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趣味「紅茶」- Tea textbook 03 -
2024.5.18の旧松本邸無料公開イベント内での紅茶のワークショップ「はじめての和紅茶」でのテキスト用として整理をしました。
以後、随時追記をしていきますので、ご参加の方もそうでない方も、宜しければ追いかけてみてください(2024.5.17)
▷和紅茶とは?
紅茶の生産地といえば、誰しもがインドやスリランカがイメージされると思いますが、実は日本でも紅茶が作られています。
それが、「和紅茶(わこうちゃ)」と呼ばれているもので、日本で育てられた茶樹から茶葉を摘み、それを日本で紅茶に加工したもののこと。
以下に和紅茶について、その特徴やおすすめの飲み方などを紹介しますので、和紅茶の味わいや海外の紅茶との違いは何か?を知ってもらえたらと思います。
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▷和紅茶、地紅茶、国産紅茶/日本紅茶…
まずは、「日本で作られた紅茶」という事で、和紅茶についてご案内しましたが、ここ数年で少しずつ目にする機会も増えてきて、販売エリアや商品によって、色んな呼び名がありますが、ここでは一旦以下に整理をします。例えを入れているので、参考にイメージを持ってもらえたらと思います。
・和紅茶
日本ならではの四季豊かな風土で育った茶葉を使用しており、海外のものに比べて全体的に繊細で渋みが少なく香りが甘い特徴があります。
(例)和食/和牛
・地紅茶
「地紅茶(Locally Grown Tea)」とは国産紅茶のことで,紅茶の会代表の藤原一輝により提唱された、その地域ならではのその地域の特徴を活かして作られた地元の紅茶を指します。
(例)郷土料理/地ビール
・国産紅茶/日本紅茶
日本で生産された紅茶全般を指します。
明治時代から昭和70年代にかけて輸出用として作られていた日本の紅茶。
(例)日本食/国産牛
▷和紅茶の味わいの特徴
一般的に和紅茶は、「渋みが少なく、味や香りは落ち着いていて、全体的に繊細な特徴を持っている」と言われていますが、実は作られている生産地や生産者によって、その特徴は大きく変わってくるため、例えばダージリンやアッサムなどの様に、「この地域ではこれが特徴です」とは一概にはいえません。
最近では日本国内だけでなく、海外の品評会での評価も高く、2022年10月に英国の茶認定機関「UKティー・アカデミー」がロンドンで初開催した国際品評会で、緑茶・烏龍茶・白茶など各種の茶約300銘柄の中で和紅茶が世界一に輝いたりと、海外紅茶のように渋みを持つものもあれば、フルーツの香りのもの、花のような香りのものなど、高品質で個性的なものが作られており、それが和紅茶の特徴とも言えなくもありませんが、ただそれでは、いざ飲んでみようかな?買ってみようかな?とした場合に判断しにくいと思いますので、次に、皆さんのお好みのものを見つけるのにとても良い、3つのカテゴリーに分けたものをご紹介します。
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▷和紅茶はこの3つのカテゴリー
和紅茶を楽しむ、好みのものを探す時に役立つ分類の仕方の紹介で、これは、20年以上「和紅茶専門店」をされている和紅茶業界のパイオニア「和紅茶専門店 紅葉-くれは-」の店主岡本氏が提案されている方法です。
・滋納(じな)
茶葉の持つ旨みを引き出すような優しい味わいで、ほのかな甘みを感じ、和菓子や普段のお茶として飲める紅茶
・清廉(せいれん)
ダージリンやヌワラエリヤの様に香りを重視し、そのすっきりした香りを楽しむことが出来る紅茶
・望欄(ぼうらん)
海外紅茶に近い力強い味わいを持つ、ショートケーキと合わせたり、ミルクティーにして楽しめる紅茶
それぞれ、具体的にどのように楽しめば良いのかは、現在絶賛人気発売中の書籍、「和紅茶ペアリング」(著者・岡本氏)に詳しく記載されていますので、ご興味のある方は是非!
▷和紅茶の産地
実際に「和紅茶が作られているのはどこのエリアか?」
紅茶のワークショップにて、10年ほど前からこの質問をするとたいていの場合、静岡、京都...鹿児島...あ、福岡・八女!?って回答が多いです。あとは、どこかの道の駅で見かけて一度飲んだことがある。
お茶に詳しい方なら既にご承知のこととなってきていますが、2024年現在で、作られているのはエリアは「お茶の産地全てで作られています」が正解になります。
では、具体的にはどこなのか?
皆さんはお茶の産地は判りますか?
全国あちこち、皆さんのお住まいの県や近隣にあったり、ちょっと検索するだけで、今やたくさんヒットするのではないかと思いますが、実はそれをひとつに整理して毎年更新発表してくれている機関があります。
それが、地紅茶学会。
そして、そこが毎年発行してくれるのが、「地紅茶マップ」!
是非アクセスしてご覧になってください!
▷和紅茶の歴史
和紅茶の歴史は、日本の紅茶の歴史とも言え、各時代背景をイメージしながら理解すると面白いです。
日本への紅茶の上陸
日本が初めて紅茶を輸入したのは明治20年(1887年)で、たったの100kgでした。この輸入は、原産地の中国からではなく、ヨーロッパ文化への憧れとしてイギリスから行われました。紅茶は、日本の茶の湯の伝統にも匹敵する舶来の文化として、上流社会でもてはやされました。
国産紅茶の輸出
日本では明治10年(1877年)から紅茶生産が始まりましたが、1980年代には生産がほとんどなくなりました。しかし、近年の紅茶ブームにより、自家生産を復活させている製茶農家が現れています。
現在は、ただ紅茶の葉を生産するだけでなく、ティーバッグの導入やペットボトル和紅茶ドリンクやボトリングティーの開発など活発な動きをしています。