/chatwork-musashidai-joint-investigation.html


調査概要

・調査名称:武蔵台病院におけるDX推進効果・実態調査
・調査方法:武蔵台病院による目視・PHSデータ等の計測
・調査期間:2022年10月〜2024年9月末
・調査対象者:武蔵台病院に勤務する医師・看護師・その他スタッフおよび入院患者
・調査主体:武蔵台病院
※本調査をご利用の際は、『株式会社kubell「2024年10月 武蔵台病院におけるDX推進効果・実態調査」』と明記ください

医療法人和会 武蔵台病院について

所在地:埼玉県日高市
病院概要:整形外科、内科、リハビリテーションなど全15科
従業員数:225名(うち非常勤54名) ※2024年9月30日時点
病院ホームページ:https://www.musashidai-hp.com/

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