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水木しげるの遺作に最後まで痺れさせられた…漫画『わたしの日々』レビュー

暑いですね。

もうすぐ終戦記念日ですね。

まあ、御歳が御歳ですから、このマンガには「敗走記」とか「総員玉砕せよ!」までの凄まじい気迫はもちろんありませんよ。

要するに水木しげる先生が先生の人生を前向きに振り返ってる

だけ

という脱力系のぬるーーーーい漫画であります。

「ダラダラとゆっくり日常を楽しむのが大切だよね、と説く、それだけの漫画」

ですが。


でもそれを説いている先生本人は「死ぬほど頑張って働いた人」で、しかもそもそもこれ「90歳超えた老人」が描いているわけですよ。

もう一回言いますよ。

「90歳超えた老人」が描いているわけですよ。

(細かい絵はほぼアシスタントが描いているとしてもですよ、90歳超えたオジイサマが事業の先頭を切って働いてるんですよ!)

しかも本に載った90歳オーバーのご尊顔、いつもの漫画の自画像、あの、しなびた瓜みたいな気の弱そうなぼーっとした自画像の雰囲気と全く違いますよ!

あの自画像、完全に嘘ですよ!

獣を狙う鷹のような眼光鋭いギラギラした瞳のメチャクチャ強そうなラスボスみたいなゴッドファーザー系の筋骨逞しいごっつい爺さんが映ってますがな。

しかも戦争帰りで片腕ですよ。

『白鯨』のエイハブ 船長みたいな無限のエネルギーと無限の執念の男ですよこいつは。。。

で、働き抜いたからこそ「ダラダラすることの尊さ」を説くという、尊い矛盾に満ち満ちた、いい意味でとてもてきとうな本なのです。

だからまあまず一回目はこの、漫画上の、表面上の、生ぬるーーーいゆるーーーいテイストを楽しむ感じで適当に流し読みして

二回目からは水木しげるの水面下に燃えたぎるすさまじいガッツに思いを馳せつつ

「過酷な人生でも、長生きして、幸せになるための参考書」として人生に行き詰ったときに行間を読みながらヒントを探す、そういう本でございます。

でもね、ただ流し読みしても、大変イイんですよ。


とくに最終話、気品のある美人女医との官能的なアナールプレイをめぐるセクシー小咄が最高にバカバカしエロくて良かったですね。


御年90歳オーバーしても決して官能を忘れない。

てゆうか、このアーナルプレイの話が『遺作』って先生。。。最高やん先生。。。


うん、水木先生はやっぱさすがですね。

やっぱり水木しげるはリアル★二瓶鉄造様です。男の中の漢、本物のハンターです。格好良すぎですw


私は紙の本でAmazonで買って持っておりますが、しげる本は、やれ終戦記念日だ、やれ展覧会だ、テレビ化だ、みたいなタイミングで、本が売り切れてるうえに古本が無駄に高騰してる時がありますのでが、そういう時は無理せずkindleでご購入になればお安いですよ!スマホで見て画面小さくてがっかりした時には、同じデータを追加料金なしでそのままPCやiPadでも読めるからね、諦めないでねw




 
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