2022/03/21 本日の日記「想いを力に」
見ましたよ。メインストーリー第1部最終章前編「夢の原石」。
やはりこの子を語らずには終われない、ウマ娘の主役と言っても過言ではないスペシャルウィークのストーリー。
アニメと違いスズカに盲信的ではなく、自分の夢と目標に真剣に向き合う姿がとても良かった。
今日はこの話をさせてください。例によってマジのネタバレなので、まだやってない人はやってから読んでね。
以下ネタバレ
全体的に良かったけど、何よりここまで5章に及んで積み重ねてきた「チームシリウス」のストーリーでもあったのが本当に良かった。
ここまでのストーリーはモデル馬の歴史・戦績を追いかける形であり、個人がフォーカスされがちだった。
それが悪いというわけでは決してないのだが、個人のストーリーという都合上せっかく集まったチームメンバーの出番がほぼないというのも悲しかったので、今回は特に「チームの意味」が強調されていたと思う。
前回のサイレンススズカのストーリーでのマックイーンでしっかり描かれていたが、このチームはとにかく仲間のことが大好きなのだ。
普段の素っ気ない態度とは真逆の、的確なアドバイスをしながらエールを送るナリタブライアンのような、チームならではの風景が見られたのが今回で一番気に入っているポイントと言ってもいい。
アニメのスピカと似ているようで少し違う、「シリウス」らしさ全開のキャラクターたち。
このシナリオで集まったメンバーが何故このメンバーでなければならなかったのかまではわからないが、メジロマックイーンをリーダーとしたこのチームは、かけがえのない素晴らしいチームになった。
それを印象付けるのが第12話「特別なレース」だ。
チームシリウスへの取材にあたって、メンバーに配られたアンケートにあった項目の一つ。
「あなたにとって思い入れのあるレースは何ですか」
この段階でスズカは海外へと向かってしまったので、これに答えるのはスズカを除いた6人とトレーナーなのだが。
このチームのメンバーは、それぞれ行き着いた答えが違う。
最強の終着点、ダービーに己の持てる全てをぶつけ捧げたチケゾー。
三冠という輝かしい称号を持ちながら、怪我に思い悩んだブライアン。
ヒールではなくヒーローに。そんな願いを抱き、強者と戦い続けたライス。
それぞれ行き着く先は異なるので、どう答えるのか気になりながらシナリオを見ていた。
そこでチケゾーはこう答える。
自分の全てとも言える日本ダービーの他に、これからスペシャルウィークが挑む天皇賞・春を書いていた。
ゴールドシップに理由を問われ、チケゾーは「マックイーンの天皇賞・春は自分に「シリウス」を意識させたから」と答える。
そして、それに呼応するようにライスとブライアンも天皇賞・春への想いを語る。
これは実際の競馬の話にもなるが、ライスとブライアンはどちらも天皇賞・春に因縁がある。
ライスにとっての天皇賞・春はマックイーンを打ち倒し、伸び悩んだ2年後も勝ち上がる印象的なレース。
ブライアンにとっての天皇賞・春は掴みたくとも掴めなかった、姉(馬は兄だが)が勝ち取ったレース。
そして天皇賞・春の連覇を悲願としたマックイーンを含めたこの3人が天皇賞・春を掲げることはなんら不思議ではない。
だがウイニングチケットは天皇賞・春には出ていない。
だが、マックイーンの天皇賞・春に心惹かれたから今のシリウスにいる。
これはこのメンバーでなければ起きなかった出来事だ。
そして、目の前には。
天皇賞・春へと挑むスペシャルウィークがいる。
この話を聞いたスペシャルウィークは、自分のためだけではなく、チームの一員としてこのレースに勝ちたいと心に誓う。
みんなから想いを託され、スペシャルウィークは「シリウス」のスペシャルウィークとして天皇賞・春に挑むことになる。
このエピソードで、僕は本当にボロボロに泣いてしまった。
これまであまり描いてこなかった「チームの結束」が、それとは関係なかったはずのチケゾーをきっかけに紡がれる。
そして、自分のために戦ってきたメンバーが、期待のホープのために想いを託す。
胸が熱くなるよな、こういう展開は。
みんなの思いを胸に、この後スペシャルウィークは天皇賞・春に勝利する。
もちろん、この結果も競走馬スペシャルウィークの歴史を追いかけているに過ぎない。
だが、ウマ娘のスペシャルウィークが託された想いは、本来の歴史にはなかったものだ。
ここが何より素晴らしい。
ただの歴史の再生産でなく、しっかり今作っている「ウマ娘」である意味を作っている。
アニメ2期もそうだった。実際に繰り広げられるレースの結果は事実だが、トウカイテイオーとメジロマックイーンが本当にそういったライバル関係でい続けたかどうかは馬自身にしかわからない。
事実を並べるのではなく、事実に基づいたドラマなんだ。
大河ドラマみたいなものなんだよ、ウマ娘は。
だから好きなんだろうな。多分。
もちろん馬主さんからの許可が降りなくて忠実に歴史を作れない子がいるのもわかる。
キタサンブラックとサトノダイヤモンドはそれが露骨に出ちゃっててあまり好きではない。
だが、今持ちうる手札で可能な限り再現、再解釈をしようという気概は評価したい。
キタサンブラックであれば、育成シナリオに馬の方ではライバルのドゥラメンテと酷似したブリュスクマンという名ありキャラを出すことで、擬似的な再現を狙う。
サトノダイヤモンドはライバルのマカヒキを出すわけにもいかないのか、数少ない実装済みキャラクターで戦った経験のあるキタサンブラックを拡大解釈して幼馴染という設定に落とし込んだりしている。
こういう工夫は馬鹿にできないよなあと思うわけです。
まあ何が言いたいかというと、ウマ娘は公営競技(ギャンブル)が題材なところもあってなかなか触れられないところはあるんだけど、競技性から来たドラマを独自解釈でスポーツの青春ドラマに出来ているコンテンツなのです。
ここまで読んでてやってない奴なんてほぼいないだろうが、是非やってほしい。
競馬をやれとは言わないけど、競馬を知ってやるこのコンテンツは倍以上に楽しくなるのでセットで楽しんでほしい。別にレースに金入れろとは言わないから!!
レースだけなら毎週日曜にDAIGOとか麒麟川島とかがテレビで予想やってるから。
今を追いかけなくても歴史はいくらでも触れられるからよ……
頼むぜ、なあ……………